三谷幸喜 新作書き下ろし 柿澤勇人,宮澤エマ,迫田孝也出演 舞台『オデッサ』開幕

三谷幸喜 作・演出、柿澤勇人、宮澤エマ、迫田孝也の三人芝居『オデッサ』が開幕。キャッチコピーは-真実はTRUTHより奇なり-。
本作は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」以来、三谷幸喜が舞台作品へ久しぶりに新作を書き下ろし演出する。舞台と映像の活躍が目覚ましく、三谷氏の信頼が厚い柿澤勇人、宮澤エマ、迫田孝也の3人が挑む密室劇。

初日に先駆けて会見とフォトコールが行われた。

作品の一部が公開されたが、その前に作・演出の三谷幸喜から簡単な説明があった。「オデッサはものすごく小さい町」と解説。それから物語の設定を説明。ちなみに「オデッサ」と聞くと映画好きな方は「戦艦ポチョムキン」の”オデッサの階段”を思い出すかもしれない。テキサス州西部の町オデッサはZucchi’s Sports Bar, ストーンヘンジ・レプリカ, Chris Kyle Memorialなど見どころの多いところ。地名は,1881年この地の鉄道建設に従事したロシア人労働者たちが,故郷オデッサの風光に似ているところから命名したもの。よって舞台セットを見るとマトリョーシカ人形が飾ってある。
物語の舞台は1999年、アメリカ、テキサス州西部の町オデッサ、国道沿いの小さなダイナー。3日前に起きた殺人事件の重要参考人として日本人旅行者の児島勘太郎(迫田孝也)がオデッサ警察のカチンスキー警部(宮澤エマ)から取り調べを受けている。児島は英語がわからない、カチンスキー警部は日本語がわからない。こで通訳として派遣されたのが留学中の日本人青年のスティーヴ日高(柿澤勇人)。児島は事件には無関係のようだが、事情があって自分が犯人だと証言している。だが、スティーヴは彼を犯人とは思っておらず、児島を助けたい一心で児島が喋る内容とは違った話を警部に伝える。警部は児島を容疑者と考えているので、最初は通訳に違和感を覚えるも、3人の食い違った会話は進行。この嘘の通訳内容により、警部は児島が日本で蕎麦屋を営んでいると思い込む。音楽はピアノの生演奏、これが雰囲気を盛り上げる。

カチンスキー警部(宮澤エマ)と児島勘太郎(迫田孝也)がテーブルに向かい合わせで座っているシーンから。スティーヴ日高(柿澤勇人)が真ん中に立って通訳をしている。英語がストレートに理解できなくても、英語の台詞は後ろスクリーンに字幕で出るので、そこはご安心を。

舞台後方に字幕が出る。
とんでもない”任務”に困り顔のスティーヴ日高(柿澤勇人)。
デキる女性・カチンスキー警部(宮澤エマ)。
旅行者・児島勘太郎(迫田孝也)、バックパッカーという設定なので服装がヨレッと。

児島は自分が犯人だと説明をするも…スティーヴは警部に「ただ、景色を楽しんでいただけだ」と嘘を(もっともオデッサは景色の綺麗なところだが)。児島の身振りに合わせて嘘の通訳をするスティーヴ、やや冷や汗状態の困り顔。なぜか、警部に児島の詩を聞かせることに。即興で英語で詩を作るスティーヴ、だが、児島は自分の話をしている。ここのスティーヴと児島の身振り手振りのところは面白おかしく、見どころ。
なぜか、この詩に感動した警部は児島について俄然、興味がわき、蕎麦についてもっと知りたいと思い、話をせがむように。嘘まみれの通訳、児島にバレないように必死。

言葉の音が似ている(笑)。
児島は殺人の決定的な動きをしてる側でスティーヴ日高がそれを「打ち粉」の動作に”変換”…。

児島は殺人の時の動きを説明するも、スティーヴはこれを蕎麦打ちの動作として通訳。その字幕と児島の台詞、もちろん内容は全く違うもなぜか動きは違和感なし(笑)。すっかり蕎麦打ちの説明をしてくれているのだと警部は完璧に勘違い。

