田中哲司, 安達祐実 etc.出演 赤堀雅秋プロデュース新作 『ボイラーマン』 本多劇場にて_

新作・赤堀雅秋プロデュース「ボイラーマン」を3月7日より東京本多劇場にて上演。
時に無様な、時に滑稽な、そんな様をみせる人間たちの機微を独自の観点から描き出し、独特のユーモアを交えながら、あたかも観客が登場人物たちの日常を覗き見しているような不思議な空間へと誘う、劇作家・演出家・俳優であり、近年では映画の監督を行う赤堀雅秋が新作書き下ろし「ボイラーマン」を上演。


主演は赤堀と幾度もタッグを組み、その存在感と演技力で赤堀作品を支えてきた日本演劇界で欠かせない俳優・田中哲司(近年作品、ドラマ「ゆりあ先生の赤い系」、「らんまん」、『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』など)が務める。
そして田中との本格的な共演は初となるヒロインには近作の舞台『劇団た組「綿子はもつれる」』、ドラマ「大奥」、「うちの弁護士は手がかかる」など多岐に渡り活躍の安達祐実。意外にも演劇経験は少ないが赤堀ワールドで田中哲司とどう絡みどんな新ヒロインを演じるのか注目が集まる。そして唯一無二の存在感を放つでんでんとは「神の子」に次ぎ赤堀と2度目のタッグを組む。ナイロン 100℃、阿佐ヶ谷スパイダースでの活動やNODA・MAP など数多くの舞台に出演の村岡希美。他に、赤堀作品「鳥の名前」、「パラダイス」、など4度目の出演となる水澤紳吾。今回赤堀作品初参加になる元乃木坂46の樋口日奈、そして薬丸翔。赤堀作品「蜘蛛巣城」に続き2度目の出演となる井上向日葵とフレッシュなメンバーが揃った。

まだまだストーリーは未知ではあるものの、イントロダクションでは、
素性を隠し慎ましやかに暮らす主人公、悪の組織に捕われてしまった悲劇のヒロイン、主人公の相棒は実は悪の組織から送り込まれたスパイ、主人公はヒロインの前でついに己の正体をさらすことに。その名は……という物語ではないことは確かだ。何しろボイラーマンだ。地獄のように何も起こらない現実の社会に生きる地獄のように何もない凡庸な中年の男。何もない世界に生きる市井の人々。それでも作者の私にとって彼ら彼女らはヒーローでヒロインだ。そう、その名は、ボイラーマン!!!
と、世の中への憂いと新たなエネルギーをと感じ取ることができる。赤堀雅秋ならではの世界観にどっぷり浸かれる作品に。

コメント
赤堀雅秋
新作の最初の一歩はタイトルで、今回降ってきた言葉は『ボイラーマン』でした。実在する職業名ながら発音すると妙にバカバカしく、ヒ ーローの名に連なるものにも思え、今はひたすらその言葉をいじくり回しています。 とはいえ自分が書く以上、登場人物が特殊能力を持っていたり宇宙から来たりする訳なない。市井に生きる凡庸なブルーカラーの 人々。けれど感染症以降、凡庸な日常の表面は変わらず淡々と過ぎながらも、その根底がひどくもろく、足元がいつ崩れ去ってもお かしくないことに僕らは気づいてしまった。 そんな現実に向き合うほど、作家でもある自分は大きな虚無・虚脱を感じ、益々何を書き創ればいいものか悩み苦しむことになる。で すが自分にそれしかできない以上、なるべく正直に創り続けるしかありません。 そんなもがき続ける自分の芝居に、今回も安達祐実さんをはじめとする初めましての方から田中哲司さん、でんでんさんら僕の作品を 熟知する仲間までが集まってくれました。皆さんの存在を力に変え、今ここでしか創り得ない芝居を突き詰めようと思っています。

田中哲司
数年に一度の赤堀君との芝居づくり。大森君が欠席の今回は少々寂しいけれど、同時に僕だけが出演し続けられている光栄さと嬉し さは特別なものだと感じています。タイトルの『ボイラーマン』。どんな職業なのか、思わず検索してしまいました(笑)。結果、水蒸気を 噴出するようなボイラーの激しい様子と、それを管理する人のうら寂しい佇まいという真逆のイメージが浮かびました。今回はどんな 台詞を吐き、どんな「人間」を演じさせてくれるのか。最強の客演・安達祐実さんを筆頭に仲間と共に今回もたっぷりと赤堀ワールドに 浸りたいと思っています。

安達祐実
演劇経験がまだ少ない私にとって、舞台に立つことには修行のような意味合いがあります。その意味でも、人間の心の深いところを 暗部も含めて描き、作品へと昇華させる赤堀雅秋さんの舞台に参加させていただくことは、特別な修行になりそうな予感がしていま す。強い存在感を放つ先輩方に加え、私と同様に初めて赤堀さんの作品に挑む若い方々もいらっしゃる座組は心強い限り。そのうえ 赤堀さんは劇作・演出に加えて共演者でもあるんですよね。未知のことが多過ぎて、今は稽古の様子も本番も想像するのは難しいで す。だからこそ全てを委ね、作品の一員になれるよう思い切りよく赤堀ワールドへ飛び込んでいきたいと思っています。

