稲垣吾郎主演 君の輝く夜に ~FREE TIME, SHOW TIME~ 夏の終わりの懐かしい恋、思い出、そして優しさと寄り添いながら・・・・・・。

2012年、2014年、2016年と3度にわたり上演された、稲垣吾郎主演舞台『恋と音楽』シリーズ。
喜劇作家でもあり、数々のオリジナルミュージカルを手掛ける作家・鈴木聡と、鬼才のジャズピアニスト・作曲家の佐山雅弘がタッグを組み、実力派の俳優陣と錚々たるジャズミュージシャンの生演奏によって上演された本シリーズは、オトナのための贅沢でお洒落なオリジナルミュージカルとして好評を博した。
そんな『恋と音楽』シリーズのクリエイター陣と稲垣吾郎が再びタッグを組んだ舞台『 FREE TIME, SHOW TIME 君の輝く夜に』が昨年夏に京都で上演され、その舞台が、いよいよこの秋、東京・日本青年館ホールにて上演!
本作は、素晴らしいオリジナル楽曲を創り、音楽監督・ピアニストとして『恋と音楽』シリーズを支えた佐山雅弘への追悼の意を表しての上演となる。
歌やダンスによるお洒落で華やかなショーを真ん中に挟み、さまざまな大人の味が楽しめる、一人の男(稲垣吾郎)と三人の女たち(安寿ミラ、北村岳子、中島亜梨沙)による夏の終わりの恋の物語。
どこかレトロ感が漂うバーカウンター、テーブル、椅子。テーブルにはケチャップやマスタードの容器。バーカウンターには所狭しといろんなポスターが貼られているが、古き良き時代のアメリカを彷彿とさせるおしゃれなものが多い。白と赤の浮き輪、始まる前から舞台上では生演奏、これは贅沢!
始まりは、まずは安寿ミラの歌、「懐かしい恋」と歌い始める。それから登場人物たちが登場する。歌い終わり、波の音、ここは海辺の小さな店、宿泊施設もある様子。この店の主人、ちょっと華やかな服装、キップの良さそうな感じ、北村岳子が、そんな店の店長を演じる。そこへ一人の男がやってくる。ここには10年前にきたことがあるというが、現在の店長はそれ以降、だから男とは初対面。ちょっとわけあり?な雰囲気を漂わせるが、それを稲垣吾郎が演じる。そこへ『いかにもできる!』な雰囲気の女性がやってくる。会社を経営しているらしい。かっこいい雰囲気が安寿ミラにはぴったり。そして若い女性、元気いっぱいな、パンツスタイルの女性、そんなキャラクターを中島亜梨沙が演じる。これで全員揃った。

他愛もない会話、そして音楽が途切れない印象、そこからそれぞれのキャラクターのバックボーンが見えてくる。新鮮なアジが手に入ったからアジフライにしよう!という下り、稲垣吾郎演じる男が自分が調理すると言い出して包丁を振るうところはちょっと微笑ましい。ワインを開けたり、いわゆる『雑談』する4人、これがさりげなくて共感を呼びやすい。緊張をほぐしながらしゃべるのには他愛もない話は、ある意味必要だ。食べ物とお酒、海に近い店。それだけなのだが、されどそれだけ、それで十分。謎に包まれた感のある男、そして訳あり??自立した大人の女性、お人好しっぽい若い女性に、店の主人。皆、バラバラな立場であるが、不思議な連体感も感じる。
そして芝居と芝居の間はショウタイム。またたく間に店がなくなり、ショーのステージに。舞台セットを変えるスタッフたちが、何気に皆、帽子をかぶっているのはちょっと笑える。いかにも『黒子です』ではなく、自分たちもこの作品の一部なんだというさりげない主張が感じられる。

 

一転して舞台天井には『SHOW TIME』の電光の文字がキラキラ!皆、普段着っぽい服装から白のステージ衣装に、シンプルで華やかだ。ここは、もう完全に歌、歌、歌!そしてダンス!ダンス!ダンス!しかし、最近のHIPHOP系な振付ではなく、JAZZダンスベースの振付、手の動きやフォーメーションなど、4人しかいないのに賑やかな印象、そして華麗で躍動感もあり、それでいて品よくアグレッシヴで楽しい。TAPにも挑戦する稲垣吾郎、これがうまいとかそういうことではなく、なんだか暖かく感じられるのだ。人柄もにじみ出ており、秀逸な場面だ。芝居パートもそうだが全員に見せ場があってかえって清々しい。白いステージ衣装も皆、ディテールが異なる仕様で俳優陣の雰囲気にあっている。安寿ミラの服装は宝塚のトップ時代をなんとなく感じさせるようなすらっとしたかっこよさでちょっとワイドなパンツ、北村岳子はハーフ丈のパンツで活動的、中島亜梨沙は思いっきり脚を出したショートパンツ。稲垣吾郎のは、正統派な感じなスーツ。そのきめ細かさ、細部に至るまでのこだわりを見せる。

そしてショータイムのあとは『さっきの続き』、時間は朝。男はコーヒーを入れる、昨日はかっこいいスタイルだった女性はニットにフェミニンなスカート、若い女性は黒の襟元がフリルのトップスにパンツスタイル、男運がなく、かなり貢いでしまったようだ。男はそれに対して「優しいんだね」というが、普通は「はあ?なんでそんなに・・・・・」というリアクションをしそうなところだが、そうではないところに男の性格の優しさも読み取れる。それぞれの、『結末』というほどではないが、それぞれの『オチ』がどこか温かいぬくもりも感じる。オリジナルな楽曲もどこかほっとしたり、優しくなったりできるメロディーライン。ちなみに楽曲は1幕、2幕合わせて16曲、ショウは14曲!