親切に教えるスティーヴ日高。
楽しそうな2人。
感謝されて呆然とする児島。

それから簡単な会見。登壇したのは三谷幸喜、柿澤勇人、宮澤エマ、迫田孝也。三谷幸喜にとって、書き下ろし新作舞台は実に3年半ぶりとなる。

日本人旅行者役である迫田孝也は鹿児島出身、この旅行者の設定も鹿児島出身なので鹿児島弁はお手のもの。カチンスキー警部役の宮澤エマは英語が堪能、幼稚園の年少から年長まで父親の仕事の関係でアメリカで暮らし、大学3年時にはケンブリッジ大学へ留学している。この作品の英語監修も彼女が行っている。そして、柿澤勇人が演じるスティーヴ日高は日本人留学生なので、英語も日本語も喋れる、さらに鹿児島弁も操るという設定(一番大変!)。台本を読んだ時「鬼の三谷」と思ったそう。

三谷幸喜は「面白い映画と面白い舞台を比べたら絶対に舞台が面白いという思いが強い」とコメントし、「これに関してはそういう僕の思い…こういうものなら普段、映像しか見ていない方々でも絶対に楽しんでもらえる、ようやくそこに近い形のものができたかな?」と語る。柿澤勇人は台詞量がとにかく膨大な上に”多言語”状態。柿澤勇人は神奈川県出身、よって鹿児島弁に関しては鹿児島に行って実際の鹿児島弁を聞いたりしたそう。さらに鹿児島出身の迫田の鹿児島弁と宮澤エマの英語をCDに吹き込んで『ヒアリンング』もしたそう。その努力の成果は劇場で!ただし、「家の鍵のオートロックの暗証番号が出て来なくなった」とその台詞量に普段使い慣れているはずの番号を失念したとコメント。宮澤エマは「英語で舞台をするのは初めて」と語った。
また、宮澤エマの英語監修については三谷幸喜が稽古場に行きたくなくなるくらいだったそう。宮澤エマは英語の台詞をわかりやすく言いやすくしたそうで、”英語得意”という観客はそこもチェックすると面白さ倍増するかも。また英語ではない日本語の台詞についても「ダメ出し」があったことを語った。その当の宮澤エマはそれを否定せず(笑)、三谷幸喜から『先生?何かありますか?』と聞かれるようになったとか。

さらに迫田孝也からもダメ出しがあった様子。台詞にダメ出しされたのは30年ぶりと三谷幸喜。迫田孝也は鹿児島弁のネイティブスピーカー、「楽をしたな、という意識はあった」とコメント。迫田の流暢な鹿児島弁は作品のアクセントに。
三谷幸喜は「みんなで舞台に立てるのは幸せ」と語ったが、コロナ禍が始まった2020年の頃を考えると状況は少しずつ平常に。休憩なしのおよそ120分、会話劇、日本語、英語、鹿児島弁の”3ヶ国語”演劇。東京は28日まで。その後は大阪や福岡などをまわり、千秋楽は3月3日。

イントロダクション
オデーサ。 ウクライナ南部にある都市。 かつてはオデッサと呼ばれていた。
しかしこの物語は、オデーサともオデッサとも関係がない。
アメリカ、テキサス州オデッサ。
1999年、一人の日本人旅行客がある殺人事件の容疑で勾留される。
彼は一切英語を話すことが出来なかった。
捜査にあたった警察官は日系人だったが日本語が話せなかった。
語学留学中の日本人青年が通訳として派遣されて来る。 取り調べが始まった。
登場人物は三人。 言語は二つ。 真実は一つ。
密室で繰り広げられる男と女と通訳の会話バトル。

三谷幸喜が巧みに張りめぐらせる「言葉」の世界。
それは真実なのか、思惑なのか――――。
あなたはそのスピードについて来れるか。

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」以来、舞台作品へ久しぶりの新作書き下ろし。
舞台と映像の活躍が目覚ましく、三谷氏の信頼が厚い柿澤勇人、宮澤エマ、迫田孝也の3人が挑む密室劇に期待が高まる!

概要
日程・会場
東京:2024年1月8日(月祝)~28日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
大阪:2024年2月1日(木)~12日(月祝) 森ノ宮ピロティホール
福岡:2024年2月17日(土)~18日(日) キャナルシティ劇場
宮城:2024年2月24日(土)~25日(日)東京エレクトロンホール宮城
主催:キョードー東北/キョードーマネージメントシステムズ
愛知:2024年3月2日(土)~3月3日(日) Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
キャスト:柿澤勇人、宮澤エマ、迫田孝也
スタッフ:
作・演出:三谷幸喜
音楽・演奏:荻野清子 美術:松井るみ 照明:服部基 音響:井上正弘
衣裳:前田文子 ヘアメイク:高村マドカ 演出助手:伊達紀行 舞台監督:瀧原寿子
主催:ホリプロ/フジテレビジョン
企画制作:ホリプロ

WEB:https://horipro-stage.jp/stage/odessa2024/