舞台「銀河英雄伝説 Die Neue These ~第二章 それぞれの星~」駆け引き、攻防、策略、決して負けることはできない!

「アルスラーン戦記」などでも知られる、大人気作家・田中芳樹氏原作によるSF小説「銀河英雄伝説」。1982年に第一巻が刊行されて以来、累計発行部数は1500万部を超え、今なおその記録を伸ばし続けているベストセラー小説。アニメ、漫画、ゲームなどの関連作品も多く、1988年からは、アニメシリーズが制作され、OVA110話、外伝52話、劇場公開作品3本という、圧倒的ボリュームで展開された。舞台シリーズは2011年から始まり、2015年までに11作品、累計観客動員数は約13万人。2018年より新作アニメの放送に合わせて新・舞台シリーズとして始まり、今年2019年は第二作目となる。前回公演ではアスターテ会戦を中心に回想シーンや自由惑星同盟での記念式典の有名なシーン、ジェシカ・エドワーズ(汐月しゅう) が国防委員長に向かって「あなたは今、どこにいますか?」と問いかける場面が描かれていた。前回もナレーションは下山吉光であったが、今回の公演でも下山吉光が担当する。
開演前に前回のストーリーのおさらいができるようにアニメ版の映像とともにナレーションも入るのではやめに席について予習しておきたい。また作品をよく知らない場合はここでチェックを!そして本編が始まる前に前回公演の映像も流れ、アスターテ会戦の解説もあり、ここで前回公演の様子もわかる。そして下山吉光のナレーションで作品の概略が説明される。この声を聞くと「始まる!」と思える。ラインハルトとキルヒアイス(加藤将)の幼い頃の出会い、キルヒアイスの隣に引っ越してきたラインハルト一家。ラインハルトの姉であるアンネローゼ(杉本有美)はキルヒアイスに「あなたを頼りにしています」と言われる。ラインハルト、アンネローゼ、キルヒアイスの幼い日々、つかの間の幸せ、それが奪われてしまった。「一緒に姉さんを取り戻そう!」とラインハルトはキルヒアイスに告げる。ここから二人の『共同戦線』が始まるのであり、二人で宇宙を手に入れるという壮大な夢に向かって突き進んでいく。一方の自由惑星同盟、ヤンはアスターテ会戦での功績が称えられたが、ヤン自身は出世欲とは無縁な人間、頭脳明晰、記憶力抜群のフレデリカ・グリーンヒル(福永マリカ)や“薔薇の騎士(ローゼンリッター)”連隊を率いるワルター・フォン・シェーンコップ(大高雄一郎)と出会いが描かれる。そして物語はカストロフ動乱、そして有名な戦いであるイゼルローン攻略に向かっていく。

宇宙戦争は映像を駆使、アニメ版を視聴していれば、様々なシーンが思い浮かぶであろう。そしてイゼルローン要塞は難攻不落と言われており、同盟軍は6回も攻略に失敗している。同盟軍はヤンを少将に昇進させ、その最初の任務にイゼルローン要塞の攻略が命ぜられたのであった。
臨場感のある効果音、アニメもそうだが、壮大な楽曲、オーケストレーション、映像、照明で作品世界を舞台上に出現させる。そしてそれぞれの人間関係、出会い、運命、ユリアン(小西成弥)と一緒に入ったレストランに偶然にもグリーンヒルが父親と食事をしていた。父親は年頃の娘が気になり、結婚を口にする下りは微笑ましく、また前半の子供の頃の回想シーンはラインハルトもアンネローゼもその時の格好をして登場するが、キルヒアイスだけは帝国軍の制服のまま、キルヒアイスの『脳内での回想』なのだという状況をビジュアル的に見せている。そしてイゼルローン攻略におけるシェーンコップの機知に富んだ活躍、イゼルローン陥落に際して一滴の血も流さずに行い、成功。この功績でヤンは「魔術師ヤン」と称えられるようになるが、ヤンは出世が目当てではなく、心底平和と反戦を望んでいる人物、そんなヤンの状況を芝居できめ細かく見せている。

名言、名台詞も多く、シェーンコップの「私は信じるといった男に筋を通さねばならんでな。第一、同盟には口説かねばならん女性が山ほどいるからな」、彼の性格、信条をよく表しているし、それに対してのヤンの「シェーンコップ大佐は最も危険な役目を引き受けてくれた。私も信じることで筋を通すさ」と言う。こういった台詞は心に響き、またかっこいい。こういったところはこの「銀河英雄伝説」の真骨頂といったところであろう
ストーリーはもちろん、まだまだ続いていく。宇宙という大舞台で繰り広げられる人間同士の覇権争い、スペースオペラとも言われている「銀河英雄伝説」、銀河の歴史を再び、秋に!「銀河の歴史が、また1ページ」。

