「30-DELUX NEW GENERATION THEATER featuring宇宙Six『スクアッド』」 座長・清水順二、期待の若手、村瀬文宣、竹之内景樹、大山将司、大成翔輝、中村悠希 特別インタビュー

 

「笑って、泣けて、考えさせられて、カッコいい」をテーマに快進撃を続けている30-DELUX。番外公演も含めると25本の作品を世に送り出している注目株のユニットだ。そして2017年に結成15周年、スクウェア・エニックスとの共作、サガシリーズ初の舞台化である30-DELUX SQUARE ENIX Special Theater 「ロマンシング サガ THE STAGE~ロアーヌが燃える日~」、壮大なストーリーと華やかでダイナミックな殺陣とアクションで話題となった。そして今年、2018年はオリジナル作品、「30-DELUX NEW GENERATION THEATER featuring宇宙Six『スクアッド』」、メインキャストは若手中心となり、さらに注目のユニット、宇宙Sixを迎えて、新感覚のアクションコメディエンターテインメントを目指す。本作品では西洋の妖怪や日本の妖怪?!をヒーローとするなど、サプライズな公演を打ち続けている30-DELUXの座長・清水順二、そして期待の若手5人衆、村瀬文宣、竹之内景樹、大山将司、大成翔輝、中村悠希に公演のこと、ユニットのこと等を伺った。

 

 

 

「生まれ変わるんだったら生きているうちに」

 結成して15年、疾走してきた感のある30-DELUX、こういった節目なら、“オールスターキャスト”で派手な舞台を!という発想が一般的だが、ここはあえて若手に託す格好の公演、しかも宇宙Sixというフレッシュなユニットを迎えている。この企画を考えた理由について清水順二は「15年やってきて、劇団の方向性、観客動員、いろんな狙いがありますが、自分の中での目標が達成出来たところがありました」と語る。しかし、ここで終わらない!「続けていないと意味がない、目標を達成したから終わりでいいというのではない」とし、「15年やって終わったら何か残るかもしれないが、歴史に名を刻んだつもりもない」と言い切る。続けるためにどうしたらいいのかということを、数年考えていたと言う清水順二。継続程、難しいものはない。「何かしら変えないとマズいなと……いろんな団体を観てきて思ったことは15年たって、さらに30年、40年になるためにはそういった団体は何かしらを変えているなっていう印象がありました」と語る。そして清水順二は「芸術、文化、政治、経済、いろんなことを考えた時に教育に一番、目を向けました。その教育を自分で改めて見直し、『basic & education』っていうテーマを掲げてもう一度、基本的なこと、基礎とか教育、そういうものをゼロから見直していこうと」と静かに語る。「殺陣の基礎とかではなく、結局、何が基礎なんだろう、と。そういったものを念頭において“団体”になっていく。強いて言えば、演劇界とか芸能界で一人前になって巣立っていく、そこに役者や俳優もリンクしていくことは、次の15年に向かうための第一歩なのかな?という風に思っていまして、このNEW GENERATION THEATER、20代のメンバー、若手とは言ってもそれなりのキャリアを持っている彼らですが、20代のメンバー中心に。自分も30歳で旗揚げした15年前に戻ろうかな、やめるということではなくって続ける、リセットしてまた再スタートをきるための企画ということですね」と語る。

 リセット、“Re-born”、清水順二は「そうです!僕の好きだった言葉、『生まれ変わるんだったら生きているうちに』。生きているうちに自分、変えたいなーって……思い切って……自分の中でかなり勇気が必要!だったんですね。駆け出しの役者さんが芝居背負うような芝居はあまり作ってこなかったんですが、それを変えないと、どうにもならないな、と思って、彼らに思い切って託してみました、今迄、30-DELUXの本公演支えてくれた俳優さん、30代、40代キャリアがある方々に支えて頂くようにお願いしまして」と語る。それがNEW GENERATION THEATER、リセット、“Re-born”!

