ポルノグラフィティ新藤晴一 初のミュージカル制作 a new musical『ヴァグラント』開幕 運命と時代、そして人生は続く。

ポルノグラフィティ新藤晴一 初のミュージカル制作 a new musical『ヴァグラント』が開幕した。
大正時代を舞台に、さまよう者(ヴァグラント)たちを描くオリジナルミュージカル作品。
初日前に会見と公開ゲネプロが行われた。

時代設定は大正、およそ100年前の日本。第一次世界大戦の影響による好景気(大戦景気)に沸いた頃、大正デモクラシー、1910年代から1920年代、概ね大正年間にかけて起こった、政治・社会・文化の各方面における民本主義の発展、自由主義的な運動、風潮、思潮。炭鉱の街、第一次欧州大戦後の石炭需要に支えられて、活発に採炭されるようになったが、その一方で坑夫たちの労働は過酷さを増していった。また、物語にも登場する米騒動、1918年(大正7年)に日本で発生した、コメの価格急騰にともなう暴動事件。とりわけ東京市での暴動は、ほかの地域と比較して反ブルジョア思想を背景とした都市暴動、その参加者の多くは若年層の男性。米騒動は山口県や福岡県、熊本県での炭鉱での労働争議へ。こういった史実を押さえておくと、物語やテーマがよりわかる。

社長の就任式に呼ばれたマレビト2人。

オープニング、ロック調から変化し、日本的な旋律、琴の音色、アップテンポで現代風なメロディ、物語の出だしの時代設定は1918年。多彩な楽曲で物語が進行、ゲネプロで佐之助役を演じたのは平間壮一。高い身体能力を活かしたマレビトぶりが合っている。幼馴染の政則(水田航生)、譲治(上口耕平)、トキ子(小南満佑子/山口乃々華〈ダブルキャスト〉)が背負っている宿命、佐之助はこの3人に興味を持つ。

トキ子は10年前に親が殺され、その犯人を知りたいと思う。政則は炭鉱の新社長、理想と現実のギャップ、会長は父、無論、どんなことがあっても逆らえない立場にある。譲治は炭鉱夫、炭鉱の労働環境を良くしたい一心で会社に抗議、史実の労働争議と交錯。幼い頃と違い、現実がこの3人を複雑な関係に。佐之助は出会ったヤマの人々の問題に首を突っ込む。佐之助は?人々の運命は?というのが大体の流れ。バッドエンドにはならないが、それぞれに”決着”がつく。そして人生は続いていく。

会見の様子

新藤晴一

新藤晴一。「1カ月以上の長い稽古、どんどん仕上がっていく感じ。ライブはリハーサルと本番は全然違うもの。お客様に育てていただくもので、舞台もそう。本番でキャストさんの表情や演技を見るのが楽しみです。(稽古を)客席で観ていると、自分が思っていたものと様子が違っていて、よい意味で『こんなにライブ感があっていいんだ』と思いました」

平間壮一

平間壮一。「この期間しかミュージカル『ヴァグラント』をできないのがもうすでにさみしいです(早っ)」

廣野凌大

廣野凌大。「僕らはお客様が何を受け取ってくれるか、ということと永遠に向き合っている仕事」

小南満佑子。「今までに歌った音楽の中でも一番なんじゃないかというぐらい難しい、でも、すごく晴一さんらしい、お客様に向けたメッセージが込められた歌詞。ぜひ!」

山口乃々華

玉置成実。ネタバレ発言。「晴一さんが声で出演しているシーンが…(笑)」どこがそうなのかは、劇場で。

美弥るりか
板垣恭一

板垣恭一。「原作がまったくない完全オリジナルストーリー。なおかつ日本の話なのが見どころ、脚本を作りながら『面白いものを全部入れよう』と。こういうふうに日本のミュージカルが作れるんだ、ということを見せたい」

<稽古場レポ>

ポルノグラフィティ新藤晴一 初のミュージカル制作 a new musical『ヴァグラ ント』稽古快調

あらすじ
時は大正。 佐之助(平間壮一/廣野凌大〈ダブルキャスト〉)と姉貴分の桃風(美弥るりか)は、”マレビト”と呼ばれる芸能の民で、めでたいこと や不吉なことがあった場所に赴き、歌や踊りを披露していた。マレビトの仕事は「ヒト様の人生に区切りをつける」こと。それゆえ「ヒト様」と安易に接触することを禁じられている。しかし「ヒトの正体」を知りたい佐之助は、新社長の就任式で招かれた炭鉱の街で、 幼い頃から炭鉱のムラで育ってきた幼馴染の政則(水田航生)、譲治(上口耕平)、トキ子(小南満佑子/山口乃々華〈ダブルキャスト〉)と遭遇したことで、彼らに興味を持ち、ことあるごとに近づこうとする。
それぞれの事情を抱え、背負う運命に苦しむ幼馴染3人と、マレビトとして生きるために「人の正体」を見極めようとする佐之助の運命が交錯したとき、米騒動という市民運動の影響を受け大きく揺れるこのヤマで、多くの坑夫たちを巻き込んだ騒動が発生する。
悪い過去が暴かれ、今を見失い、未来がおびやかされても、ヒトは戦い続けることが出来るのか。
100 年前の日本をメタファーに、彷徨う(=ヴァグラント)ものたちを描くオリジナル・ミュージカル。

配役
平間壮一・廣野凌大 :佐之助(“マレビト”と呼ばれる芸能の民。マレビトの掟を破って、出会ったヤマの人々の問題に首を突っ込んでいく。)
小南満佑子・山口乃々華:三葉トキ子(炭鉱の私設取締隊の隊長。10年前に親を殺した犯人を探し続けている。)
水田航生 :弓削政則(三ツ葉炭鉱の新社長。理想に燃える反面、会長である父親には逆らえず思い悩んでいる。)
上口耕平 :山崎譲治(ヤマの炭坑夫。無産運動の影響を受け、炭鉱の労働環境を良くしようと会社に抗議を続けている。)
玉置成実 :アケミ(炭坑夫たちが集まる酒場「ル・ラパン」のママ。政則とは異母姉弟。)
平岡祐太 :健三郎(酒場「ル・ラパン」に金の無心に現れる坑夫。先代の会長との繋がりを常に匂わせている。)
美弥るりか :桃風(佐之助の姉貴分にあたる“マレビト”。佐之助に振り回されて散々な目に合いながらも彼を見守り続ける。)

公演概要
a new musical「ヴァグラント」
プロデュース・原案・作詞・作曲:新藤晴一(ポルノグラフィティ)
脚本・演出:板垣恭一
出演:
平間壮一・廣野凌大(W キャスト)/小南満佑子・山口乃々華(W キャスト)
水田航生 上口耕平 玉置成実 /平岡祐太 美弥るりか
宮川浩 大堀こういち 吉田広大 遠山裕介 加藤潤一 礒部花凜 大月さゆ
山田裕美子 酒井翔子 杉山真梨佳 大泰司桃子 大川永 松村曜生 辰巳智秋 宇部洋之 大村真佑 りんたろう 荒川湧太 吉見彗 杉山穂乃果 脇山桃寧(子役トリプルキャスト)
東京主催:アミューズ/明治座
大阪主催:新歌舞伎座
企画・製作:アミューズ

公式 HP: https://vagrant.jp/

取材・撮影:金丸雅代