血と死の臭いが充満する青春剣劇 舞台「鬼滅の刃」公演開始!

舞台「鬼滅の刃」の公開ゲネプロが、18日からの公演に先立ち1月17日銀河劇場にて行われた。

同作品の原作は、シリーズ累計発行部数が2,500万部を突破(2019 年12月時点)した「週刊少年ジャンプ」にて大好評連載中の、吾峠呼世晴による漫画作品。
人気作品の舞台化とあって、開演前の客席のざわめきは期待に満ち満ちていた。舞台で血の色に輝く光の輪は怒りの炎か刃の軌跡か。ロゴにも使われている、その輪は赤々と輝いている。恐れと期待がないまぜになった緊張感の中、幕が開いた。

ステージに現れたのは、地にざわめく鬼たちの姿。客席からは「ヒュッ!」と息をのむ声が聞こえた。鬼たちは絶対的支配者・鬼舞辻無惨を称え、歌い踊りそしてひれ伏していく。この鬼たちの支配関係の象徴的な姿で、一瞬にして観客は物語に引き込まれていく。漂う血と死の臭い。
そして場面が変わり、主人公の竈門炭治郎を演じる小林亮太が登場すると、物語は日常へと入っていく。プロジェクションマッピングを活用し、父の無い家族を支える主人公炭治郎と優しい母、禰豆子はじめかわいい兄弟姉妹たちとの優しい生活が描かれ、その優しい風景に客席は一息ついた。

しかしそれはつかの間の安息でしかなかった。町に炭を売りに出た炭治郎が一晩おいて家に帰ると、家族は惨殺され、唯一生き残った妹・禰豆子も鬼に変わり炭治郎に襲い掛かってくる。キリキリと胃を締め付けるように高まる緊張感。禰豆子に襲われ抗う炭治郎を救ったのは一人の剣士、冨岡義勇と名乗る鬼殺隊の剣士だった。彼は禰豆子を殺さないでくれと土下座する炭治郎に「生殺与奪の権を他人に預けるのは笑止千万」と歌い始める。戦いの場の緊張感とそこに不釣り合いに繰り返される「笑止千万」のコミカルなリズム(加えて吹き出しが背景に映し出される)に客席の張りつめた緊張は少し緩んだ。

義勇は、禰豆子を守ろうと自分に反撃する炭治郎と、炭治郎を守ろうと立ちふさがる禰豆子の姿に、兄妹の絆が残っていることを感じとる。そして、炭治郎に妹を助ける道として鬼殺隊としての訓練を受けるように勧め、鱗滝左近次に紹介状を送る。
ここでオープニングが始まるが、ここまでで約15分。原作では第1話の内容だが、物語の密度が高く、観客はジェットコースターのように振り回され、物語から離れられなくなっていく。
この後、鱗滝左近次の下で修業をし、その中で錆兎・真菰との出会いと別れを経て最終選別の関門を突破、鬼殺隊剣士となるところで前半の約1時間10分が終了する。

休憩を挟んだ後半は、浅草での炭治郎・禰豆子と鬼舞辻無惨の邂逅、珠世・愈史郎との出会いと別れ。炭治郎と、同期の鬼殺隊剣士・我妻善逸との再会。指令先の屋敷での同期隊士・嘴平伊之助の乱入と元・十二鬼月である響凱との戦いというコミックス4巻までの内容が描かれていた。
前半が鬼殺隊士となるまでの炭治郎の修業を中心とした「静」の章だとすれば、後半は彼が鬼殺隊剣士となったことで一転して「動」の章へと移るといえる。激しいアクションと、隊士たちの活躍、そして禰豆子役・髙石あかりのアクションなど見どころも満載だ。
2時間40分(休憩15分含む)という上演時間が短く感じる面白さだった。

<コメント>
[脚本・演出: 末満健一さん]
稽古中は「これをどう表現すればよいのか?」と難問の連続でした。 竈門炭治郎の戦いは、そのまま座組の戦いでもありました。 すべてのピースが出揃い、通し稽古を重ねるにつれて、「早くこの作品をお客さんにお届けしたい」という思い が募るばかりでした。 舞台「鬼滅の刃」、小林亮太座長率いる座組の熱量と共に、ようやくお届けできることを嬉しく思います。

