仲村トオル, 田中哲司, 渡辺いっけい, 朝海ひかる 出演 『住所まちがい』@世田谷PT×りゅーとぴあ

りゅーとぴあ(新潟)との共同主催企画として、白井晃演出による、イタリアの現代演劇『住所まちがい』の翻訳上演_ 

『住所まちがい』はミラノ・ピッコロ座の座付作家ルイージ・ルナーリが 1990年に発表した作品で、現在までに 世界20か国以上で翻訳上演されているルナーリ自身の代表作ともいえる作品で今回が本邦初演。
演出の白井は、ルナーリ作品には世田谷パブリックシアター主催公演『パードレ・ノーストロ―我らが父よ』 (2002年、演出:佐藤信)に出演。上演時に作家が来日した際には意気投合し、ルナーリ本人か ら自身の作品を演出することを勧められておりました。そこでルナーリ作品に興味を持った白井が、今回、ルナーリの代表作ともいえる『住所まちがい』に挑戦。
同じ場所で偶然遭遇し、不思議な一夜を共にする三人(社長・教授・大尉)を演じるのは、仲村トオル、田中哲司、渡辺いっけいという円熟味溢れる男優陣。
「社長」を演じる仲村トオルは『偶然の音楽』(2005年、2008年再演)、『オセロ』(2013年)で白井演出作品に参加した経験から、白井演出について「哲学者が描いた美術作品のように美しい」と表現しており、これで4度目のタッグ。田中哲司は白井とは『溺れた世界』(2004年)以来。物事に動じない「教授」役を。白井との初顔合わせとなる渡辺いっけいは、元軍人(大尉)役で規律を重んじつつも、どこか庶民的な顔を持ち合わせる人間味溢れる役どころ。異なる目的で、同じ場所に鉢合わせることで起こる喜劇、そして物語の鍵を握る謎の女性役は朝海ひかる。


本邦初演、2022年4月に世田谷パブリックシアターの芸術監督に就任した白井晃の、就任後初となる世田谷パブリック シアターでの演出作となる。

作品について
『住所まちがい』には中年の男性三人と女性一人の四人が登場します。登場人物はイタリアの伝統演劇「コメ ディア・デラルテ」の代表的なキャラクターをベースに、現代的なアレンジを加えた、いわば“現代の中産階級 に属しているだれか”を彷彿とさせる人々です。
自分の生存すら不確かな極限状況で展開される四人の奇妙な会話。『住所まちがい』は、達者な役者の演 技に支えられ、それぞれの人生観が凝縮した会話の妙をお楽しみいただける上質な喜劇です。

ストーリー
社長、大尉、教授の三名が、それぞれの理由で―社長は女性との密会のため、大尉はビジネスのため、教授 は自身の最新出版書のゲラチェックのため―同じ場所に居合わせる。三人が鉢合わせたこの場所はホテル なのか、事務所なのか、それとも出版社なのか。最初は互いに自分が正しいと信じていたが、実はそうではな いことがわかってくる――住所は三人それぞれにとって「正しい」住所だったということに。
奇妙な状況下、突然、大気汚染を告げる警報ベルが鳴り、三人とも外に出られなくなってしまう。三人は一緒 に一晩を過ごすことになるが、徐々に恐ろしい疑念が頭をもたげてくる。もしかしたら…。
三人の会話はユーモアに富み、生と死、運命、宿命、自由な意志、神の存在、無神論等の話題がゴシップの ように語られていく。すると突然、謎の女性が部屋に入ってきて曖昧なことばかり語り始める。三人の疑念はさら に強まっていく…。

コメント
白井晃(上演台本・演出)
本作は、それぞれが住所を間違って同じ部屋に居合わせた 3 人の男性が、話し合いを重ねるも余計に混乱 し、自分たちがどこにいるのか分からなくなる、そこに謎の女性が登場し――という喜劇仕立ての物語です。 最初は遠慮し合っていた 3 人が、次第に自分の肩書や地位を利用して自己主張を始め、いがみ合う過程 で、人間の本質や滑稽さが赤裸々に盛り込まれた非常に面白い会話劇です。仲村さんと田中さんは久々に、 渡辺さんと朝海さんは初めてご一緒しますので、とても楽しみにしています。

