旺なつき&阿知波悟美 ミュージカル『O.G. II -歌って、生きて-』上演中 人と人の繋がり、ミラクル、奇跡。

2016年初演、旺なつきと阿知波悟美が「いつか二人で歌もある芝居をしてみたいね」と始まったミュージカル『O.G.』、好評につき、待望の第二弾が上演中だ。
”本編”が始まる前、松尾(池田俊彦)が登場し、会場を温める。第一弾ではマネージャーだったが、ここではタクシー運転手に。マネージャーからの転身、第一弾を観ている観客は「待ってました!」とばかりの拍手、笑い。恒例となったじゃんけんも。初日は小さなお子さんが景品ゲット(サイン入りパンフ)。それから始まる。松尾の前説、ここは熱海、昭和の風情を残す温泉街、物語の場所はスナック「ミラクル」スミ子(旺なつき)の店、実際の熱海にも実際にレトロなスナックがある。9年前、一躍、時の人となったスミ子とカズエ(阿知波悟美)だったが…。スミ子は流れ流れて、ここ熱海に、カズエは行方しれず。松尾は何かとスミ子たちが気になる様子、タクシードライバーをやりながら、ここのスナックにも顔を出している。

松尾は諦めていなかった、O.G.復活。だが、カズエがいなければ始まらない。諦めきれない松尾、いい奴。仕事のため、店を出る。スミ子、一人、開店の準備をしているとそこへ…ドアのベルが鳴り、入ってきたのはなんと、カズエだった。二人は一躍有名になってからのことを思い出す。有名になって忙しかった日々、そこはコミカルに、客席から笑いが起こる。

CMに出演したり、レコーディングしたりと慌しい日々を回想。9年間、なかなかに波瀾万丈な二人だった様子。現実世界で起こった出来事も織り込みつつ、なかなかにリアルな設定で、笑いを交えつつもシニカルでシビア。実際の年齢に設定しているので、この年齢ならではの問題も織り込み、進行していく。

それぞれのことを話しているうちに、二人の心は再び近づいていく、その過程は心温まる。新宿の「ミラクル」で過ごした日々、そして再び!二人で立ち上がる、という流れ。
設定キャラクターは当て書き、そこがまた楽しい。スミ子は出身が岡山の近く、旺なつきは岡山県の倉敷市出身、岡山弁はネイティブ、阿知波悟美は北海道出身でカズエも北海道出身、そんなところを頭の片隅に入れておくとセリフもよりビビッドに感じる。そして松尾の努力の甲斐あって、O.G.復活へと突き進んでいく。


見どころは二人のやり取りはもちろん、松尾の語りも軽妙洒脱でなかなか粋な感じ。最後は期待通りに。劇中の多彩な歌、メロディはもちろん、洒落の効いた歌詞もまた、楽しい。サブタイトルは”歌って、生きて”。二人には『歌』がある、『歌』があるから、前を向ける、『歌』があるから心通いあう。そして二人の『歌』に寄り添うように松尾がいる。この絶妙なトライアングルがこの作品の真骨頂、何度でも観たくなる、何度でもスミ子とカズエ、松尾に会いたくなる。シアターサンモールは春ツアーの最終地点、公演は9日まで。

<旺なつき&阿知波悟美 対談記事>

ミュージカル『O.G. II -歌って、生きて-』 旺なつき & 阿知波悟美 対談

<初演レポ記事>

旺なつき&阿知波悟美 劇団NLT Musical「O.G.」場末のキャバレーで起こるミラクル。

あらすじ
2016年、思いがけずネット上で動画がバズり、オールドガールズ「O.G.」として一躍スターになったスミ子とカズエ。
キャバレーで38年間、鳴かず飛ばずで歌い続けてきた2人の夢は、ついに叶ったかに思えた。
しかし、あれからの年月、運命はなおも2人を翻弄した。
世の中は「O.G.」を忘れ、今やカズエは失踪? スミ子はひとり、熱海の地に流れついていた。
もう、あとは老いていくだけの“消化試合”の人生なのか。
あれほど身を焦がしてきた「歌」への想いは、もう遠くに行き去ったのか。
そんな時、スミ子のスナック「ミラクル」に、不意にカズエが訪れた。
突然の再会によって、運命の時計はふたたび回りはじめる・・・

概要
日程・会場:2025年3月5日(水) ─ 9日(日) シアターサンモール
脚本・作曲:まき りか
演出:本藤起久子
振付:大原晶子
美術:根来美咲
映像製作:浦島啓
照明:奥田賢太
音響:佐藤日出夫
衣裳:天野杏百子
音楽監督・編曲:村井一帆
編曲:勝守 理
歌唱指導:安部誠司
舞台監督:竹内一貴
宣伝ヘアメイク:水島裕作
宣伝衣裳:大貫まり子
宣伝写真:佐野洋之
宣伝美術:Slimemedia inc.
出演:旺なつき 阿知波悟美 池田俊彦 金森大(ピアノ)
制作:小川 浩・中山百夏
企画:阿知波悟美
製作:劇団NLT
公式サイト:http://www.nlt.co.jp/stage/og2/index.html

(C)NLT
ミュージカル『O.G. IIー歌って、生きてー』舞台写真:NLT提供