尾上右近,水夏希,尾上菊之丞登壇 J-CULTURE FEST presents 井筒装束シリーズ 詩楽劇『八雲立つ』取材会レポ

本作の構成・演出を手掛けるのは、古典はもとより新作創りにも力を注いでいる、尾上流四代家元の尾上菊之丞。 スサノオ役には、歌舞伎のみならず大河ドラマ『青天を衝け』をはじめ、ミュージカル、バラエティー、歌番組や情報番組のキャスターなど多方面にする活躍する尾上右近。イワナガヒメ役には、元宝塚歌劇団・雪組トップスターで退団後もミュージカル、 ストレートプレイ、ダンス等さまざまなジャンルの舞台で活動する水夏希。演奏は、作曲家としてもジャンルを超えた音楽作りに 才能を発揮し、TVやCM等、映像音楽も手がけるヴァイオリニストの川井郁子と、ダンス音楽やクラシック音楽との共演などにも 国内外で活動する太鼓・笛・胡弓奏者の吉井盛悟。そして、石見神楽の保存と活用に取り組む石見神楽(MASUDAカグラボ) の大蛇の舞が本作を彩る。

冒頭に本年の穢れを払い、また新年を寿ぐ神職による修祓が執り行われ、続いてプロローグではイザナキ(右近)、イザナミ(水)の神秘的な歌の掛け合いによって神産み、国生みが描かれる。
黄泉へと去った母イザナミの穢れを払い生まれたスサノオ(右近)は舞台上で衣裳を着け隈を取り、『暫』や『押戻し』などに代表される歌舞伎の荒事を見せ荒む魂、荒御魂を現して、天上へと踊り込み、一方、瓊瓊杵尊に袖にされ侮辱を受けた岩長姫(水)は闇落ちして大蛇となる。
大蛇となって美しき女性を喰らい尽くす様子を石見神楽と岩長姫の“大蛇タンゴ”で見せていく。
そして、石見神楽のスサノオと右近演じる二人のスサノオが相対して神とは如何に、人とは如何にと問う
“二人スサノオ”の場面は本作の大きな見どころ。スサノオが大蛇の首を斬り、岩長姫の闇が立たれると世を覆う邪が払われ大団円の舞上げとなります。
古事記の神話の世界を舞台に、古典芸能、ミュージカル、日本舞踊、神楽、音楽の第一線で活躍する舞台人
たちが見せる大胆で斬新なコラボレーションで、行く年を祓い、新年を寿ぐに相応しい舞台を。
都内で取材会が行われた。会見に臨んだのは尾上右近、水夏希、尾上菊之丞。MCは戸部和久(脚本)。

尾上右近 (スサノオ役)
年末年始に向け、準備を進めていき、多くの方に楽しんでいただきたいと思っております。歌とお芝居と踊りと、存分に自分のやるべきことを生かせ る舞台をご用意いただきました。年末は、今年一番良い仕事をしたと言えるように、年始は、この舞台を越えられないと思うような舞台を努めたいと 思います。 本作の衣裳は、歌舞伎の衣裳より軽く、非常に動きやすく、表現しやすい、ふくよかな着心地が印象的です。色鮮やかで形も様々で、衣裳が表現 してくれる部分も非常に多いと思います。「総合芸術」という物を感じていただける舞台になるかと思います。 年末といえば格闘技のイメージがありますが、今回の公演は表現の総合格闘技となっておりますので、是非東京国際フォーラムへお越しください。

〈今年の振り返りと来年の抱負〉
歌舞伎座で大役をやらせていただくなど、お仕事に恵まれ、非常に幸せな1年でした。 また、責任を担いながらも楽しむということを実感した1年でございました。来年は、「右近」を名乗らせていただいておりますので、 ウコン飲料系の広告に出させていただきたいな、という風に思っております(笑)。

水夏希 (イワナガガヒメ役)
歌舞伎役者の方、舞踊家の方と一緒に日本舞踊を踊るのは非常に不安ですが、音楽や構成など今まで見たことの無いような、 素晴らしい作品になると思います。宝塚時代に『スサノオ』という作品で八岐大蛇の役を演じましたが、まさか退団後、再び大蛇の役を演じることに なるとは思ってもみませんでした。今回は日本の神話のお話ではありますが、これまで自分がやってきたアルゼンチンタンゴが融合するなど、珍し いコラボレーションもあります。イワナガヒメの失恋の悲しみを存分に、妖艶に演じられればと思います。 非常に軽いお衣裳ではありますが、何枚も重ねて着る一枚一枚が緻密にできていて、そう言った細かいところから、内側から作品の世界観を作っ てくださっています。また、本物の丁寧なお衣裳を着ることによって気持ちも高揚しますので、非常に楽しみです。

