ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』、好評につきシリーズを重ねて上演していたが、今回は初のスピンオフ!しかも西武グループ!公演の見どころなどを脚本・演出の川尻恵太さんに語っていただいた。
「今までの功労をねぎらう意味で仲間たちに囲まれて、池袋線はちょっと甘やかされてもいいのかな?という感じですね(笑)」
――西武鉄道メインで、というこのお話しが来た時の感想を。
川尻:ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』の初演のシーンが西武池袋線(KIMERU)から始まっています。西武池袋線が登場し、会長を探すところから始まっていますが、あのシーンがミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』の方向性を決めたっていうんでしょうか、あそこの部分が受け入れられたことによって第二弾、第三弾も攻めた作り方ができたと思います。今後のいろいろなスピンオフ、西武グループだけでなく、メトロ組とか新幹線組、色々と考えられるので、その中でも先陣を切るのは、最初の公演の出だしもそうだったので西武鉄道かなと。
――あれはインパクトがありました、「会長!!!!」が(笑)。
川尻:そうですね(笑)グレーゾーンな顔が出てきますね(笑)。だから必然的に西武鉄道になったのかな?ということと、他の路線、例えばメトロ組は割と皆んな、ちゃんと会話できていますが、西武鉄道は今までは新宿線と安比奈線しか出てきていないんです。池袋線の歌とかはありますが、その中で言っていることは西武鉄道の他の路線が言いたいことを代弁して言っているんです。そこを分解していくと今回出てくるメンバーたちが言っているセリフになっていきます。今まではだいたい池袋が一人で背負っていましたね。
――今まではKIMERUさんが一人でやっていらしてましたね。
川尻:そう。このセリフは実は池袋線じゃなくって西武○○線なんだってことがより今回はより丁寧にわかるんじゃないかと。今まで西武グループの意思としていって言っていましたが、西武鉄道は路線ごとに分解するとそれぞれのキャラクターが違うんですね。
――確かに。
川尻:今まで池袋が10人分ぐらいの人格を一気に(笑)、引き受けてやっていたんです。つまり池袋線が西武鉄道っていう概念だったんですよ。それが今回初めて西武池袋線としてきっちり扱われる公演になるかな?と思います。他の路線が言う「西武は、西武は」って言っているのは実は池袋のことではなく、西武グループのことなので、それが今回、今までの功労をねぎらう意味で仲間たちに囲まれて、池袋線はちょっと甘やかされてもいいのかな?という感じですね(笑)。
「みんな『会長、会長』って言っている(笑)。」
――西武に関するご自身の感想は。
川尻:最初のミーティングでも言っていたんですけど「宗教」なので(笑)。
――(笑)。
川尻:多分、どこにも負けない「会長愛」。今までのミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』はいろんな人がいろんな愛を語って、それが組み合わさっていたから飽きずに見ることができたんです。今回は、どこを切っても「会長愛」なので、それをどう見せようかなと。
――確かに西武線しか出てこないっていうことは行き着く先は「会長愛」しかないですね(笑)
川尻:そこのバリエーションですよね、どうしようかなと作りながらやっています。
――今まではKIMERUさんがやっていたわけですが、それをきちんと路線でそれぞれキャラクターを作るわけですね。丁寧ではありますが、結局行き着く先は全部「会長愛」ですもんね。
川尻:そうですね。
――そこの違い、線の違いを出していくところが難しいですね。
川尻:そうとはいえ、キャラクターの個性がありまして、わかりやすいのは、新宿線と安比奈線の関係。ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』の物語の中での個性として例えば、多摩湖線は西武競輪場がありますからギャンブラーとか。豊島線は個性がないから空手とかやって体を鍛えているっていう設定ですが(笑)。それぞれの「会長愛」+ナントカっていう部分があってこの前の全体ミーティングではそこをとにかくみせていこうと。「会長愛」が全員かたまると一つの「会長愛」になるけど、それぞれでいる時はそれぞれ別のことに興味があって・・・・・・池袋線は基本的に「会長愛」一筋みたいなやつですが(笑)。
――池袋線ですからね。
川尻:そう(笑)。池袋線の暴走を西武秩父線は止めないといけない、とか。池袋線への配慮があり、それぞれの線も割とやることがあるし、ないやつはないやつで・・・・・西武多摩川線はどことも繋がっていないので、常にちょっと離れたところから見ているっていう、なんかそこが今回で描き切れれば、面白いんじゃないかな?と。で、今までやってきたミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』と色が全く違うものになるかなと。根本の芯は同じですけど、それをきっちりやらないと、
みんな西武の服着て金髪なので、キャラクターの見分けがね、そこが心配です(笑)。
――キービジュアル見てもみんな同じ服着ていますね。みんな同じグループですし。
川尻:あれはまだ静止画だからいいんですが、動き回るので、最低限の目標としては見終わった後には見分けがついているっていう・・・・・・(笑)。
――(笑)。
川尻:始まった時にはどれがどれだかわからない(笑)。
――見た目、頭が金髪で同じ服を着ているっていうのは(笑)。
川尻:で、みんな「会長、会長」って言っている(笑)。
――今までKIMERUさんが、強烈なインパクトで「会長!!!!」って叫んでいましたね(笑)。
川尻:そうですね。一気に10倍ぐらいに増えるんで、圧巻といえば圧巻で、やっぱりうるさいですね。常軌を逸しているので、開始15分ぐらいには、初めての人は引くんじゃないかな、と(笑)。本当に宗教の集会に来たみたいな、強制的に称えていますので「会長誰なんだよ」って思われるかも。
「こればっかりは嫌いって言われようが申しひらきもできない(笑)」
――西武グループ、大きかったですね
川尻:西武グループはとてもでかいグループなので。
――会長愛も。
川尻:ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』は個人名は出せないんですよね。
――そうですね。
川尻:でも財閥名、企業名は言ってたりして。会長の時代が来ることをもう一回待っているっていうストーリーなので、そこが会長愛、いろんな愛し方がある中で、自分たちが西武グループを守っていくことによって帰る場所を持っている、みたいな健気なグループなんです(笑)。
――このへんが見所ですね。
川尻:最初の15分で好きか嫌いかはっきりわかるとおもいます(笑)。
――(笑)
川尻:こればっかりは嫌いって言われようが、申しひらきもできない(笑)。口当たりマイルドにはなかなかできない(笑)。突っ走った方がいい作品ですね。
――上演場所が品川プリンスっていうのが!