でんでん
他人には見せない心の奥底にある醜悪な部分。自分の内面を抑えかねて歪む表情とひりつく心。そんな人間のどうしようもなさを描き 続ける、赤堀雅秋君の作品を演じることは、役者である自分の業の部分を堪らなく刺激される体験です。タイトルしかない今から、舞 台で生きる時間が楽しみでなりません。ま、好きにやらせてもらえればと(笑)。『ボイラーマン』と聞いて、敵と敵、悪と悪とを焚きつけて 戦わせ、イイところで両方を潰す男のイメージが湧きました。地位の高い連中ほど偽善と欺瞞にどっぷりで、腹立たしいことばかりの昨 今。自分も、そんなヒーローが居ればいいなと思う一人です。でも赤堀君が書くんだから、ただの正義漢ではないですね、きっと(笑)。

村岡希美
舞台に呼んでいただくのは『鳥の名前』以来ですが、その間も赤堀雅秋さんのシリーズは拝見しており、赤堀ワールドが深く広く広がっ ていくようで嬉しく思っていました。タイトルを聞いて思い浮かんだのはヒーロー物のイメージ。昔テレビ放送していた『アメリカンヒーロ ー・スーパーフライト』という海外ドラマがあり、宇宙人から特殊スーツをもらったのに取説をなくし(笑)、主人公がドジを踏みつつも必 死で闘ってどうにかこうにか困っているヒトを救う物語が大好きで。あのダメさと愛おしさは赤堀作品にも通じるもの。正統派ヒーロー は登場しないと思いますが、今回も赤堀ワールドを生きる、人間というどうしようもない生き物に目一杯愛情を注ぎつつ、その物語の 世界を生きられるのが待ち遠しいです。

水澤紳吾
2017 年の『鳥の名前』以降も舞台へ声をかけてくださり、申し訳ありません。近年、本当に赤堀さんの作品しか出演していないので、 演劇の師匠です。赤堀作品への出演は周りの俳優仲間からも「いいよなぁ」と重圧をかけられます。毎回緊張しっぱなしですが、”真剣 に真摯に”と、当たり前なのですが食らいついていくしかありません。タイトルを聞いて浮かんだのは、建築現場で時折見かけるボイラ ー技士さんの姿。赤堀さんの脚本ではどうなるのでしょうか。新作のイメージメモの中に「ヒーロー」という言葉がありましたが、ヒーロー 然としていなくても、誰かのために自分の仕事を命懸けでするような人が、今の混沌とした世の中には必要だと思います。

樋口日奈
『ケダモノ』を通して出会った赤堀雅秋さんの作品世界。そこには私がこれまで経験したことのない、でもそれこそが真実なのではない かと思えてしまうほどの、リアルな言葉と人間の姿が溢れていて衝撃を受けました。仕事をする中で、苦労すればするほど自分の殻を 破る機会になると私は思っているのですが、赤堀さんの創作に参加することで、今まで以上に特別な殻を破る体験をさせていただけ そうな予感がしています。実際にお会いした赤堀さんから感じたのは、”全てを見透かされている”ような怖さと、「だからこそ自分でも 気づかない自分を引き出していただけるのではないか」という大きな期待。そして素晴らしい先輩方の多い座組ですから、全てを吸収 するスポンジのような状態で稽古と本番を過ごし、是非とも成長しなければ!と思っています。

薬丸翔
僕にとって赤堀雅秋さんの作品への入口は、映画『その夜の侍』と舞台『葛城事件』。どちらも「これでもか!」というほど人間に深く切り込み、荒々しくも真実を語る言葉に満ちていて衝撃を受けました。以来、憧れ続けていた赤堀作品にお声がけいただいた今回。嬉 しさと同時に、劇作・演出に加えて俳優としても超絶上手い赤堀さんや錚々たる先輩方と、舞台上で向き合うことを考えると正直怖さ も感じています。芝居で同じことをしても、敵うことは絶対にないとわかっている。では自分にできることは何か、何が武器になるのか を妄想たくましくヒリヒリするくらい、日々考えているんです。今は戦場に向かう兵士の心境。あとは思い切りよく稽古場に飛び込むし かないですね。

井上向日葵
2023 年年頭の舞台『蜘蛛巣城』に続き、赤堀雅秋さんとご一緒させていただくのは二度目になります。でも前回は原作映画があった ので、赤堀ワールドにどっぷり浸るのは初めて。どこか影のある人々が、じめっとした世界を蠢くような赤堀さんの作品世界は私にとっ て経験したことのないもの。少し怖くもありますが、俳優としては得難い挑戦の機会になる予感がしています。 俳優の赤堀さんは、悪事を企みながら優しい表情を見せたり、野卑なことを言いながらふと寂しげな目になったりと、予測できない面 が不意にこぼれてくる魅力的な存在。前回も、間近にすると吸い込まれるように感じる瞬間がありました。劇中でどんな関係性になる かはわかりませんが、再びの共演を心から楽しみにしています!

概要
作・演出:赤堀雅秋
出演:田中哲司 安達祐実 でんでん 村岡希美 水澤紳吾 樋口日奈 薬丸翔 井上向日葵 赤堀雅秋
日程・会場:2024 年3月7日(木)〜20日(水・祝) 本多劇場
企画・製作:コムレイド
問合:boilerman2024@gmail.com

公式 HP:https://www.comrade.jpn.com/boilerman/