仲村トオル(社長役)
『偶然の音楽』(05 年、08 年)、『オセロ』(13 年)という2作品で白井さんの演出を受けましたが、稽古場で日々、 「ああしてみよう、こうしてみよう」と試して、高みを目指していく。ご本人がいらっしゃらないところで、白井晃の “あきら”は、あきらめないの“あきら”だ、と僕は言っていました(笑)。稽古場ではたくさん“間違える”ことで、より良い作品に近づいていくと感じていますが、皆さまには、この芝居を観たことは“間違いではなかった”と思っていただけるように頑張ります。

田中哲司(教授役)
映画やドラマの時に使っている日常会話とは違い、この作品は翻訳劇のため少し不条理な感じで難しいので すが、だからこそやりがいがあると思っています。白井さんとは『溺れた世界』(04 年)以来で、「昔と何も変わっ てない」と言われるんじゃないかと緊張しますが、それ以上に楽しみが大きいです。難しい戯曲だからこそ役者 の底力が出ると思いますし、4人の役者のぶつかり合いをぜひ見ていただきたいです。頑張ります。

渡辺いっけい(大尉役)
若い頃に白井さん主宰の「遊◉機械/全自動シアター」の芝居を見て、「なんてオシャレなんだ!」と憧れたの を鮮烈に覚えています。かなり粘る演出家だとお聞きしているので、稽古場で試行錯誤することになると思い ますが、望むところですね。この作品は予想がつかない展開で、油断して見ているととんでもないところに連れ て行かれるので、白井さんと一緒にいい塩梅の落としどころを探して、皆さんを面白い場所にお連れしたいと 思います。

朝海ひかる(謎の女性役)
白井さんの作品は、アーティスティックできれいなビジュアルと、生々しい感情をぶつけ合う人間ドラマの対比がすごく好きで、今回出演できるのがとても楽しみです。この作品は、大人の男性が自分の築き上げてきたも のを盾に言い合うてんやわんやが面白く、時にばかばかしく、ほろ苦く、そして生と死や人間が抱えるいろいろ な問題もビビッドに描かれています。そこに私が演じる女性がどう関わっていくのか、楽しみにしていてくださ い。

原作者について
Luigi Lunari(ルイージ・ルナーリ)
1934年生まれ。ジョルジオ・ストレーレと共に、ミラノ・ピッコロ座の座付作家。翻訳もこなし、モリエールの全訳、シェイクスピアからニール・サイモンに至る英米作品等を翻訳。テレビや舞台用に多くの台本を提供。1990年に『住所 まちがい』を発表。94年にアビニョンでフランス語上演されて以来、ヨーロッパで大成功をおさめる。主な台本に 『セネター・フォックス』(79年)、『父の名のもとに』(97年。世田谷パブリックシアターでの公演タイトルは『パードレ・ ノーストロ―我らが父よ』)、『橋の下で、川の傍で』(2004年)他、小説・エッセイ等多数執筆。19年8月逝去。

概要
りゅーとぴあ×世田谷パブリックシアター
「住所まちがい」
日程 会場:2022年9月26日(月)~10月9日(日)  世田谷パブリックシアター
原作:ルイージ・ルナーリ
上演台本・演出:白井晃
出演:仲村トオル 田中哲司 渡辺いっけい 朝海ひかる
翻訳:穂坂知恵子 溝口迪夫
美術:松井るみ
プロデューサー:穂坂知恵子
芸術監督:白井晃
主催:公益財団法人新潟市芸術文化振興財団 公益財団法人せたがや文化財団
企画制作:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
後援:世田谷区

ツアー情報
豊橋:2022年 10月 13日~14日 穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホール
兵庫:2022年 10月 22日~23日 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
松本:2022年 10月 29日 まつもと市民芸術館 主ホール
新潟:2022年 11月 2日~3日 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場

WEB:https://set5agaya-pt.jp/