川尻:そうなんです!
――意味深な(笑)。
川尻:ホテルについての話も結構あります。品川プリンスにまつわる話をしてみたりするのはいいかなと。
――プリンスホテルの中でも、鉄道グループにとって品川プリンスホテルは特別ですね。劇場もぐるっと取り囲む感じですね。
川尻:プリンスホテルがあってアネックスがあって、いつでも、で、高輪もありますし。そこで観れるっていうのがメタ的にはすごく面白いなとおもいます。これはなかなかないなと。
――社訓が「感謝と奉仕」。
川尻:これはセリフに出てきます。池袋線が「感謝と奉仕」って言っています。そういう内側の話が今までよりは見えるので、西武好きな人は好きだと思うんです。
――西武沿線に住んでいる人には観て欲しいですよね。
川尻:はい。西武線に乗ったことがある人は特に。埼玉方面の方々にも観て欲しいですね。
――「翔んで埼玉」、ヒットしましたから。
川尻:今年はそっち方面、元気になってくれればいいですね。
――やはり西武線はやはり埼玉色が強いですからね。
川尻:強いですね。
――所沢は街全体が西武って感じですよね。
川尻:球場もね。近年、西武は調子いいですね、野球とか(笑)。
「今までの『やばい』を超えた『やばさ』です」
――だいたい出たところで締めの言葉を。
川尻:はい。このシリーズが成功すれば、いろんなグループ、いろんな軍団もスピンオフっていうのが出てくるかな?と思います。このシリーズで人気が出たキャラクターは逆に『本編』の方に出てきたりもするのかなと思います。お試しという感じでは作ってなくって、最初からフルスロットルで多分、みんな喉、やられるんじゃないかなって(笑)。今までのシリーズで一番多かった感想が「やばい」っていう(笑)のが多かったです。本当に今回が多分、今までのシリーズの中で・・・・・。
――やばい(笑)
川尻:はい。その中でも一番「やばい」んじゃないでしょうか(笑)。はい。今までの「やばい」を超えた「やばさ」です。2.5と呼ばれているものの中でいろんなコメディーがありますが、常識を逸している分に関してはズバ抜けているんじゃないかと。それは裸になるとか下ネタを言うとか、そういうことではなく、純粋に偏執的な愛、としての常識の逸し方としては多分、他の作品では、比べられないんじゃないんでしょうか。
――特に擬人化の中ではないですよね。
川尻:こっちはかなりグレーゾーンできていますので。
――肖像画からしてグレーゾーンですね。
川尻:そうですね。鉄道って企業ですから、本当は擬人化しちゃダメだろうっていうところから始まっているので(笑)。
――そもそもの原作が(笑)。
川尻:うまい具合に最初に「この物語はフィクションです」って言っているので(笑)。ちょっとファンタジーにしつつ、もちろん元になるものはあるけど、ぐらいの距離感でやっていますので、そこは、現実的のものとリンクさせてみるのもあり、まったく関係ないものとしてみるのもあり、本当に見方次第ですので。そういう意味で偏執的な究極の愛を見に来ていただければと思います。あとは文中に登場した実在する企業名、作品名との関わりはないですので。
――必ず、見に行きます!
川尻:是非是非!
――公演楽しみにしています。
<キャスト>
西武池袋線:KIMERU
西武安比奈線:渡辺コウジ
西武新宿線:橋本汰斗
西武秩父線:滝口幸広
西武西武園線:馬場良馬
西武国分寺線:木村 敦
西武狭山線:岩城直弥
西武有楽町線:橋本 星
西武有楽町線:土方柚希
秩父鉄道:森山栄治
アンサンブル
福井大輔
齋藤健心
伊藤智則
大野紘幸
西武山口線(レオライナー)役 回替わりゲスト
永山たかし
高橋優太
瀬戸祐介
稲垣成弥
岩 義人
田中涼星
【公演概要】
ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』〜すべての路は所沢へ通ず〜
公演日程・場所:2019年5月9日(木)~5月19日(日)品川プリンスホテル クラブeX
脚本・演出・作詞:川尻恵太 (SUGARBOY)
音楽:あらいふとし+ミヤジマジュン
振付:EBATO
公式HP:http://www.marv.jp/special/aoharutetsudou/
公式ブログ: http://aoharumusical.jugem.jp/
公式Twitter:@aoharu_musical
主催:マーベラス/ネルケプランニング/KADOKAWA
クレジット表記:©青春 ©ミュージカル『青春鉄道』製作委員会
取材・文:Hiromi Koh