「トリコロール」三部作、『ふたりのベロニカ』で知られるポーランド出身の世界的映画監督クシシュトフ・キェシロフスキ。彼が遺した傑作『デカローグ』を小川絵梨子、上村聡史の演出で完全舞台化、4月13日開幕。
プログラムA 演出:小川絵梨子
デカローグ1 ある運命に関する物語
ノゾエ征爾コメント
役への取り組み方から現場の雰囲気まで、海外の演劇作品に参加しているかのような初体験尽くしで、ただただ夢中に、がむしゃらになっていたら、あっという間にもう開幕ですって。お客さんに楽しんで頂きたい一心で皆で取り組んでおります。是非ともこの作品の目撃を!!
高橋惠子コメント
本日無事に初日を迎える事ができ、お運びいただいたお客様への感謝と共に、これからの長い旅路がスタートした事を実感しています!
デカローグ1のイレナとして瞬間瞬間の相手や周りの変化や輝きを感じながら悔いのないよう、生きてみようと思います。
是非今こそ観て頂きたい物語です。
ご来場をお待ちしております!
あらすじ
大学教授の父と、世の中で起きることを数学で解いていく息子。彼らを待ち受ける苛酷な運命。
大学の言語学の教授で無神論者の父クシシュトフは、12歳になる息子パヴェウと二人暮らしをしており、信心深い伯母イレナが父子を気にかけていた。パヴェウは父からの手ほどきでPCを使った数々のプログラム実験を重ねていたが……。
デカローグ3 あるクリスマス・イヴに関する物語
千葉哲也コメント
初日開きました!
タイトな稽古時間でしたが中身が本当に濃い…充実した時間を過ごさせていただきました。
ドラマのデカローグとはかなり違う作品になり、演劇ならではの作品になったのではないかと思います。
これからも本番という旅が続きますが、素敵な時間を観客の皆様に体験して頂ければと思います。
こうして無事に初日を迎えられた事を、演出家はじめ、スタッフ、共演者に心からの感謝。
小島 聖コメント
桜の花びらも散り始め、そろそろ新緑の季節ですが、今日から私は千秋楽までクリスマスイブの日に身を置いています。
ポーランドのクリスマスはどのくらい寒いのでしょうか。家の中は暖かい時間が流れている中、やりきれない気持ちを束の間、手放したくて外にいます。日常の中のささやかな旅です。夜中から朝の7時まで。朝日が昇る前までの数時間、どうぞ一緒に旅してください。
そしてそれぞれの日常に戻っていきましょう。
あらすじ
クリスマス・イヴ。妻子とともにイヴを過ごすべく、タクシー運転手のヤヌシュが帰宅する。子供たちの為にサンタクロース役を演じたりと仲睦まじい家族の時間を過ごすが、その夜遅くヤヌシュの自宅に元恋人の女性エヴァが現れ、ヤヌシュに失踪した夫を一緒に探してほしいと訴える……。
プログラムB 演出:上村聡史
デカローグ2 ある選択に関する物語
前田亜季コメント
ついに開幕です。
時代は1980年代後半のポーランドですが、今の私たちにも通ずる、普遍的な悩みや葛藤の中で人生を歩んでいる人々の物語です。
人間の不甲斐ない部分も含め、日々を生きていく背中にそっと手を添えてくれる様なキェシロフスキの優しい視点や肯定感に、稽古中何度も救われる気持ちになりました。
お客様にも、この団地の住人として感じてもらえたら嬉しいです。舞台ならではのデカローグを見ていただけるよう、精一杯この中で生きたいと思います。
益岡 徹コメント
稽古を重ねる事に、生きるということ、を考える作品だなと、実感しています。私の役の老いた医師は、戦争で妻や子供、家族を失なっています。その後40年以上をどう生きてきたのか、そのことは、書かれていません。おそらく1枚の家族の写真とその記憶と、厳しい人生を生きてきたのだろうと。そして身ごもった子供を産むべきか、堕ろすべきか苦しむドロタの姿に、それでも、人は生きるべきと医師は気がつく。私も、楽日までずっと考えることになりそうです。
あらすじ
交響楽団のバイオリニストである30代の女性ドロタと彼女と同じアパートに住む医長の二人。ドロタは重い病を患って入院している夫アンジェイの余命を至急知りたいと医長を訪ねる。ドロタは愛人との間にできた子を妊娠していた……。
デカローグ4 ある父と娘に関する物語
近藤芳正コメント
こんなに、心に汗掻いたのは初めてだ。 海外作品は、セリフが多いものだが、これは少ないセリフでのやり取りが多く、 セリフにならない感情、インナーボイスが溢れている。 そのうえ ミハウという役は ずっと悩み、迷い続け、自分では結論が出せなくなっていて、 例え出したとしても、それが正解なのかどうなのか まったく自信がなく、心のなかがぐちゃぐちゃになってる。 いまインナー下着脱いだら、やっぱ汗でぐちゃぐちゃだぁ コリャ凄いぞ! 言葉にならない声を聴きに来て欲しい。
夏子コメント
稽古場で、客席で、他の役者の方のお芝居を観ている時、何ものにも代え難い感動を味わいます。
このような感動を味わいたくて生きているんだなと思います。
今日始まった壮大な10篇の物語の一員としてお芝居できることが、改めてとても嬉しいです。
楽しんで頂けますように!
あらすじ
快活で魅力的な演劇学校の生徒アンカは、父ミハウと二人暮らし。母はアンカが生まれた時に亡くなった。父娘は友達同士の様に仲睦まじく生活していたが、ある日アンカは「死後開封のこと」と父の筆跡で書かれた封筒を見つける。その中身を見たアンカがとった行動とは…..。
<製作発表会レポ記事>
作品について
「トリコロール」三部作、『ふたりのベロニカ』で知られる、ポーランドの名匠 クシシュトフ・キェシロフスキが発表した 『デカローグ』。旧約聖書の十戒をモチーフに 1980年代のポーランド、ワルシャワのとある団地に住む人々を描いた十篇の連作集。
十篇の物語は、オムニバス形式のそれぞれが独立した1時間前後の作品で、別々の作品でありながら、緩やかにリンクし、実はひそかなつながりを持っているという隠された楽しみも見つけることができるもの。
もともとテレビ放映用ミニ・シリーズとして1987-1988年にかけて撮影され、その質の高さが評判を呼び、その後世界で劇場公開。スタンリー・キューブリック、エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェンなど世界の映画作家が賞賛の声を贈った。
モーセの十戒(正教会・聖公会・プロテスタント(ルーテル教会を除く)の場合)
わたしのほかに神があってはならない。
あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。
あなたの父母を敬え。
殺してはならない。
姦淫してはならない。
盗んではならない。
隣人に関して偽証してはならない。
隣人の妻を欲してはならない。
隣人の財産を欲してはならない。
概要
『デカローグ 1~10』
日程:2024年4月13日(土)~7月15日(月・祝)
デカローグ1~4(プログラム A&B 交互上演):2024年4月13日(土)~5月6日(月・休)
デカローグ5~6(プログラム C):2024年5月18日(土)~6月2日(日)
デカローグ7~10(プログラムD&E 交互上演):2024年6月22日(土)~7月15日(月・祝)
会場:新国立劇場 小劇場
原作:クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピェシェヴィチ
翻訳:久山宏一
上演台本:須貝 英
演出:小川絵梨子/上村聡史
WEB:https://www.nntt.jac.go.jp/play/dekalog-ab/
舞台撮影: 宮川舞子