キムラ真率いる劇団ナイスコンプレックスが、2022年6月に舞台『キスより素敵な手を繋ごう』が開幕。
劇団唯一のオリジナルラブストーリーで、記憶障害の刑事と、彼を支え愛し続ける妻の物語として12年前に誕生。 リメイクや再演を重ね、昨年2021年、主演に中村誠治郎を迎え上演。 大好評を得ての再演。2022年版では新キャストを迎え、作品初の地方公演として中村と早野の故郷でもある福岡公演も行われる。
出演は、中村誠治郎、初演から出演している劇団員の早野実紗(福岡県出身)。 新キャストとして護あさな、小笠原健、梅田悠(2017年版に出演)、 伊藤優衣、藤本結衣、山中健太、大神拓哉(福岡県出身)、 林野健志(福岡県出身)、森山栄治らが出演。
物語の舞台はとある下宿を営んでいる一軒家のリビング。ここに暮らしている人々が集まる場所。この物語の中心人物である倉持裕樹(中村誠治郎)は短期記憶障害。毎朝起きると”妻と出会った日”に記憶が戻ってしまう。それだけでなく、1日しか記憶が保てない。よって毎朝、同じことを繰り返す。
ドタドタと大きな音を立てて階段を降りてくる、そして決まって同じことを言う「一目惚れしました!」「結婚を前提にお友達になってください」ここにいる人々全員、それがわかっているので不思議そうな素振りは見せない。言われた方も、だ。下宿の家主・玲子(早野実紗)はみんなから「おばちゃん」と呼ばれている。その娘・沙耶(護あさな)は毎朝、倉持に告白されており、その度に「はい」と答えている。
それがここの”日常”。この下宿に住んでいる面々は、何かしら抱えている。元絵本作家の長谷川由美(藤本結衣)、妹の一恵(伊藤優衣)、姉は事故で両親を失い、脳に障害が残っている。妹は自分だけ事故に遭っていないことに負い目を感じている。バンドマンの雨宮静流(山中健太)、パソコンオタクの今田聖弥(大神拓哉)。物語は時間軸がゆきつ戻りつ、進行する。それに従って、彼らのバックボーンが見えてくる。そして倉持裕樹、彼はなぜ、ここにいるのか、それが少しずつ明かされる。劇団員で演出家の米倉明菜(梅田悠)、冒頭で由美に脚本の依頼をしてくる。
そして木場敦士(小笠原健)、沙耶の恋人で結婚を考えているようだが、沙耶から家のことを聞いている、このままではどうだろうかとも思う。玲子の兄・河崎健太郎(森山栄治)は刑事、倉持の先輩でもある。これらの人々が織りなす人間模様、倉持は朝になると同じことを繰り返し、また”リセット”されて翌日を迎える。本人は忘れてしまっているので、”HAPPY”かもしれないが、玲子や沙耶、それを見守る周囲の人々は辛く切ない。
だが、嘆き悲しんでいるだけではない。愛、時間、彼らの過去も描かれる。忘れられないこと、忘れたくないこと、そして愛。誰かを思いやり、誰かを愛する、誰かを気にかける、登場人物は皆、特別な人々ではなく、どこかにいそうな、ごく普通の人々。傷ついたり、あるいは知らない間に傷つけたり、そんなことの繰り返しだが、その全てが愛おしい。最後の方で倉持は知る。だが、その翌日…。ちょっと心が痛み、心が温まり、ちょっとだけ前を向く。その”ほんの少し”、手を繋いで感じられること、大層な物語ではないが、観る人に何かが残る。中村誠治郎は2.5次元舞台では漢な役どころが多いが、ここでは記憶障害で見た目は冴えない中年、心は妻と出会った頃のピュアな行動をとるという難しい役柄だが、リアルな存在感を見せる。対するおばちゃん、早野実紗がしっかり者の家主を演じているが、時折見せる心の揺れ、不安を見せて好演、後半は泣かせる。そのほか、毎朝、倉持に告白されて「はい!」と答える沙耶の苦悩、演じるは護あさな、苦悩を見せる時はこちらもちょっと胸が痛くなる。また、後半に楽しい場面、倉持のためにみんなで劇をやるシーンはちょっとホッとするのと同時に登場人物たちの温かさが伝わってくる。シンプルなハッピーエンドではないが、少し光が見える終幕。その光は彼らにとっては希望と未来。人が人を思う、幸せを願う。そして、その日を生きる。切ないが、愛を、思いやりを感じる舞台、公演は19日まで。
◎中村誠治郎
このような状況の中、去年に引き続き再び無事に初日を迎えられて大変幸せに感じております。
この作品に参加させていただき、お芝居に対する考え方や、演じる事についてたくさんの方法を現在進行形で学ばせていただいております。
本当に感じれば、その役として生きれば心が動くという事が本当の意味で少しずつですが、わかってきたように感じます。
もちろんまだまだ足りていない部分もあると思うのですが、それでさえ発見する事の楽しみを感じられるようになっております。
倉持裕樹として全力で生きて、お客様に少しでも何かを感じていただけたら幸いでございます。
どうか、最後まで応援の程よろしくお願い致します。
◎早野実紗
初日を迎えることが出来ました。ありがとうございます。
いまこの瞬間を生きて届けたいです。そして受け取って頂きたい。
このラブストーリーには本当に色んな「愛」が込められています。甘酸っぱくないラブストーリー。
観る人、観る時、観る年代で共感するところが異なるであろうこの物語を、是非大切な人と一緒に観ていただきたいです。
とにかく、全ての登場人物(役者)達に、愛が溢れているので、それぞれの別のストーリーも、皆さんきっと気になることでしょう。
◎護あさな
無事に初日を迎えることが出来てとても嬉しいです!
