宅間孝行が作・演出を手掛けるタクフェス第13弾『くちづけ』を11月24日から富山・東京・名古屋・大阪・福岡・札幌にて上演中。
『くちづけ』 は、宅間が主宰していた東京セレソンデラックスにて2010年に初演し、2013年には堤幸彦監督によって映画化もされた人気名作だ。さらに、2015年にタクフェス第3弾、2020年にタクフェス第8弾にて再演。今回5年ぶりの再演。
『くちづけ』 は、宅間が主宰していた東京セレソンデラックスにて2010年に初演し、2013年には堤幸彦監督によって映画化もされた人気名作。さらに2015年にタクフェス第3弾、2020年にタクフェス第8弾にて再演。今回5年ぶりの再演となる。

『くちづけ』の舞台は知的障がい者たちの自立支援のためのグループホーム「ひまわり荘」。かつて大ヒット作品を1度だけ世に送り出した、漫画家の愛情いっぽん。娘のマコを連れて住み込みで働くことに。純真なマコの心の扉を開けたのは、ひときわ明るく元気なうーやんだった。惹かれあった2人は、マコの誕生日であるクリスマスの日に、“結婚しよう”と指きりを交わす。そして約束の日、うーやんはひまわり荘の仲間と一緒にマコがやって来るのを待つが…。純粋な恋と、親の深い愛が胸を打つーータクフェスが贈る、優しさと切なさの物語だ。
初演から愛情いっぽん役を続投するのは金田明夫。作・演出を手掛ける宅間孝行も、初演から続投でうーやんを演じる。このタッグでの上演は、今回で最後となる。
タクフェス恒例の”前説”、常連の浜谷健司が担う。セットや物語の説明をするので少々早めに席に着いておきたい。知的障がい者たちのグループホーム「ひまわり荘」での日常。知的障がいとは、発達期までに生じた知的機能の障がいによって、知的能力と社会生活への適応機能が遅れた水準にとどまり、日常生活において困難を抱えている状態。



2022年の厚生労働省が発表した推計では109.4万人ほど。この作品は社会的にも意義のあるもの、社会に対する問題提起、だが、暗いトーンではなく、コミカルに温かく描いているのが、この『くちづけ』の大きな特長だ。見た目は大人だが、心は子供、感情のままに行動し、発言する。


障がいを抱えているからと言って悲壮感はなく、周囲の人々も明るく、彼らとフラットに付き合っている。そこにやってきたのが、そこに住み込みで働くためにやってきた元漫画家の愛情いっぽん(金田明夫)と娘のマコ(石田亜佑美)、「ひまわり荘」の明るい雰囲気、マコは明るく無邪気なうーやん(宅間孝行)に心惹かれ、うーやんもまた、マコに惹かれる。そして結婚の約束を交わす。


全編通して笑いと光、そして愛。彼らを取り巻く周囲の人々も温かく愛情と慈愛に満ちている。深くて切ない親子の愛情、語り尽くせないくらいの深さ。金田明夫が初演からいっぽんを演じており、今回がラストだそう。笑顔、泣き顔、どれをとっても絵になる。マコ役は石田亜佑美、可愛らしく、ピュアなマコを演じ、これならうーやんも”イチコロ”と思ってしまうほど。



周囲の人々、コミカルでいい奴、夏目ちゃんは松本幸大、すっかりタクフェスのメンバーに。酒巻くんは上田堪大、爽やかな警察官、冒頭のところでクリスマスツリーを運ぶのを手伝うシーンは酒巻くんの人の良さが滲み出ている。ちーちゃん役の町田萌香は軽い知的障がい者、身長180センチを生かしモデルで活躍、この作品で俳優業にも挑戦している。



そのほか、加藤里保菜らが脇を固め、浜谷健司、鈴木紗理奈、小川菜摘らが存在感を示す。物語の元は知的障がい者のある痛ましい事件。この「くちづけ」は単なるきれいごとで描いているのではない。刺さるセリフ、この現代社会の問題点などをさりげなく示す。愛情いっぽんとマコの顛末、うーやんの想い、公演は東京は12月7日まで。その後は大阪、福岡、北海道を周る。

