柿澤勇人 主演,演出・上演台本に吉田鋼太郎 _ 彩の国シェイクスピア・シリーズ『ハムレット』製作発表会レポ

彩の国さいたま芸術劇場開館30周年記念する彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd第一作『ハムレット』が上演。埼玉公演は`24年5月7日〜26日に彩の国さいたま芸術劇場大ホールにて。その後6月から、宮城、愛知、福岡、大阪にてツアー公演。

彩の国さいたま芸術劇場が開館30周年を迎える`24年に吉田鋼太郎が新しく立ち上げる【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】の第一作。演出と上演台本を吉田が担い、主演のハムレット役は、吉田がこのタイトルロールを演じてほしいと熱望した柿澤勇人が務める。新たに全キャスト。ハムレットの恋人・オフィーリア役に北香那、ハムレットの親友・ホレーシオ役に白洲迅、オフィーリアの兄・レアティーズ役に渡部豪太、ノルウェー王子・フォーティンブラス役に豊田裕大、オフィーリアとレアティーズの父でありデンマーク王の顧問官・ポローニアス役に正名僕蔵、ハムレットの母・ガートルード役に高橋ひとみ、他。

彩の国さいたま芸術劇場にて製作発表会が行われた。登壇者は彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督の吉田鋼太郎、柿澤勇人、北 香那。なお、この製作発表会には抽選で選ばれたおよそ200人のお客様が客席に。質問はお客様から公募。

喋りすぎて声枯れする吉田鋼太郎。

途中、客席へ「『ハムレット』はどんな話だと思いますか?」と問いかけ、吉田から直接指名された観客の一人があらすじを説明する場面も。

吉田鋼太郎(演出/クローディアス役)

この劇場では25年近く、シェイクスピアシリーズをやってきました。ひとくちに25年と言っても、それが劇団だとしたら25周年という随分長い期間になりますし、25歳の人が25年経ったら50歳で、息子や娘が舞台役者を目指して劇団に入る位の年月です。本当にそのくらい長い間、変わらず毎回満員のお客様の中でシェイクスピアを演じ続けて来れたということは本当に奇跡のようなことで、それを立ち上げて常にパワフルに走り続けてきたのが故・蜷川幸雄さんです。
そのあとを幸か不幸か、演出という形で任されました。幸か不幸かと申し上げましたが、不幸なんです。蜷川さんがやり残したシェイクスピア作品は5作品で、それらはほぼ上演されないような、難しい芝居でした。
去年小栗 旬さんの主演で『ジョン王』という、事実上の最後の公演を上演しました。蜷川さんの魂が僕の中にもあることを自負していますが、僕自身の血も入れながら蜷川さんの残してきた血脈のようなものを、魂だけは残そうと思って、できていたかはわかりませんが忠実にやったつもりです。
蜷川さんのひとつのポリシーとして、「シェイクスピアは大衆演劇だ」と常におっしゃっていました。僕達はイギリス人でも1600年代を生きる人間でもないので、現代の21世紀のお客様に伝わるようにひとつの架け橋を作らなければいけない。『ジョン王』では小栗さんを現代の青年として、劇場であるシアターコクーンがある渋谷の町から紛れ込んできた青年が舞台に上がってきたという形を取りました。
芝居というのはご存知の通り「PLAY」と書きます。遊びです。何をやったっていいんです。それを受け入れられるお客様もいればそうでないお客様もいるでしょうけれど、僕たちは好き放題やらせてもらいます。蜷川さんもずっとそうやってきたと思います。そのことだけは、蜷川さんから学んだこととして絶対に崩すまいと思ってやってきました。なるべく多くの人が喜んでくれる芝居をこれからも繰り広げていきたいと思っています。
『ハムレット』について言えばシェイクスピアが書いた36本の戯曲と『ハムレット』とで分けられる、それくらい特別な、演劇の最高峰と呼ばれている作品です。「父親が殺された」「母親が嫌な男と再婚した」、『ハムレット』は日常で起こりうる悲劇で、大したストーリーじゃないと思うんです。ではなぜ世界最高峰と呼ばれているのか?今は言いません。これはぜひ観ていただきたいです。
僕は50年近くシェイクスピアをやっていますが、どうしても『ハムレット』だけはとことん自分が納得のいくものにしたいと思い、柿澤さん、北さん、そして素晴らしい理想のメンバーに今回来ていただきました。観ないと絶対に損です。劇場でお待ちしています。

柿澤勇人(ハムレット役)

3年ほど前に(吉田)鋼太郎さんと『スルース~探偵~』という二人芝居をやりました。その大千穐楽の終演後、帰ろうとした時に鋼太郎さんが「お前のハムレットが見えた」とおっしゃってくださったことを鮮明に覚えています。俳優ならみんな、誰しもがいつか挑戦したいと思う役だと思いますが、それを憧れの先輩でもあり、演出家である鋼太郎さんに「やろうぜ」と言っていただいたことがすごく嬉しくて、念願が叶って今に至ります。
おそらく僕の役者人生で一番の台詞量だと思いますし、自分の持っているものをすべてさらけ出しても追いつかないんじゃないかなという不安もあるんですが、鋼太郎さんを信じて、なんとかいい舞台を開けたいと思います。

北 香那(オフィーリア役)

自分がオフィーリアを演じるということが、(決定から時間が経った今も)まだずっと新鮮なまま嬉しくて、夢見ごこちのようなところがあるのですが、これからお稽古がはじまっていくにつれ、徐々に実感が湧いてくると思うのですごく楽しみにしています。
この作品をやっていく中で、きっと私は「こんなお芝居をする自分っていたんだ」という初めての出会いがあるような気がしていて、今すごくワクワクしています。

製作発表の終わりには観客も参加可能なフォトセッションが設けられ、和やかなムードの中終了。

蜷川幸雄氏のサインと手形。

概要
<埼玉公演>
期間会場:2024年5月7日(火)〜26日(日) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
主催:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団
制作:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団/ホリプロ
イベント
さいたまアーツシアター・ライヴ!!
開場20分前から劇場内情報プラザ(1階)等にて多彩なメンバーによるライヴ演奏。
【対象日程】
5月11日(土)12:30/18:00、5月18日(土)14:00
5月19日(日)14:00、5月25日(土)14:00、5月26日(日)14:00

ツアー公演
宮城:2024年6月 仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
愛知:2024年6月 愛知県芸術劇場 大ホール
福岡:2024年6月 J:COM北九州芸術劇場 大ホール
大阪:2024年6月 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

スタッフ
作:W.シェイクスピア
翻訳:小田島雄志
演出・上演台本:吉田鋼太郎 (彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督)
美術:杉山 至
照明:原田 保
音響:井上正弘
衣裳:紅林美帆
ヘアメイク:大和田一美
音楽:武田圭司
フェンシング指導:和田武真
パントマイム:いいむろなおき
演出助手:井上尊晶
舞台監督:大垣敏朗
技術監督:福澤諭志
キャスト
柿澤勇人
北 香那
白洲 迅
渡部豪太
豊田裕大
櫻井章喜
原 慎一郎
山本直寛
松尾竜兵
いいむろなおき
松本こうせい
斉藤莉生
正名僕蔵
高橋ひとみ
吉田鋼太郎

公式HP: https://horipro-stage.jp/stage/hamlet2024/

撮影:金丸雅代