アニメーション映画『君の名は。』や 『天気の子』、『すずめの戸締まり』などを生み出した アニメーション監督の新海誠の2004年公開の初長編映画『雲のむこう、約束の場所』。2018年に舞台化もされた本作が、新たにリーディング・ オーケストラ・コンサートとなる。人気アーティストたちによる名シーンのリーディングと、オーケストラによる生演奏に原作映像も融合させる。東京公演は2024年11月5日、6日にすみだトリフォニーホールにて、大阪公演は 同年11月20日にNHK大阪ホールにて上演。今回のスペシャル・リーディング・オーケストラ・コンサートでは、新海誠の原作を生かしつつ、三人の同級生を中心にした 青春模様を軸に、彼らを取り巻く南北に引き裂かれた大人たちなど舞台化当時の演出も織り交ぜる。
出演は、主役の藤沢浩紀役に歌手・俳優・ファッションモデルなど幅広く活躍する“美 少年”の佐藤龍我。沢渡佐由理役に 東京公演では鈴木愛理、大阪公演では大原櫻子をWキャスト。白川拓也役にはダンス・ボーカル・ラップをこなす6人組男性グループ“LIL LEAGUE”の中村竜大。また、観月ありさ、紅ゆずる、黒田こらん、EBiDANの9人組 進化系ミクスチャーユニット“SUPER★DRAGON”の田中洸希、Taiyo、柏木ひなた、橋本さとし。
音楽面では、音楽プロデューサーの松任谷正隆が本公演のためにテーマ曲を作曲。そのテーマ曲や原作音楽の天門による美しく切ない楽曲をもとに、新たにオーケストラアレンジされた 楽曲の音楽監修も務め、村上史昂指揮によるグランドフィルハーモニック東京が演奏。
舞台上にスクリーン、空と緑、音楽、映像の色合いが変わったり。「あの雲の向こうに約束の場所がある」そしてタイトルロール。冒頭、宮沢賢治の詩。ヒロイン・佐由理が授業にて詩を朗読。宮沢賢治の「永訣の朝」、詩集『春と修羅』の中にある。この詩は作品の根底に流れている。揺れ動く心、宮沢賢治の愛する妹が病でこの世を去るその日の朝の出来事をうたった作品。もうひとつの戦後の世界では、1996年、日本は南北に分断されている、津軽海峡をはさみ日本が南北に分断された、もうひとつの世界——。引き裂かれた人々、占領されたエゾ(北海道)に高くそびえる謎の塔。
対岸の国境の地、青森に住む2人の少年、浩紀と拓也は、ヴェラシーラと名付けた飛行機を自作し、2人の憧れの少女、佐由理と共に、塔まで飛ぼうと約束する。
映像と音楽、朗読のシンクロ、朗読はスタンドマイクを立てて、その場で、というスタイルではなく、向き合ったり、小走りに駆け寄ったり、演劇的な演出も。
物語は藤沢浩紀と白川拓也、そしてヒロインの沢渡佐由理を中心だが、大人たちのサイドストーリーも見逃せない。岡部智之、富澤常子、阿知良芳江の3人の関係性がちょっと切ない。基本的には2018年に上演された舞台版のリーディング・オーケストラ・コンサート。物語中盤過ぎに 「この道はいつかきた道ああ そうだよあかしやの花が咲いてる」と歌う。映像は満点の星空。そして最後、「それから10年後」の文字。ラストの歌、作品テーマ、映画版を観たことがある人はもちろん、まだ観てない人は映画を観たくなる。フルオーケストラの音楽が贅沢。
ちょうど、「秋葉原国際映画祭2024」にて、11月11日に新海誠監督作品「すずめの戸締まり」「君の名は。」「秒速5センチメートル」「雲のむこう、約束の場所」の特集上映が予定されている。 また、映画20周年を記念してCreative Space Akademeia21 Harajukuにて、<アートエキシビション>が開催されている(24日まで)。フォトグラファーのレスリー・キー氏撮りおろしの出演者オリジナルフォト展示や、原作映画による数々の名場面の高精細パネル展示、原作に登場する小型飛行機・ヴェラシーラをイメージした実際に乗って撮影できるフォトスポットなどがある。公演は東京は11月5日、6日、すみだトリフォニーホール。それから大阪にて11月20日、NHK大阪ホールにて。20日はライブビューイングも決まっている。詳細は公式サイトにて。
<2018年4月21日掲載:モトイキ シゲキさんインタビュー>
<2018年作品レポ>
概要
日程・会場:
東京
2024年11月5日、6日 すみだトリフォニーホール
大阪
2024年11月20日、NHK大阪ホール
原作:新海 誠
音楽監修・テーマ曲:松任谷正隆
原作音楽:天門
指揮:村上史昂
管弦楽:グランドフィルハーモニック東京
出演
藤沢浩紀役:佐藤龍我
沢渡佐由理役:鈴木愛理(Wキャスト・東京公演)
大原櫻子(Wキャスト・大阪公演)
白川拓也役:中村竜大
白川美子役:黒田こらん
橋本昇役:田中洸希
芦崎慎介役:Taiyo
笠原真希役:柏木ひなた
富澤常子役:紅ゆずる
阿知良芳江役:観月ありさ
岡部智之役:橋本さとし
公式サイト: https://kumonomukou.jp/