ショータイムでは懐かしいナンバーが目白押し!シニア世代は思わず口ずさんでしまいそうな!ヒット曲ばかり!「ラジオで聴いた!」「ラジオからカセットテープに録音したよ!」っていう人も多いだろう。しかし、それらを知らない世代でもキャッチーなメロディラインで「かっこいい」と思えるはず。そんな細かいところにも耳を澄ましてほしいところ。約2時間のノンストップショウ、大人世代にぴったり、そして若い世代にはちょっと背伸びをして観てほしい必見な作品だ。

公開ゲネプロ前に囲み会見があった。登壇したのは出演者全員、稲垣吾郎、安寿ミラ、北村岳子、中島亜梨沙。

「去年、京都で公演していましたが、スタートが去年よりは、スタート地点が違ったので、より良い内容となっております」(稲垣吾郎)
「熟成した、4人のチームワークもあり、良い初日を迎えられると信じています」(安寿ミラ)
「さらに4人の関係が変わってくると思いますので楽しみにしててください」(中島亜梨沙)
「練りこんで、寝かせていいものをお見せできるように頑張りたいと思います」(北村岳子)
稽古の雰囲気に関しては「本当に4人でしかできない、この空気が流れています。演出、スタッフ、このチームワークでしっかりと支えていただいていますので、本当に和やかな雰囲気で実際の稽古期間は少なくて若干不安なところもあったのですが、ずっと長くやってきたスタッフですので、みなさんと去年もご一緒させていただいて本当にチームワークはバッチリです」と稲垣吾郎。そして男性一人という座組に関しては「まあ、僕も女子なのでね(笑)、結構、女子会に参加してる感じです。でも気分はいいですよ、男ですから。美女3人に囲まれて・・・・・・はい、幸せです」と笑顔で。「女性3人がさっぱりしてて男っぽいので、女子会みたいな4人」と安寿ミラがいえば、稲垣吾郎も「プライベートでも去年も京都でずっと一緒だったし・・・・・・その延長みたいですね」と笑う。さらに「そういえばラーメンの話、してましたね。鈴木聡さんがすごい・・・・・ラーメン博士みたいで」とコメント。楽しい現場だったのが伝わってくる。稲垣吾郎は「皆さん、エンターテイメントの世界でやってこられてきて、ちょっとだけ・・・・・育ってきた環境が違うっていうか、そこがまた、mixされた面白さ、今回の舞台の特長でもあるのですが」といい、また音楽の佐山雅弘が他界したことについては「天国から観てくれているのかな?そういうものを近くに感じながらやってましたし、今日もきっと特等席で感激してもらいたいです、そういう気持ちで」とコメントし、そこで安寿ミラが「今日、いらしてますよ」と語る。さらに稲垣吾郎は「『Show must go on』です、今日も頑張ります!」と力強く。そして「(香取慎吾、草なぎ剛二人がくると)緊張するんです(笑)、特に歌と踊り!二人に観られるのはなんともいえない小っ恥ずかしさがあります・・・・・逆に頑張れる!渡辺謙さんの『王様と私』も3人で観劇しました、お会いしまして『頑張れよ』って言ってくださったんです」とコメントし、「ステージに立っている時が自分が一番輝くんだと思います、そうじゃないといけないし。普段は全然・・・・・・求められる限り輝きます!」ときっぱりと。
最後に稲垣吾郎は「9月23日まで、この新しい日本青年館ホールで公演しています、何度も足を運んでいただきたいです、皆さんとお会いできることを楽しみにしています!」と元気よく締めて会見は終了した。

【公演概要】
君の輝く夜に ~FREE TIME, SHOW TIME~
日程・場所:2019年8月30日(金)~9月23日(月・祝) 日本青年館ホール
作・演出:鈴木聡
音楽:佐山雅弘
出演:稲垣吾郎 / 安寿ミラ 北村岳子 中島亜梨沙
演奏:佐山こうたpf. 高橋香織vln. バカボン鈴木b. 三好´3吉´功郎g. 仙波清彦perc.
チケット料金:S席10,000円 A席8,000円 車椅子スペース席10,000円(全席指定・税込)
企画・製作:㈱モボ・モガ
☆『君の輝く夜に~FREE TIME,SHOW TIME~』
公式HP:http://kiminokagayakuyoruni.com
チケットに関してはHPをご参照ください。
取材・文:Hiromi Koh