「ガンダム世代から言うと~(笑)、『アムロよりシャーだろ!』」

 ところでヒーローと言えば思い浮かぶのが「かっこいい」「めっぽう強い」「清廉潔白」等、クリーンなイメージだが、今回の『スクアッド』では吸血鬼にフランケンシュタインに狼男等、世間一般では「怖い」「気持ち悪い」「邪悪」……そんな悪い奴らをあえてヒーローに、しかも西洋ものと日本ものの悪い奴がめいっぱい登場する。

 それに関して清水順二は笑いながら「ガンダム世代から言うと~(笑)、『アムロよりシャーだろ!』みたいな(笑)」さらに「タイムボカンシリーズのドロンジョさんが気になるなと(笑)」と胸を張って言い切る。そう言われてみると悪役ってなんだか気になる存在であったり……。しかし、コミックでも例えば「ゲゲゲの鬼太郎」はもう妖怪だらけ!妖怪が出てくる物語は古今東西たくさんあり、敵キャラがヒーローというのも結構あったりする。そこで「いろんな妖怪がオールスターで出てきて、それが現代の警察とバディを組むみたいなことってあんまり聞いたことがないっていうところから『それ、いいね!』って」ということになったそう。30-DELUXは時代劇やファンタジーが多く、こういった設定は“らしい”と言えるが、過去にはアンケートに手厳しいことも書かれたようで「時代劇の歴史的部分って知らない方は知らなかったり、でもそれ(歴史)を変えて違うものにしちゃうとお客さん入り込みづらくなったりとか、『説明が足りません』『内容がよくわかりません』ってアンケートに書かれたりするんです」とちょっと苦笑い。しかし、こういった批評を受け止めてよりよい創造に繋げていく。「現代劇だとわかりやすいし、親しみやすいですから、入り込みやすいですね。ウチの持っているファンタジー感も入れられて、アクションがあって……歌があってもおかしくない。昭和生まれの僕としては、もちろん昭和感も見せつつ、平成感も見せつつ、現代感も見せつつ、いろんな要素が混ざり合って……我々、30-DELUXのエンターテイメントが作れそうな気がしています。……これもまた、ひとつの新しい形、そういう訳で、あえて妖怪達を多くして、彼らをヒーローにして作っています」しかも西洋のお化けに日本のお化け、妖怪もたくさん出てきての【競演】となる。「妖怪で一番怖いのはぬらりひょん」と言う清水順二。ちなみに清水が演じる鬼瓦太郎は、このぬらりひょん復活を企む妖怪。「(ぬらりひょんは)一番怖いはずになっている(笑)、そこは敢えて裏切らない」とのこと。脚本の米山氏とも話し合って「そういう存在、お客様が持っているイメージは裏切らなくっていいかな?」とのこと。別のところでサプライズを企画中とのことなので、ここは期待したい。

「根底にあるものは、観たお客さんを心から楽しませることですね」

 結成15年、劇団のビジョンについては「根底にあるものは、観たお客さんを心から楽しませることですね。そして身近なスタッフ・キャスト・お客様を本当に楽しませる人間が30-DELUXに関わってもらいたいなと。身近な人を喜ばせる、そういう会話が出来る、何かサプライズがある。いろんな気遣いが出来る。そういった人間力を大切にした人間になって欲しいなっていうことを凄く思うようになりました」と語る。そして「僕がいつか俳優やめたり、劇団の座長を降りたりしても、僕の代わりに支え続けるような組織になって欲しいなって、始めてから15年経って凄く感じるようになりました」としみじみ。皆、歳を重ねていき、いつかは後進に道を譲ることもある。それが劇団を継続することに連なっていく。

