柿澤勇人,笹本玲奈,濱田龍臣,唯月ふうか,高島礼子etc.出演 ミュージカル『東京ラブストーリー』開幕 愛はすぐそこにある。

“恋愛の神様”と称される漫画家・柴門ふみが 1988年に発表した漫画「東京ラブストーリー」は、1991年にフジテレビがテレビドラマ化し、大旋風を。そして、いよいよミュージカル『東京ラブストーリー』が開幕。
今回は、漫画を原作として世界で初めてミュージカル化、本作では時代設定を2018年~2019 年という現代に置き換えての上演。音楽は、本年度トニー賞においてはミュージカル『Paradise Square』でベストスコア賞にノミネートされた作曲家ジェイソン・ハウランドによる書き下ろし。演出は、ミュージカル『あなたの初恋探します』などを手掛ける豊田めぐみ。キャストにも、柿澤勇人、笹本玲奈、濱田龍臣、唯月ふうか、ミュージカル初出演となる高島礼子ら、実力派俳優陣が集結。

冒頭は男女のダンサーのエモーショナルかつ愛を感じさせるダンス。それから始まる。都会に出てきた永尾完治(柿澤勇人/濱田龍臣)、忙しそうに行き交う人々、戸惑う完治、そこへ「カンチ!」と呼ぶ声、同僚の赤名リカ。ある一定の世代には懐かしい名前、カンチ、リカ。ここでは設定をコロナ直前にしている。
上司の和賀夏樹(高島礼子)、いかにもデキる感じの風貌。会社の会話「インバウンド」「東京オリンピック」の言葉。海外から大勢の観光客が来る、と見込んでいたタイミング。原作は1988年連載開始なので、ちょうどバブル景気の時代、よって設定はところどころ異なっている。

チャッチーな楽曲、そして物語もテンポ良く進んでいく。友人の三上健一(廣瀬友祐/増子敦貴)は完治とは真逆のタイプ、彼の楽曲はイケイケなメロディ。56人の女性と付き合ったと豪語するモテ男。そして関口さとみ(熊谷彩春)、3人は同郷、さとみは保育士、堅実なタイプ。そしてリカは自由闊達で積極的、あの名台詞「セックス、しよう」も飛び出す。

彼らの愛、三上の女性関係、さとみは三上と付き合うものの、彼の女性関係に悩む。一方の完治とリカ、完治はリカに振り回されつつも彼女への愛を自覚し始め、リカもまた完治を愛し始める。彼らの愛の行方はどこへ向かうのか、というのが大体の流れ。

完治はどちらかというと誠実だが不器用なタイプ、仕事では上司からダメ出しされたり。ちょっと応援したくなる。一方の三上は着ているものもお洒落でしかも研修医という設定、女性からモテまくるのも無理はないが、内面はナイーブ。物おじしないリカ、だが、完治がさとみを慰めている場面を目撃してしまい、2人の間に流れる空気を感じ、完治はさとみにまだ恋心があると悟り、苦しむ。

1幕ラストのナンバーはそんな切ない感情を吐露する珠玉の楽曲、リカの気持ちが痛いほど伝わる。また、会見で高島礼子が「聞きどころ」と言っていた病院のシーン、各キャラクターの心の揺れ動きを表現していて秀逸。

原作をもとに、現代の観客に合わせてUP TO DATE。原作で描かれている男女の恋愛模様をシンプルにわかりやすく2幕もののステージにしている。そして、恋愛が主軸ではあるが、冒頭での忙しく行き交う人々、「この街で生きる」と歌う。生きていくこと、自分は何がしたいのか、どこへ行こうとするのか、迷いながら探す。恋に迷い、人生に迷う、 ジェイソン・ハウランドの楽曲が彼らの生き様を彩る。メインキャラクターではないが、三上の同僚の長崎尚子(綺咲愛里)もまた、自分の生き方を模索。

両親が薦める結婚に揺れ動き、三上のことが忘れられない。このままでいいのか思い悩む姿は共感を呼ぶ。完治やリカを温かく見守る和賀夏樹、自分が通り過ぎた道、思うところはたくさんあるだろうキャラクター。穏やかで、だが仕事に厳しい頼り甲斐のある上司、凛とした存在感として物語の中にいる。
無論、大きな事件も何も起きない。いわば、日常系ミュージカル。まとめ上げるのに苦労も多かったと思うが、心の機微を掬い取り、しっかりと客席に届ける。海キャストで拝見したが、濱田龍臣の不器用でちょっと朴訥な完治に好感が持てるし、唯月ふうかのリカは元気いっぱい、どこへいくのか危うくも可愛らしい、増子敦貴の三上健一は登場時はチャラ男全開、後半は意外と繊細な一面を覗かせる、そのギャップ感を上手く表現。関口さとみを演じたのは熊谷彩春、おっとり系キャラをキュートに。4人のコンビネーションもよく、またフレッシュさもあり、良いチームワーク感。
誰と誰が結ばれたのか、という結末よりも彼らが懸命に生きる姿、そこに観客は感情移入できる。原作を知ってる人も知らない人も楽しめるミュージカル『東京ラブストーリー』、LOVEはすぐそこにある。

公式舞台写真(空キャスト・撮影:田中亜紀)