[竈門炭治郎 役: 小林亮太さん]
この物語の中で生きる人たちが死と隣り合わせにあるように、1 人 1 人が抱く想いを果たそうと必死に闘ってい ます。
舞台「鬼滅の刃」ならではの生々しく力強さのある世界を。 劇場へお越しくださる皆さんの愛も合わせて、ひとつの作品に。 頑張れ炭治郎頑張れ!!座組み一丸、己を鼓舞して。応援よろしくお願いいたします。

[鬼舞辻無惨 役: 佐々木喜英さん]
今回登場する鬼舞辻無惨は「氷山の一角」だと思っています。 長い戦いの序章となる今回の舞台では、ベールに包まれながらも垣間見える底知れない彼の恐ろしさを、要所 要所で皆さまに感じていただければ嬉しいです。 舞台「鬼滅の刃」を、末永く応援のほどよろしくお願いします。

<『鬼滅の刃』とは>
「週刊少年ジャンプ」にて大好評連載中の、吾峠呼世晴による漫画作品。2016 年同誌 11 号より連載開始。 人と鬼との切ない物語に鬼気迫る剣戟、時折コミカルに描かれるキャラクターたちが人気を呼び、 シリーズ累計発行部数が 1,600 万部を突破(2019 年 11 月時点)。 今なお注目を集め異彩を放つ本作。独自の世界観を構築し続け、新たな少年漫画の金字塔として存在感を 示している。
2019 年 4 月より放送を開始した TV アニメも絶大な人気を博し、Blu-ray&DVD 第 1 巻は
初週オリコン 11,594pt を獲得、2019 年 4 月に放送開始された新作 TV アニメの中で堂々の第 1 位を飾った。 さらに、TV アニメの最終回にて劇場版アニメーションの製作が発表。その勢いは止まらない――

<ストーリー>
時は大正、日本。 炭を売る心優しき少年・炭治郎は、ある日鬼に家族を皆殺しにされてしまう。 さらに唯一生き残った妹の禰豆子は、鬼に変貌してしまった。 絶望的な現実に打ちのめされる炭治郎だったが、妹を人間に戻し、 家族を殺した鬼を討つため、“鬼狩り”の道へ進む決意をする。 人と鬼とが織りなす哀しき兄妹の物語が、今、始まる――!

<キャスト>
竈門炭治郎 小林亮太
竈門禰豆子 髙石あかり

我妻善逸  植田圭輔
嘴平伊之助 佐藤祐吾

冨岡義勇  本田礼生
鱗滝左近次 高木トモユキ

錆兎 星璃
真菰 其原有沙

白髪 柿澤ゆりあ
黒髪 久家 心

珠世 舞羽美海
愈史郎 佐藤永典

鬼舞辻無惨 佐々木喜英

竹村晋太朗
夛田将秀
西分綾香
星 賢太
星乃勇太
前川ゆう
森田力斗

※禰豆子の「禰」は「ネ(しめすへん)」、錆兎の「錆」は「つくり下部分が“円”」、
鬼舞辻の「辻」は「一点しんにょう」が正式表記となります。

【公演概要】
日程:
<東京>
2020年1月18日(土)~1月26日(日)
天王洲 銀河劇場
<兵庫>
2020年1月31日(金)~2月2日(日)
AiiA 2.5 Theater Kobe
原作:『鬼滅の刃』吾峠呼世晴(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
脚本・演出:末松健一
音楽:和田俊輔
監修:集英社(「週刊少年ジャンプ」編集部)
協力:一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会
協賛:ローソンチケット
主催:舞台「鬼滅の刃」製作委員会
公式HP:https://kimetsu.com/stage/
©吾峠呼世晴/集英社 ©舞台「鬼滅の刃」製作委員会 2020
文:菖蒲剛智