本編終了後は恒例のダンスタイム。難しい振付ではなく、楽しくワイワイとキャストがダンス、ダンス、ダンス。クラップなどで盛り上がりたい。





ゲネプロ終了後に会見が行われた。
金田明夫「私もこれが最後の『くちづけ』、悔いのないように精一杯、燃え尽きてと思っております」
石田亜佑美「宅間さんのうーやんとその恋に落ちる相手として、このタイミングで出演させていただけるということが本当にすごく嬉しく思っています。心を込めて精一杯マコちゃんを演じさせていただきますので千秋楽まで頑張ります」
松本幸大「夏目ちゃんです!夏目ちゃん役を演じさせていただいています松本幸大です。僕としては去年からタクフェスに参加させていただいて、2年連続で本当に嬉しく、本当に怖いです。その気持ちをしっかりとステージの上でも表現したいと思ってますし、何より自分にとっても悔いのないように、そして未来に繋がるように精一杯めちゃめちゃ演じて、素敵な作品の一部になれたらなと思っています。どうぞよろしくお願いします」
浜谷健司「私も『くちづけ』心揺さぶられる作品に参加できて本当に光栄に思っております」
鈴木紗理奈「この作品『くちづけ』は世の中ではスポット当たらないようなグループホームの話なんですけれども、関わる身内に知的障がいとか障がいを持つ方とかがいないとなかなか触れ合うことがないと思うんです。こうやって演劇とかエンタメを通して、そういう日の当たらない世界にスポットを当てて皆さんに見ていただけるっていうのはすごい社会的意義があるなと思っています。その世界をみんなと、カンパニーと一緒に毎回、裏で号泣しているんですが、本当にここで生きるという意気込みでやっております。1人でも多くの方に見ていただいて世の中にいる弱者の方に寄り添う世界が、一歩開けたらいいななんて勝手に思っております」
小川菜摘「いっぽん先生の金田さんとうーやんの宅間さんの最後の『口づけ』、意味のある今回の公演に呼んでいただけたことは本当に自分の宝だなって、つくづく舞台に立ちながら思っております。この作品は本当にいろんな形の愛がいっぱい詰まった作品でご覧になったお客様がどう感じているのか。知りたいなってすごく思ってましたから。アンケート、書いていただければ私達みんなで読みます。よろしくお願いいたします」
宅間孝行「2010年に初演して以来5年ごとに、今回は4回目の公演となりますが、こういう世界は、知らないことが一番罪だなというのを2010年ときに感じまして。そういうお子さんを持った方に、よくぞこの世界にスポットを当ててくれたと言われたことから、5年に一度やろうと。明夫さんが当時55歳か56歳で当て書きして作ったわけですが、なんともう71歳になってしまったので、ここら辺が限界かなということで私も35歳の役だったのですが55歳でやってるんで今回、よる年波には勝てないという感じで今回を最後にしたいと思ってるんですけども1月までやっております。よろしくお願いいたします」

また役作りについて石田亜佑美は
「実際に知的障害を持つお子さんを持つ親御さんと交流をさせていただいて、そこで本当の実態、パニックを起こしちゃうんだとか、そういったときにどう対応してきたとか、そういう話をすごくリアルに聞かせていただいたので、この『口づけ』で皆さんにお伝えしている内容は舞台で描かれているものではなく、本当に現実にあることなんだっていうのを受けとめて、だから本当にある話なんだっていうところをすごく大事に作りました。マコちゃんを演じるにあたっても、性格とか癖っていうのを見つけながら、やらせていただいてます」
また、初の3枚目役の松本幸大は
「3枚目初めてでそれが本当に夏目ちゃんでよかったなと思ってます」としみじみ。
最後に公演PR
宅間孝行「一つの集大成という形で今回上演したいと思ってます。僕はいつも言うんですけど、お芝居を見るというのは歴史に立ち合うみたいな側面がありまして、あの最後のいっぽん先生患者さんの芝居の演技を見届けたんだと、生で見届けたと、そういうことを語り継いでいただきたいなという意味でも、ぜひとも劇場に足を運んでいただければ嬉しいです」
<2020年公演レポ記事>
金田明夫,小島籐子他出演!宅間孝行作・演出 タクフェス第8弾『くちづけ』叶わなかった淡い恋、ピュアな気持ちが切なく心に響く
あらすじ
天使のように純真なハートをもつマコは、なぜ・・・
知的障がい者たちの自立支援のためのグループホーム「ひまわり荘」では、身体は大人、心は純真な子供のままの人たち
が楽しく暮らしている。そんなホームに、かつて大ヒット作品を1度だけ世に送り出した、漫画家の愛情いっぽんが、娘のマ
コを連れて住み込みで働くことに…。
ひまわり荘の住民となったマコは、30歳だが心は純真な子供のまま。そんなマコの心の扉を開けたのは、ひときわ明るく元
気なうーやんだった。
惹かれあった2人は、マコの誕生日であるクリスマスの日に、“結婚しよう”と指きりを交わす。
そして約束の日、うーやんはひまわり荘の仲間と一緒にマコがやって来るのを待つが…。
概要
日程・会場:
富山:2025年11月24日(月祝) 14:00公演 新川文化ホール
東京:2025年11月28日(金)~12月7日(日) サンシャイン劇場
愛知:2025年12月12日(金)~12月14日(日) アマノ芸術創造センター名古屋
大阪:2025年12月18日(木)~12月21日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
福岡:2025年12月27日(土) 13:00公演 SAWARAPIA
北海道:2026年1月8日(木) 18:30公演 カナモトホール(札幌市民ホール)
作・演出・出演:宅間孝行
出演:金田明夫 石田亜佑美/松本幸大 上田堪大 加藤里保菜/浜谷健司/町田萌香 下川恭平 宮城弥生
神月柚莉愛 久井正樹/鈴木紗理奈/小川菜摘/宅間孝行
協力:テイクオフ
企画:タクフェス
製作: エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ

