1987年に第一作がリリースされ、2017年にはタイトル数は87、ギネスブック世界記録に認定されている。今回の『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE』は『FINAL FANTASYシリーズ』初のストレートプレイによる舞台化。『FFBE』の数百年前の時代を舞台とし、後の『FFBE』の歴史において「幻影戦争」と呼ばれる事となる戦乱の物語が描かれる。舞台化にあたって見どころ、またゲームの舞台化の難しさや面白さなどを『舞台ヨルハ』シリーズや『舞台トワツガイ』などを手掛け、今回、脚本・演出を担う松多壱岱さんのインタビューが実現した。
ーーこの作品を手掛けることになった感想を。
松多:歴史ある『ファイナルファンタジー』シリーズ、ミュージカルや歌舞伎などいろいろな形で上演されてはいますが、ストレートプレイの舞台化は今回が初めてなんです。なので、すごく興奮していると同時に、プレッシャーも感じますね。
ーー本当に息の長い長いシリーズですよね。
松多:いろんなストーリーもありますしね。そして『ファイナルファンタジー』ならではの要素としてクリスタルとか、シリーズのものであるということは意識して演出したいなと思っています。
ーー原作『FFBE幻影戦争』の面白さをお願いします。
松多:ゲームも3Dで、臨場感あるんですよね。音楽もすばらしいですし。特に世界観を大事にして作っているなと。ストーリー、プロットを作るにあたっていろいろ調べたんですけど、設定としては日本の戦国時代みたいな、各列強国がしのぎを削っている世界。その中で、巨大な国に挟まれた主人公、リオニス国の王子・モントを中心とした物語になっています。今回の舞台化では、この『FFBE幻影戦争』の第一部のストーリーで構成されていますね。ファンタジーな世界観ではあるんですけど、ドラマとしては家族を想う気持ちだったりとか、国を守ったりだとか。とても骨太でドラマチックな世界観なのが、見どころなんじゃないのかなと思います。
ーー戦国時代と中世ヨーロッパの混沌とした感じをうまくミックスさせたような、魅力的な世界観。そして主人公がいる弱小国が奮闘するのは王道だし、共感を呼びそうですよね。
松多:今回舞台化するストーリーは、実は第一部13章まであるんですよ。単純にゲームプレイしたら何時間かかるかわからないくらい長い。登場人物も舞台版の3倍以上はいるし。今回はその中で、リオニス家というところに絞って、初めての方でもわかりやすくなっているのは注目してほしいところですね。
ーー台本を見ると結構、人間ドラマが濃いんですよね。確執と愛情があったり……。
松多:そうなんです。父上との確執がね。台本を読むだけじゃなくて、いざ立ち稽古を始めてみたら結構「つらい」んですよ。なんでこんなになっちゃったんだろう、と思うくらい。エモいですよ。なので、ゲームを知らない人ならなおさら「『FFBE幻影戦争』って、こんなに迫る話なんだ」と驚かされると思います。
ーーそういえば『ファイナルファンタジー10』をベースにした歌舞伎の方は、観るのにかなり時間がかかる壮大なものでした。
松多:今回は、尺の都合もありますしあそこまでではないです。演出に関して言えば、劇場なのでその世界でリアルに『FFBE幻影戦争』の世界を感じられるようなテーマでやりたいなと思っていて。舞台装置とか、映像のマッピングであってもゲームの映像を織り交ぜつつ、世界に入り込んだようなテーマパークみたいな、そんなイメージで演出しています。単純に衣装や小道具もリアルに作っていただいていて。役者さんもそれを着て「生きるんだ」という熱量を持って稽古に取り組んでいるところ。そこの世界が出現するような雰囲気で作りたいですね。客席全体を巻き込むような、臨場感。
ーーイマーシヴ、没入感を大事にしていらっしゃるということでしょうか。
松多:そうですね。舞台から客席にまではみ出しているようなイメージ。
ーーゲーム中にはいろんなエフェクトもあると思いますが、どのくらい再現しておられるのでしょうか。
松多:各キャラに、必殺技みたいなのがあって。ゲーム内の言葉を使うと「リミットバースト」と言うんですけど、それがある役についてはきっちり再現します。映像なりなんなり使って表現するつもり。割と再現性が高いので、ご期待ください(笑)。
ーー再現の度合いというのがゲームファンにとって気になるところですしね。
松多:僕もゲームをするので、それがまったく再現されてないとなるとガッカリする気持ちはわかります(笑)。どんな雰囲気ならゲームファンは納得するのか、という着地点は目指せていると思っていますよ。
ーー10年前、15年前ではできなかったことが可能になったので、そこも再現性という点では大きいかなと。