「僕が第一線でずっと役者としてもプロデューサーとしても……50歳、60歳になってもやっていけるかっていうと、そこまでの強い自信っていうのはやっぱりない。そういった人間が出てきてくれることを祈りつつ、少なくとも、あと4、5年ぐらいは頑張らなきゃいけない。根底に、ベースになっているものは、本当に今、いる人達とこれから入ってくる人達に伝えていかないと……自分自身がダイレクトに伝えていかないといけない人達なんだ、と……もし、100年ぐらい続くと仮定するならば、最初の10年、15年に関わった人達っていうのは彼らは歴史的人物、みたいな訳ですよね。100年後の人から観たら。最初の時代を支えた人達だ~!!凄い、大事なこと!なんじゃないかな?大げさに言うと」と語るが、未来は予測不能、しかし、伝えたい大事なことがある、だから未来を創造する。そして、今回の公演について改めて伺うと「いつもそうなんですが、自分がいいなと思うアーティストさんだったり、俳優さんだったりっていうのを色んな方に知ってもらいたいっていうにのがある……ウチのスタッフ、舞台、照明、衣装、ヘアメイク、全て僕がリスペクトしている方。役者さん、この方を観て欲しい、ウチの劇団のメンバーを観て欲しい、さらにサブキャストやアンサンブルのメンバーさん、そういった若者達がそんな凄い素質を持った人がこんなにいるんだぞっていうことを、お客様に観てもらいたい」と熱く語る。

 さらに「ファンだけじゃなくって知らない人達にも観て欲しい。僕が信頼している大人キャスト達……演劇人、これだけ素晴らしい俳優さんが舞台にいるんだぞというところを世間に伝えたいし、一番のコンセプトでもある宇宙Sixのメンバー、こんだけ才能と可能性を備えたユニットがあることを演劇界に伝えたい!自信を持ってお客様にお伝えしたい!」そして「もしかしたら、今回、チケットが取れなくって観れないっていう方もいらっしゃるかもしれませんが、これをきっかけに何か、この企画が続いていけるようにしたいと思っているので、観れなかった方も『こういうユニットがあるんだ』と、30-DELUXというユニットがあるんだ、宇宙Sixいうユニットがあるんだ、こういう役者がいるんだ、アーティストがいるんだっていうことを、SNS上でも構わないし、ネット上でも構わないので、色々調べて頂けると嬉しいと思いますし、観たお客様は是非!知らない方に知ってもらいたい!楽しみにしててください!」と熱く締めてくれた。舞台上での様々な【化学反応】が楽しみだ。

 

 

 

<30-DELUX、元気な有望若手5人衆、役柄と意気込み>

ーー既に役柄が決まっていますが、自分の役のイメージとか、こういう風にやってみようかなっていうのをお願いいたします。

村瀬:僕の役名はブラド(Q課に協力を強いられるモンスターの1人)で吸血鬼の役ですが、年齢が300歳っていうところがあって(笑)、でもドラキュラからしたら300歳でも20歳とか。今の僕と同じくらいの年齢であまり変わらないかな?なんかいろんなバディがあるんですが、その中で一番、振り幅が大きい。最初、使えないかもしれないけど、相方の幸大君と一緒にどこかで、殴り合いから始まってどこで親密になっていくのか、最高のタッグになるのかっていうところを2人で創り上げて、作品も観やすくなる、というか違った感じ方をしてもらえるかと。2人の関係性を大切にして創っていきたいなと思っています。

大成:西 慶次役(余怒峰の元先輩)です。今回の作品の陰と陽、明るい部分と暗い部分の中で……一番明るいコミカルな部分を担当しているそういう役柄にはなると思うんで、ただ暗いだけの作品っていうのは、30-DELUXっぽくない。笑って、泣けて、考えさせられて、かっこいいっていう部分で、コミカルでかつ皆さんに親しみを持って頂くキャラクターっていうのを見せていけたら、やっぱり、この作品に振り幅出来てくるかな。

中村:牧 正義役(余怒峰のもと上司)は決して台詞は多くはないんですよ、今回。でも存在感を出す何かグループを作ったときに何もしてない人でもする人がいることによって、この場がまとまっているよねっていう、みたいな。そういう役どころになって、そこらへんの表現をするのが、僕の今回の課題だなっていう……あの人がいるから、なんかまとまっている。なんか……料理で言ったら……味噌汁!味噌汁みたいなモン(一同爆笑)。今、さぐりながら言った!味噌汁飲んで、例えばかつお節?煮干しかな?なんか、それがあるからまとまってる、だしがあるからまとまっている?みたいな(笑)。