ゲネプロ前にキャストの挨拶があった。ヤン・ウェンリー役の小早川俊輔は「稽古時間外にキャラクターについて話し合ったりした」とコメントしたが、掘り下げれば、掘り下げるほどに深い人物描写、なかなか手強い作品で「最良のものをお届けしたい!」と意気込んだ。ラインハルト役の永田聖一朗は「またラインハルトとして立たせていただく幸せ、知らない方でも楽しめるように、知ってる方はより楽しめる!大阪公演もあるのでぜひ!」と元気よく。キャゼルヌ役の米原幸佑、キルヒアイス役の加藤将は二人とも「パワーアップ」という言葉を使った。ほとんどの俳優が前回に引き続き演じており、前回は初役であったが、今回は2日目、役に慣れてきた様子で、力強い演技を見せてくれた。また加藤将は「ラインハルトとのやり取りに注目していただきたい」とコメント、細かい表現を心がけて演技をしていたのが印象的であった。アッテンボロー役の伊勢大貴は「イゼルローン攻略が個人的に好き」と言うが、ここが好きな場面というファンは多い。今回の大きなハイライトシーンであろう。また狂言回し的な立ち位置もあり、なかなか難しいポジション、健闘が光る。また初参加であるシェーンコップ役の大高雄一郎は「初参加で緊張しています。みんなお芝居に対して真面目・・・・・いい稽古ができました。稽古が終わった後で筋トレしてチームワークを高めました」とコメント。機転が利き、腕っ節もめっもう強いキャラクター、今後の活躍が楽しみ。同じく初参加のフレデリカ・グリーンヒルを演じる福永マリカは「どんな方にも響く作品にしたい」と意気込み、オーベルシュタイン役の藤原祐規は「初参加で難しい役をいただきました稽古場から試行錯誤でした。お客様の反応、どう迎えていただけるのか不安ではあります」とコメント、今後のオーベルシュタインに注目したい。
<ストーリー>
物語は数千年後の未来、宇宙空間に進出した人類が、銀河帝国と自由惑星同盟の二国に分かれていた。
この二国家の対立は実に150年に及び、際限なく広がる銀河を舞台に、絶えることなく戦闘が繰り返されてきた。
そして、ふたりの天才の登場によって歴史は動いていく。
「常勝の天才」ラインハルト・フォン・ローエングラム(永田聖一朗)と、「不敗の魔術師」と呼ばれるヤン・ウェンリー(小早川俊輔)である。
アスターテ会戦で合いまみえた二人は互いを認め合った。
ラインハルトは大きな勝利を手に元帥府を開き己の陣営を持ち、ヤンは全滅を食い止めた功績で同盟最年少の提督として第13艦隊を持つ。
二人はそれぞれの運命の中で輝きを増して行く。
<インタビュー記事>

《インタビュー》 舞台「銀河英雄伝説 Die Neue These」演出 大岩美智子


<前回公演>

舞台「銀河英雄伝説 Die Neue These」壮大な宇宙で運命が交錯する、歯車が回る


【公演概要】
舞台『「銀河英雄伝説 Die Neue These」~第二章 それぞれの星~』
日程・場所:
<東京:Zepp DiverCity (TOKYO)>
2019年5月30日(木)~6月2日(日)
※5月30日(木)19:00 帝国軍vs同盟軍スペシャルフォトコール
※5月31日(金)15:00 帝国軍アフタートーク
※5月31日(金)19:00 同盟軍アフタートーク
※6月 1日(土)17:00 帝国軍+同盟軍アフタートーク
<大阪:Zepp Namba (OSAKA)>
2019年6月8日(土)・9日(日)
※6月8日(土)17:00 帝国軍+同盟軍アフタートーク
※6月9日(日)13:00 帝国軍vs同盟軍スペシャルフォトコール
原作:田中芳樹「銀河英雄伝説」シリーズ(創元SF文庫刊)
演出:大岩美智子
構成・監修:高木 登
脚本:米内山陽子
出演:
<銀河帝国> 永田聖一朗(ラインハルト・フォン・ローエングラム) 加藤将(ジークフリード・キルヒアイス)/畠山遼 (オスカー・フォン・ロイエンタール)釣本南(Candy Boy)(ウォルフガング・ミッターマイヤー)/杉本有美(アンネローゼ・フォン・グリューネワルト)/藤原祐規(パウル・フォン・オーベルシュタイン)
<自由惑星同盟> 小早川俊輔(ヤン・ウェンリー)/米原幸佑(アレックス・キャゼルヌ) 伊勢大貴(ダスティ・アッテンボロー) 小西成弥(ユリアン・ミンツ)/大高雄一郎(ワルター・フォン・シェーンコップ) 福永マリカ(フレデリカ・グリーンヒル) ほか
主催・企画・制作:舞台「銀河英雄伝説」制作実行委員会
制作協力:らいとすたっふ
東京公演お問合せ:イープラス:0570-06-9919(全日10:00~18:00)
大阪公演お問合せ:キョードーインフォメーション:0570-200-888(全日10:00~18:00)
公式HP:http://www.gineiden.jp/
公式twitter:@gineiden_stage
(C)田中芳樹/松竹・Production I.G