沙耶を演じていて思うのは、キムラさんが思い描く沙耶は優しく純粋な人。
そう生きて育てられたからこそ、母である玲子や裕樹や住人全員に寄り添える人物でありたいと稽古を重ねてより思いました。
演じているというより、舞台上で嘘をつかずにありのままでいることが大切だと改めて感じています。
誰の目線で見るかによっても物語の形が変わってきますので、何度でも見てほしい作品になっていると思います!
◎小笠原健
本日無事に初日を迎えられ、心から嬉しく思います。
この作品は、記憶を1日しか保てない主人公とその家族が、介護というテーマの中で切なくも楽しく、力強く生きる姿が描かれている作品だと僕は思っています。
あなたはどの登場人物に感情移入して観る事になるでしょうか?
いつか自分の愛する人が、はたまた自分の両親が。
そんな事を想像しながら観たりすると、全くの他人事とも思えなくなります。
何が正解なのか?そもそも正解なんてないのか?
それぞれの想いが絡み合い、役者が命を込めて演じます。
手さえ繋ぐ事が難しいこのご時世ではありますが、キスより素敵な手を繋ぐ家族の物語、ぜひ劇場へ観に来てください。きっと魂が揺さぶられると思います。よろしくお願いします。
◎梅田悠
初日を無事迎えられて本当に嬉しいです。
個人的な話になりますが、今年に入ってから中止や延期、途中で中止などが続いていたので、今舞台が初日を迎えられることがより奇跡だなと感じます。
私は6年前にも同じ役で出演させていただいたのですが、6年前とは別人!?ってほど役への解釈が変わりました。脚本演出家のキムラさんから沢山の愛情を私達に注いでいただき、この新たなキャストでこの作品を自信を持ってお届けします。描かれていないバックボーンもそれぞれ沢山ありますので、それも届くといいなと思います。私もいろんな想いを胸に、この舞台に立たせていただきます。
沢山の方に届きますように。
◎伊藤優衣
いよいよこの日を迎える事が出来ました。
稽古場からカンパニーの皆さんとたくさんコミュニケーションを取り、丁寧に作り上げていった今回の作品。
お客様に見ていただける事を思うととても嬉しいです!
私自身としては唯一の家族、姉と一緒に短期記憶障害という病に向き合いながらも精一杯、その場を必死に生きていきたいと思っています。
そしてナイコンさんの愛溢れるこの作品を大切に、”明日”へ繋げていきたいです。
◎藤本結衣
長谷川由美という役どころは、本作の主人公・倉持裕樹が持っている症状と同じ「短期記憶障害」を持っている女性です。
妹の一恵と共にこの下宿にやってくるのですが、同じ病気を抱えていても倉持家の向き合い方と長谷川姉妹の病気への向き合い方はまた全然違います。病気と共に進もうとする由美とそもそも病気を認識させてもらえない裕樹の差や、だからこそ由美は裕樹と倉持家にどう寄り添っていけるのか。唯一の家族である一恵との関係性も注目して見て頂きたいです。
最初1日目2日目3日目と時が進みそこから徐々に時が遡っていく舞台の作りなので、どんな風に過去に戻った!と印象付けれるか、とても意識して演じています。
3週間ほどの稽古を経てようやく本日初日の幕が開きました。何度も再演をくり返し沢山のお客様、関わってきたキャスト、そして何よりキムラさん含めナイコンさんに愛されている作品を今回のキャストだからこそ出来る新しい「キスより素敵な手を繋ごう」として作り上げてきた3週間ほどでした。
最後はお客様が観て下さって完成する、それが舞台だと思います。今日から数日間の東京公演と26日の福岡公演。この積み上げてきた3週間を信じて皆さんを信じて駆け抜けます。
最後までどうか応援よろしくお願い致します。
◎山中健太
雨宮静流役の山中健太です。
皆様からの応援メッセージや差し入れに力をいただいて、カンパニー全員で真剣に稽古に取り組み、沢山の方に支えられて無事に初日を迎えることができました。
今作を表すとすれば「起承転転転結!!」みたいな怒涛のバスタオル必須物語!