松多:とはいえ、舞台は生ものなので。アナログとハイテクを混ぜるというか、それでお客様の想像を掻き立てるというのが僕個人としてのテーマ。そのあたりのバランスをみて演出しています。
ーーアナログ面といえば、俳優さんのアクションもですよね。
松多:アクションは、今回始めて安田桃太郎さんという殺陣師の方とタッグを組んでやらせていただいています。人の動かし方とかすごいなって観るたび思いますよね。ダイナミックであり、繊細でもある。ストーリーを邪魔しないし、ちゃんと魅せるバランスなのでアクションも素敵になると思います。
キャラクターがそれぞれ持つ武器とのバランスも考えられていますよね。漫画とかゲームでよくある「この武器どうやって使いこなすんだろう」みたいなものも注目ですよね。
とんでもなくデカい武器とかもね(笑)。稽古の殺陣付けのときだけ本番で使う武器でやったりもして、慣れるようにしています。
ーーキャストさんもバラエティに富んでいますね。
松多:主役の吉田くんはアーティストですし、川上さんは言わずもがなアイドル。それに、昨年引退しましたけど元プロレスラーの赤井沙希さんや、芸人のレイザーラモンHGさんも。どなたも一線でやられている方ばかりなので、すごくポテンシャルも高いから演出しやすいというか。意外性といえば、レイザーラモンHGさんのお芝居が、とても迫力があって、かっこいいです。ネタやってる姿とはまったく同じ人だとは思えないくらい。アラサー、アラフォーの方なら「ええ、あれ“フォー”の人なの!?」って感想を抱けるかも(笑)。なので、楽しく稽古をやらせていただいてますね。
ーーそれでは、最後にメッセージを。
松多:役者さんの話でいくと、新しい舞台という場でトライをしていただいているわけです。その様子が生き様となって観られるんじゃないかなと思うんですよね。いろいろな各キャラもすごく魅力的ですし、吉田くんと武藤くんは事務所の先輩後輩の間柄なんですよね。そんな関係性がそのまんま舞台に乗っている気がします。最近いいコンビだなと思っているのは、マシュリー役の川上さんと、それを守る従者であるシュゼルト役の桜庭くん。桜庭くんは身長187cmなんですが、そんな大きい人が小柄な人を守るのってすごく“燃える”いや“萌える”感じ(笑)。いろんな発見があると思うので、楽しみにして来てほしいなと思っています。もちろん、内容的にはどんな方でも楽しめるものなので、始めての人にも、ゲームやってる人でもグッと来るものになっていると思います。
ーーありがとうございました。公演を楽しみにしています。
イントロダクション
列強に囲まれしリオニスは小国ながらも、
一目を置かれる存在であり続けていた。
その理由は、「翼ある者」に授けられた「指輪」にある。
ビジョン── すなわち具現化された想いを使役し
戦わせることのできる力は、
それほどまでに各国にとって脅威だったのだ。
だが、幾重にも交錯する残酷な運命は
絆や愛、そして友情までをも静かに蝕んでゆく。
リオニスに生まれた双子の王子、
モントとシュテルとて例外ではなかった。
彼らの確執は、長きに渡る幻影戦争の戦端を
開くこととなるのであった。
群雄割拠するこの地で
まばゆき光をたたえたクリスタルは
果たして誰に微笑もうというのか。
概要
タイトル:FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE
日程・会場:2024年2月23日(金・祝)〜3月3日(日) ヒューリックホール東京
原作:FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争(スクウェア・エニックス)
音楽上松範康(Elements Garden)
脚本・演出:松多壱岱(ILCA)
出演:
吉田仁人(M!LK)
武藤 潤(原因は自分にある。)
川上千尋(NMB48)
赤井沙希 清井咲希 浦野秀太(OWV) 桜庭大翔
石坂 勇
レイザーラモンHG 姜 暢雄
鈴木紗理奈 前川泰之
奥平祐介 加納義広 工藤翔馬 熊倉 功 澤田圭佑 下尾浩章 中野貴文 横田 遼
※五十音順
主催:FFBE幻影戦争 THE STAGE実行委員会
企画・製作:エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ/ILCA
企画協力:スクウェア・エニックス
問合せ:https://supportform.jp/event(平日10:00〜17:00)
公式HP:https://wotv-ffbe-stage.com/
© SQUARE ENIX
©「FFBE幻影戦争 THE STAGE」実行委員会
取材:高浩美
構成協力:佐藤たかし