何度か舞台化された名作『銀河鉄道999』、鉄郎役は中川晃教、メーテルは花總まり、機械伯爵に佐藤流司他、実力のあるキャストで開幕。
そのほかの配役はウエイトレス・ガラスのクレア役を梅田彩佳、真面目で規則に忠実な999号の車掌役を徳永ゆうき、ハーロックの親友で鉄郎に想いを託す天才造船技師・大山トチロー役を藤岡正明、機械伯爵を愛する酒場の女・リューズ役を矢沢洋子、全宇宙の機械化を目論み鉄郎を生きたネジにしようとするメーテルの母・プロメシューム役を松本梨香、愛するトチローを探し求める宇宙海賊・クイーン・エメラルダス役を北翔海莉、鉄郎を見守り導く存在であり鉄郎にとっては憧れの宇宙海賊・キャプテン・ハーロック役を三浦涼介が演じる。
18日の千秋楽公演は生配信も行われる。
1977年から1981年にかけて、少年画報社「少年キング」にて、連載。連載中にテレビアニメ化、劇場アニメ化されて大ヒット、『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』とともに1970年代末頃から1980年代前半の松本零士ブームを巻き起こした。鉄郎は機械の体をタダでくれるという触れ込みの星へ行ける銀河超特急999号のパスをメーテルから貰い、彼女とともに999号で旅をすることとなる。
出だしは鉄郎がメガロポリスのスラム街で仲間達と共とうろついている。駅に着いた鉄郎たちは機械化人の旅客から999のパスを盗むも警察に捕まってしまう。その窮地を救ったのはメーテルであった。メーテルは鉄郎の話を聞き、一緒にアンドロメダに行けば９９９のパスを渡すと鉄郎に言い、鉄郎はアンドロメダを目指す。鉄郎は母を機械伯爵に殺害されている。そして舞台オリジナルエピソードとして機械伯爵が人間だった時代が描かれている。 『銀河鉄道999』の放映をリアルタイムで観ていた世代には懐かしいシーンが多く、脳内でアニメが流れること、請け合い。音楽が、ミッキー吉野！！鉄郎は999での旅を通じて人として生きることの大切さや美しさに気づいていく、というのが大体の流れ。
鉄郎は様々な人々に出会う。メーテル、列車に乗り込み、車掌、そしてウエイトレスのクレア、クレアの体はガラスでできている機械化人。クレアは人間に戻りたいと思っている。「綺麗だよ」と鉄郎に言われ、クレアにほのかな恋心が芽生える。最初の停車駅は惑星タイタン。メーテルは山賊に捕まる。そこに鉄郎が助けにやってくる。ここで鉄郎は母を思い出す。鉄郎の過去を知った山賊たちはメーテルを解放する。それから、また様々な星へ旅をする…。
キャストの歌唱力の高さ、楽曲は20以上、舞台だけのオリジナル、鉄郎は999の不時着で時空を超えて、機械伯爵が人間だった頃の人物・ブライダー（佐藤流司）に出会い、「機械化人も人間も中身が大事」と教えられる。だが、その後の彼らの関係を知ってるだけに、ちょっと胸が痛む。
キャプテン・ハーロックの男気と義理人情に厚いキャラ、クイーン・エメラルダス、トチローとは深い愛情で結ばれている。また、メーテルは妹という設定、これは1990年代に入ってから執筆された『ニーベルングの指環』第二部「ワルキューレ」に出てくる。そんなところも興味深い。そして２幕終盤近く、惑星メーテルに辿り着く。メーテルの母親は、惑星メーテルの女王陛下・プロメシューム、これを松本梨香が圧倒的な存在感で！！ハーロックやエメラルダスもやってきて…怒涛のラストへと連なっていく。
葛藤し、成長、気づきを得る主人公・鉄郎。だが、彼を取り巻くキャラクターたちもまた、鉄郎のまっすぐさに感化され、行動する。最後の景色は希望と光。舞台ならではの表現、ダンス、照明、時折映像も交えつつ、世界観を舞台上に。奇をてらわない演出、物語の展開、原作は膨大で様々なエピソードがあるが、そこをうまく舞台版として再構築。鉄郎は母を機械伯爵に殺され、並々ならぬ復讐心を持ち、機械の体を手に入れたいと願うが、その決意は多くの体験や出会いで変化する。彼は本当に大切なことは何か、に気がついていく。原作発表から長い年月が経っているが、普遍的なテーマ性、心揺さぶるエピソード、魅力的なキャラクター、 21世紀に入っても古びない。様々なバージョンで何度でも観たいと思う作品であった。そう、そう、最後はもちろん、あの曲で！！
コメント
中川晃教より
「銀河鉄道999」は全世界にファンがいる偉大で、とても愛されている作品です。今回は、音楽劇ではなく、ミュージカル化ということで、身の引き締まる思いと、いい作品にしたいという情熱とどちらもが入り混じって挑戦させていただいています。
日本青年館にお越しくださるお客様に、鉄郎やメーテルをはじめ、宇宙の大冒険に登場する全キャラクターに注目していただきながら、登場人物たちに共通する命尽きるまで終わらない人生とお客様の人生を重ねながら観ていただけたらと思います。
花總まりより
足りない時間の中で、一生懸命にこの作品と向き合い、キャスト一同、力を合わせて『銀河鉄道 999 THE MUSICAL』 を創ってまいりました。神田さんの想いを乗せて、自分なりのメーテルを届けられればと思います。
佐藤流司より
ついに幕が上がりますね。今これ場当たり中に書いてるんですけど、照明とかめっちゃ綺麗です。ここまで来てもさらに変更を重ね、ブラッシュアップしております。最後まで手を抜かず、素晴らしいものをお見せするためカンパニー一同頑張っております。もう少しで完成です、期待してお待ちください。
北翔海莉より
一年前にこのお話を伺ってから、エメラルダスに挑戦できることを凄く楽しみに準備しておりました。
今回は強いエメラルダスというよりはトチローへの想いを表現するシーンが多いので、甲冑の中の女性の繊細な部分を頑張って表現したいと思います。
三浦涼介より
お稽古場を経て ついに日本青年館に辿り着きました。お稽古期間は約１ヶ月。演出、小山さんを筆頭に中川さんをはじめ、個性豊かで素晴らしい俳優の皆様 スタッフの皆様と時間を過ごす中 日々 最高のエンターテイメントをお届けすべく素敵な時間を過ごすことが出来ました。劇場に入りステージで空間を感じ場当たりを充実させて参りました。
初日から千秋楽まで 精一杯に心を込めて演じ この999の世界と共に 演劇の旅に出ます。どうぞよろしくお願い致します。
概要
『銀河鉄道 999 THE MUSICAL』
日程・会場:2022年4月8日(金)~4月18日(月) 日本青年館ホール
原作:松本零士
脚本・作詞:高橋亜子
演出:小山ゆうな
音楽監督:ミッキー吉野(ゴダイゴ)
出演:
中川晃教 花總まり 佐藤流司 梅田彩佳 徳永ゆうき/藤岡正明/矢沢洋子 松本梨香/北翔海莉//三浦涼介 伊藤広祥、植木達也、木暮真一郎、田中しげ美、中島大介、 三浦孝紀、安里唯、木南清香、坂口杏奈、真田慶子、原広実、望月ちほ(男女別 50 音順)
公式サイト:https://999musical.com/
公式Twitter:@999_TheMusical
主催:『銀河鉄道 999 THE MUSICAL』実行委員会(東映アニメーション、Age Global Networks、ぴあ、テレビ朝日、明治座、文化放送、東京音協)