1度観た後に、もう一度観て答え合わせをしたくなるようなお話になっています。自分が演じる雨宮静流は、俯瞰で物事や周りを見ることができ、場を和ませるためにサラッと言葉をかけてあげたり、明るく振る舞ったりと心を配れる性格です。
見どころは、音楽がやりたくて上京した静流が「音楽で変えるんだ!」という想いで臨む童話劇のシーン!! ぜひお楽しみに!
◎大神拓哉
無事に初日を迎える事が出来ました!
このご時世、作品を世の中にお届け出来る事自体が奇跡だと思っているので心から安堵している今です。
ここから東京、そして北九州公演まで誰一人欠ける事なく走り抜けたいと思っているので、最後まで応援宜しくお願いします!
◎七味まゆ味
初日を迎えました!幸せです!
役者全員めっちゃ素敵で、集中力が凄まじく、お稽古場ではつい魅入ってしまいましたが、劇場に入ってからはさらに素敵で、化け物かなと思いました!!
本日より、私達の手を離れ、お客様それぞれにこの物語を持って帰って頂けるわけですが、何か残るものが、お客様にとって大切なものになったら大変嬉しいです。
明日からも、前向きに、生きて参りましょう!
そんな気持ちになれる作品をお届けできるよう、励みます!!
あと、不器用な私のアクションシーン!?を、毎回ちゃんと成功させます(怪我させないように)!!
ドキドキ!!
◎林野健志
先ずは無事に初日を迎えられたことに感謝したいと思います。そしてご来場いただいた皆さま、ありがとうございます。今の情勢に演劇の潤いを与えられるようにこの作品を通して誰かの為に希望を持ち、支えていく。そして、誰もが誰かの支えにもなっているという事を感じてもらえたらいいなと思います。
千穐楽までよろしくお願いします!
◎森山栄治
まず初日を迎えられる事が嬉しいです!
キャストスタッフ関係者の皆さんが感染対策を徹底してくれたおかげです。本当に感謝します!
この作品は何度も再演されている作品です。なので、作品自体を愛して下さっている皆様には新しい発見があるかもしれません。
今回初めて観劇される皆様には衝撃を与える作品になると思います。
是非劇場まで足を運んで下さい!お会い出来るのを楽しみにしています!
あらすじ
「私の最愛の人は毎朝私に一目惚してくれる」 極度のストレスにより一日しか記憶を保てなくなった刑事と、その夫を支え愛し続ける妻の物語。
記憶障害になった夫は、毎朝起きると妻と出会ったその日に戻る。妻は一日で夫に愛される為、その日を過ごす。 「忘れられる事が辛いんじゃない。あなたの中の私じゃなくなるのが辛いの。」
「愛」という力を「時間」が崩す。【愛】がテーマの感動作。 あなたなら、どうしますか?
概要
ナイスコンプレックス N35 舞台『キスより素敵な手を繋ごう』
日程・会場:
東京:2022年6月15日(水)〜6月19日(日)シアターサンモール
福岡:2022年6月26日(日)北九州芸術劇場(中劇場)
キャスト:
中村誠治郎/早野実紗、護あさな、小笠原健、梅田悠、伊藤優衣、藤本結衣、山中健太、大神拓哉/七味まゆ味、林野健志/ 森山栄治/ほか
スタッフ:
作・演出:キムラ真
ドラマトゥルク:大久保悠依
歌曲原案・歌唱:紅林里美
主催・企画制作:ナイスコンプレックス
公式HP: http://naikon.jp/
Twitter :https://twitter.com/gekidan_naikon@gekidan_naikon