山﨑静代,野々村のんetc.出演 全編宮崎弁! BOND52 VOL.1『山笑う』開幕 不器用な人々の通夜の物語

「BOND52(ぼんどごじゅうに)」は、劇団ゴツプロ!の浜谷康幸が新たに立ち上げたプロジェクトで、“繋がる・ 絆・縁”の意味を持つ“BOND”の文字通り、ゴツプロ!と他劇団とが繋がりをもつことで、魅力ある舞台作品を届けていくことを目的としている。
第1回目となる今回は、人間関係の機微を繊細に表現する会話劇で定評のある小松台東の主宰・劇作家・演出家松本哲也を迎え、2017年に小松台東で上演した全編宮崎弁で贈る哀歓の物語『山笑う』を。ゴツプロ!メンバーである塚原大助、浜谷康幸、渡邊聡のほか、映像や舞台で女優としての評価も高い南海キャンディーズの山﨑静代、青年座の実力派女優・野々村のん、小松台東のワークショップより選ばれた 平岡亮が出演。
開演前、妹・菜々(山﨑静代)とその恋人・熊田(渡邊聡)が座っている。熊田は居心地悪そうに、菜々は本を読んでいる。途中で菜々が出ていく。ここはお通夜の控え室。畳の部屋。開演時間になる。この物語の登場人物が入ってくる。兄・伸夫(浜谷康幸)の妻・深雪(野々村のん)、伸夫の幼馴染である英二(塚原大助)、伸夫と深雪の息子・清人(平岡亮)、いったん出て行った菜々も。恋人は菜々と随分歳が離れている様子。兄は不機嫌、妹は滅多に里帰りせず、見舞いにもこなかった。なぜ、滅多に帰ってこなかったのか、なぜ見舞いにもこないで通夜に、しかも彼氏同伴で来ているのか、その意図がわからない。

妻である深雪は彼ら2人を歓迎し、お茶を入れたりするも、ちょっとどこかぎこちない。兄は苛立ちを隠せずに激昂する。英二、入ってきた段階で”出来上がって”いる様子、ビールを飲み、笑いながら彼らと接する。清人は中学生、子どもらしく無邪気に振る舞っているように見えるが、時折、指をポキポキと鳴らして親に止めるように言われる。

6人のそれぞれの想い、立場、ずっと6人が一堂に介している訳ではなく、出たり入ったり。家族とひと口に言ってもそれぞれの思惑があり、考えがある。なかよしこよしという訳ではない。もちろん、できれば良好な関係を築きたいに決まっているが、なかなかうまくいかない。亡くなった母は女手一つで兄妹を育ててきた。にもかかわらず、母の生前、妹はろくに帰ってこなかった。この家族のそれぞれの感情、それを知ってか知らずか、友人の英二は気持ちよく酔っ払って絡む。どこか心温まると同時にちょっと切ない。熊田は正確にはまだ家族ではない。イマイチ歓迎されていないのはよくわかっており、終始、小さくなっている。そして正座し続けたせいか、足が痺れてうまく立てなかったり。そんないっときの風景が舞台上で繰り広げられる。宮崎弁での会話、熊田は標準語で喋る。この宮崎弁のイントネーションの独特さが会話に陰影を添える。言葉のリズムに隠されたもの、間合い、特に何かが起こる訳でもなく、見る人によって解釈は違うだろう。

登場人物1人1人に奥行きのある設定、この兄妹の関係性だけでなく、伸夫・深雪・清人の間に流れる空気感も気になる。人の感情は常に揺らいでいる。その揺らぎ、観客にとってところどころ共感する場面もあるだろう。ちょっとしたクスッと笑えるシーンも交えながら進行する。基本的にはどのキャラクターもそれぞれを想っているが、ストレートに出せない、そんなもどかしさがリアル。公演は17日まで。

コメント
【松本哲也】
観劇後、ほんのちょっとでもいいから優しい気持ちになって、近くの遠くの大切な誰かへ想いを馳 せる、そんな機会になったらいいなと思っています。BOND52の理念は繋がり。「山笑う」もまさに、 家族、恋人、友人との繋がりを描いた物語です。
【山﨑静代】
不器用な人間たち、みんな必ず何かを抱えている。執着するからこそ愛の方向がずれていく。愛は きっと奪うでも与えるでもなくて、気がつけばそこにあるもの、、、 あ、なんか、、聞いたことありましたか? みなさんと丁寧に丁寧に作っていますので、たくさんの方々に観ていただきたいです!!
【浜谷康幸】
誰もが日常の中で起こりうるすれ違いや、葛藤、様々な事を感じながら、日々を過ごしてる事と思 います。自分の想いを素直に伝える事は難しい事かもしれません。 大切に想うからこそ、殊更難しく意固地になってしまう。 そんな、人への想いが溢れた作品です。
是非沢山の方に観劇頂きたいと思っております。

〔イントロダクション〕
女手一つで兄妹を育ててくれた母が死んだ。
その通夜の晩。
母に反抗し続けていた妹が東京から帰ってきた。
闘病中の母を一度も見舞わなかった薄情者の妹を兄が待ち構える。
責められることを覚悟していた妹は、自分の身を守る為なのか、東京から恋人を同伴させた。
歓迎する者。呆れる者。様々な反応が入り交じる中、兄だけは怒りを抑えきれずにいた…
斎場の片隅にある親族控室で、母への想いを巡り、家族が激しく、そして醜く、ぶつかり合う。

概要
BOND52 VOL.1『山笑う』小松台東BONDゴツプロ!
日程・会場:2022年7月7日(木)〜7月17日(日) 下北沢 小劇場B1
作・演出:松本哲也(小松台東)
キャスト:
山﨑静代(南海キャンディーズ) 野々村のん(青年座) 平岡亮
/浜谷康幸(ゴツプロ!) 塚原大助(ゴツプロ!) 渡邊聡(ゴツプロ!)
問い合わせ:staff@52pro.info
ゴツプロ!公式サイト: https://52pro.info/
企画・製作:BOND52
主催:ゴツプロ合同会社