初日に先駆けて会見が行われた。登壇したのは柿澤勇人、笹本玲奈、濱田龍臣、唯月ふうか、高島礼子。

まず見どころを聞かれて、柿澤勇人は「名台詞『セックス、しよ』の台詞ですが、どこのシーンで言われるのか、お楽しみに。ど迫真で言われて驚き、ワクワク」、この名台詞は、なかなか度肝を抜くインパクトのある言葉。作品を知らなくてもこの台詞は知ってるという方も多いはず。また唯月ふうかは「音楽が素晴らしいドラマチックな曲、作品。早く聴いて欲しいです」とコメント。ジェイソン・ハウランドの楽曲は多彩、物語の輪郭をしっかり伝える力のあるものばかり。高島礼子は「ミュージカルならではの、5人が歌う病院のシーン、めちゃめちゃかっこいいんです。映像では味わえない。新しい『東京ラブストーリー』ができたなと」と語る。ここは5人のキャラクターの心情が五重唱で。
また今、夢中になっていることは?の問いかけに
柿澤勇人は「ワールドカップです。寝不足です」とコメント、今、日本国民全員が寝不足(笑)。笹本玲奈は「カッキーの実朝(隣で柿澤勇人、笑う。「ドラマ館の写真をわざわざ送ってくれた」とコメント)」、大河ドラマももうクライマックスへと突入。唯月ふうかは「クラゲを見ること(一同、笑)。コロナ前は水族館に行ってたんですけど、今は動画で」とほのぼの。高島礼子は「ボイトレさせていただいてます。思い切り声を出すことに憧れています」と語る。濱田龍臣は「ゲーム。どんなに忙しくても1日1回はゲーム(一同、笑)。自分の中で(気持ちを)リセットするスイッチになっていて、大変なけいこスケジュールでしたが、ここまで頑張ってこられたかなと思います」と語る。『ウマ娘』、そして人気オンラインゲーム『原神』のプレイヤーのゲーマー濱田龍臣らしい発言。

最後に初日に向けて
高島礼子「コロナ禍に劇場に足を運んでくださる方にいい思い出になるように精一杯演じます」
唯月ふうか「切なくってキュンキュンしていただけたら」
笹本玲奈「日本初演、久しぶりに充実した日々でした。音楽聴いて鳥肌立ちました。ぜひぜひ、お楽しみに」
濱田龍臣「日本発ミュージカルを作ること、プレッシャーも日々大きくなって大丈夫かなと。自分が重ねてきた経験値を信じて120%出し切って駆け抜けたい」
柿澤勇人「新しいミュージカルになると思います。このミュージカルは日常を切り取って描いています。エネルギーを満タンにして突っ走りたい」
東京開幕は27日、それから大阪、愛知、広島と全国を回る。

あらすじ
2018年春。愛媛・今治に本社のある『しまなみタオル』の東京支社に異動になった永尾完治は、アフリカ育ちの天真爛漫な女性・赤名リカと共に新プロジェクトを任される。 ある日、既に上京していた地元の高校の同級生・三上健一に会いに行くと、完治が高校時代から想いを寄せる、関口さとみもやって来た。 昔話で盛り上がりつつも、予想外の再会に動揺する完治。そこに突然、リカが現れた。……この夜、恋が動き出す。

フジテレビにて全3回の特別番組放送!
ミュージカル「東京ラブストーリー」を観るべき10の理由
TVerにて見逃し配信中!>>https://tver.jp/series/sr00pjc0u5

概要
ミュージカル『東京ラブストーリー』
日程会場
東京:2022年11月27日(日)~12月18日(日) 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
大阪:2022年12月23日(金)~25日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
愛知:2023年1月14日(土) 刈谷市総合文化センター大ホール
広島:2023年1月21日(土)~22日(日) JMSアステールプラザ大ホール

出演
空キャスト
永尾完治:柿澤勇人
赤名リカ:笹本玲奈
三上健一:廣瀬友祐
関口さとみ:夢咲ねね

海キャスト
永尾完治:濱田龍臣
赤名リカ:唯月ふうか
三上健一:増子敦貴(GENIC)
関口さとみ:熊谷彩春

長崎尚子:綺咲愛里

和賀夏樹:高島礼子

永野亮比己、 引間文佳
新井希望、 尾関晃輔、 上條駿、 今野晶乃、 咲良、 高瀬育海、 俵和也、 照井裕隆、
妃白ゆあ、 町屋美咲、 安福毅、 矢吹世奈、 吉崎裕哉 (五十音順)

スタッフ
原作:柴門ふみ「東京ラブストーリー」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
音楽:ジェイソン・ハウランド
脚本・歌詞:佐藤万里
演出:豊田めぐみ

美術:松井るみ
照明:柏倉淳一
音響:山本浩一
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:鎌田直樹
映像:栗山聡之
振付:小池ミモザ
歌唱指導:ちあきしん
音楽監督補:村井一帆
振付助手:梶田留以
稽古ピアノ:森本夏生
演出助手:伴・眞里子
舞台監督:加藤高

主催:フジテレビジョン/ホリプロ
企画制作:ホリプロ

公式HP= https://horipro-stage.jp/stage/love2022/