〈今年の振り返りと来年の抱負〉
沢山の舞台に出演させていただき、充実した1年でした。 芸能生活30周年を迎えるにあたり、今後の人生ではやりたいことを存分にやりたいと考えました。 8年間習っているアルゼンチンタンゴもより力を入れ、海外からアーティストをお招きするなど本格的な公演を行ってみたいと思います。

尾上菊之丞 (構成・演出、天の御柱役)
歌舞伎やミュージカル、石見神楽など様々なジャンルの方々が集い、その中での化学反応を皆様に感じていただきたいと思っております。 イワナガヒメの苦しみを情熱的なタンゴで表現したり、皆さまの培ってきた経験を舞台上で活かしつつ、芸能の魅力の対峙をお見せいたします。 おもちゃ箱のような、どこを切ってもめでたい要素が詰め込まれた本作にどうぞご期待下さい。

〈今年の振り返りと来年の抱負〉
特に反省することはございません(笑) 今年は、自身の会でも八岐大蛇をやらせていただき、非常にご縁を感じております。 神様に引っ張られているようなそんな感覚です。 芸能も厳しい状況が続いておりますが、打開するべく様々な策を打ち出し、先々につなげていきたいと思っております。

公演概要
タイトル :J-CULTURE FEST presents 井筒装束シリーズ 詩楽劇 『八雲立つ』
日程・会場:2022年12月30日(金)~2023年1月1日(日)   東京国際フォーラム ホールB7
出演 :尾上右近 水 夏希 川井郁子 吉井盛悟 石見神楽(MASUDAカグラボ) 尾上菊之丞
林 佑樹 花柳喜衛文華 藤間京之助 若柳杏子 花柳まり草
構成・演出:尾上菊之丞
脚本:戸部和久
音楽・演奏:川井郁子(ヴァイオリン) 吉井盛悟(和楽器)
企画:井筒與兵衛
後援:読売新聞社
主催:井筒 東京国際フォーラム
企画制作:井筒企画 井筒東京

公演公式サイト: https://www.iz2tokyo5.com/

同時開催
J-CULTURE FEST Presents 「体験・企画展示」
『正月に出会う 五節供の日本』展
企画展示
日 時:2022年12月29日(木)~2023年1月3日(火)
会 場:東京国際フォーラム ホールB5
入場料:1,000円(税込) ※保護者同伴の未就学児入場無料
※詩楽劇 『八雲立つ』公演チケットをお持ちの方は、入場は無料。
1/4スケール展示
・紫宸殿展示:人日「白馬節会」
・寝殿展示 :上巳「曲水の宴」、端午「競馬」、七夕「乞巧奠」、重陽「茱萸袋」
【等身大・実物大展示】
・新春:ぶりぶり、百人一首かるた、月次公事屏風一双 ・上巳:江戸時代の雛人形・等身大享保雛
・端午:檜兜、五月人形  ・七夕:乞巧奠、織姫・彦星装束  ・重陽:菊の着せ綿・重ねの色目

ワークショップA 「子供向け衣裳体験。お内裏様やお雛様になってみよう」
会 場:東京国際フォーラム ホールB5エントランス
体験料:500円(税込)
ワークショップB 「フォトスタジオ。平安時代の衣裳を着て記念写真」
会 場:東京国際フォーラム ガラス棟会議室
体験料:5,000円(税込)
物販(グッズショップ)
会場:東京国際フォーラム B5エントランス
出店:赤福/銀座HIGASHIYA/染司よしおか 他(予定)
主 催:井筒 東京国際フォーラム
監 修:八條忠基  企画協力:五島邦治
企画制作:井筒東京 井筒企画
協 力:綺陽装束研究所 風俗博物館 京都宮廷文化研究所
後 援:読売新聞社

五節供の日本 展示情報サイト:https://www.izutsutenji.com/

フォトセション撮影:宮川久