大山:僕の法林棒 聖(Q課『スクアッド』のメンバー)っていう役は、警官なんですけど、どこか真っすぐなんですけど、どこか天然でちょっと気が抜けてて「それ、違うでしょ」ってツッコミを入れられるっていうようなムードメーカーなポジションで。僕のバディはウルフの原君なんですが、凄く男臭いんですね。すごく喧嘩とかしてて、すごく心わかちあっても「いいじゃん!」とかってちょっと濁した言い方をする。男の不器用さが2人の間では、垣間見えるシーンがあるので、「男だな~」というところや「不器用だな~男って」みたいなところも見せれたらいいなって思っています!

竹之内:僕の演じさせて頂く一神寺 歩(Q課『スクアッド』のメンバー)っていうキャラクターは、人間チームのクールキャラ、一番、冷徹なキャラクターでもあります。自分の意志に従わないから武力行使するじゃないですけど、徹底した冷徹さを持ったキャラクターでどう心情が変化していき、最後は妖怪とタッグを組んでいくのか結構僕の中では心情がだいぶ変わってくるキャラクターであると思うんで、そこをお客さんに、1本筋が通った時に『あ、ここで変わっていったんだ』っていう部分をお客さんに見せていければ、1つの面白いドラマとして観て頂けるんじゃないかな?あとは全体的にひとつひとつのことに対してのサポートですね。

ーー最後に意気込みを!

村瀬:今回は凄いザ・エンターテイメントな作品に……踊りあって、芝居あって、歌あって、殺陣もやって、本当に全部盛り込んだ作品になっていると思うんです。自分自身のスタートになるように、今迄やってきたことを全部、ぶつけて、とにかく観にきて下さった方全てのお客様に対して楽しんで頂けるように、全身全霊で稽古に励んでまいります!

大成:NEW GENERATION THEATERということで宇宙Sixさんと僕達のコラボも観どころですが、支えて下さる清水順二さん、我善導さん、武藤晃子さんとかの支えがあってこそ、僕達の芝居になっていくと思います……稽古見てて、あの人達は本当に上手くって、僕達も、ちょっとでもマネして少しでも上手くなれるようになったら!そういうところも観て楽しんでもらえたらなっていう……全部!『あー楽しかった!』って思える作品になると思うので、そこを是非!楽しんでもらえたらな、と思います!

中村:今回の作品はキャラが凄く立ってて、観るたびに『このキャラ、好きだな』っていう各々のお客さんに観て感じてもらえる、そういう作品だと思います。なんか、個性光る、凄い楽しんでもらえたらなって思います!

大山:笑って、泣いて、考えさせられて、かっこいいっていうのもありますし、ダンスもアクションも芝居も歌も、いろんなものが詰まったエンターテイメントなんで、なかなかこういったものがないと思うので、伝説の公演になると思います。是非、是非!観に来てください!

竹之内:演出の米山和仁さんを筆頭に、ベテラン陣の清水順二さん、我善導さん、武藤晃子さん達に指導して頂きながら……よく若手公演はパッションとか情熱といったことが一番と言われていますが、それだけじゃない、+αをいっぱい付け足した、凄い舞台になるように!努力していきますので、是非!宜しくお願いいたします!

【概要】

「30-DELUX NEW GENERATION THEATER featuring宇宙Six『スクアッド』」

 

〈東京公演〉

期間:2018年3月28日(水)~4月1日(日)
会場:新国立劇場 小劇場

 

〈大阪公演〉

期間:2018年4月5日(木)~8日(日)
会場:近鉄アート館

 

脚本・演出:米山和仁
出演:松本幸大、山本亮太、江田剛、目黒蓮、原嘉孝 /林翔太 (声の出演)/村瀬文宣、竹之内景樹、大山将司、大成翔輝、中村悠希、我善導、武藤晃子、清水順二、 /岡田達也 ほか

公式サイト:http://30-delux.net/squad

 

撮影:早川達也

取材・文:Hiromi Koh