下北沢に8つの劇場を運営する本多劇場グループ。下北沢が『演劇の街』になったのは、本多一夫の演劇に対する情熱と夢。客席に観客をいれての公演の第1弾が、小劇場B1「演劇の街をつくった男」、つまり本多一夫の物語。一発目としては、これ以上の題材は考えられないくらいの『直球』。上演時間は60分以内、席数も通常の半分以下、約1/3。その前に無観客生配信、本多劇場「DISTANCE」上演、多くの視聴者を獲得した。それから間髪入れずに、の公演。19日の初日を終えての感想と手応えを本多劇場グループ総支配人・本多愼一郎さんにお伺いした。
――6月1日の無観客生配信も拝見させていただきまして、今回はお客様を入れての公演でした。しばらく自粛していた期間を経たうえで、久しぶりに劇場で演劇が上演されたことへの感想は?
本多:お客様に劇場へ足を運んでいただいて、実際にお芝居を観ていただくこと、これがやはり本来の演劇のかたち。約3ヶ月もの間、活動ができなかった劇団の方々はもちろん、劇場も、ですけれど活動ができなかったこの期間というのは一種の充電期間になったのでは?とふと思いました。今まで、劇場では生配信というものは行ってきていませんでした。そのテストケースとして6月1日の「DISTANCE」からはじめました。今回も生配信で行っておりますので、これはそういった新しい取り組みへのまた一歩だなと思っております。
――去年の状況と比べると、本当はもっと椅子が倍以上はあるはず。それが満杯になるのが今までの満席でしたね。
本多:今は、席数は3分の1くらいですね。
――それでもやれるということは大きな一歩だと思います。
本多:感染症対策というのをきちんと行っていかないといけないとは思います。それでもより一層、お客様に安心して劇場に足を運んでいただける環境づくりを今後とも考えてやっていきたいですね。
――今回のお芝居の題材は本多劇場を作ったお父様である本多一夫さんの物語。フィクションとノンフィクション、本当のお話との混ぜ合わせで楽しく拝見させていただきました。上演時間も60分以内、今のガイドラインに則っていますよね。
本多:はい。少し早めの対応ではありますが。今回映像も一緒に配信していますのでそこの尺でもいろいろバランスを取りながら、気持ちちょっと短めの作品となっています。
――本多劇場グループとしては一回目がこの題材であるというのは大きな意味があると思いました。
本多:たぶんこの期間の間に演目を変えるなど、いろいろな方が準備をされていると思いますが、この期間中にお客様を入れて、ちょっと人数も減らした体制で芝居体系の公演をやるのは今回が初めてなのかなと。そこで、うちの本多一夫が題材で、徳永京子さんに書いていただいた『「演劇の街」をつくった男 本多一夫と下北沢』をもとにしてやらせていただきましたが、今までの“下北沢”における劇場に関する想いが含まれていると感じました。
――劇場に関する想い、前回の公演もそうですし今回も、そういった気持ちを感じました。前回も今回も生配信していますけれど、興味がなかった人たちも観ようと思えば“ここに来なくても観られる”という一つの可能性、配信を観て“生でも観たいな”と思ってもらえれば、それは将来的には観客が増えることにつながっていく……。
本多:そういったご意見も数多くいただいています、前向きに捉えています。ある程度映像配信というのも“それありき”になってきていますね。地方の方とか、今までどうしても足を運びにくかった方にも気軽にというんでしょうか、演劇を楽しんでいただけるいい機会なのかな、とも思っています。今回も素晴らしい映像のスタッフさんにいろいろご協力いただいてお客様へクオリティーの良い映像をお届けすれば映像でも小劇場のようにお楽しみいただけるのかなと思っております。
――これから、第二弾、第三弾と……。
本多:はい。これからはできるだけ、さらなる安全対策をしながら。まずはゆっくりでも本来の劇場のある姿に戻っていければ……。そのときにこういった新しい取り組みも一緒に行っていってより多くの方に楽しんでいただけるよう作っていければなと思っています。
――まだしばらくこのような公演になると思いますが、配信によって新たな観客も増えるといいですね
本多:はい。今はどうしても劇場にお客様がなかなか難しい状況ではありますし、少人数になってしまうんですがそういった方にも配信だと観やすい環境なのかなと・・・・・・この期間に多くの方に観ていただいて、公演が本格的に始まったときにはぜひ足を運んでいただければと思っております。
――ありがとうございました。
幕が開き、無事に初日を迎えた劇場。“満杯にならない満席”でも、そこに観客がいる景色、劇場のあるべき姿。席に置いてあった“パンフ”そこには「来年、新しい劇場を作りたいと一夫は思っています」と。この「演劇の街をつくった男」の物語はまだまだ先がある。
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本多劇場グループ PRESENTS ACALINO TOKYO 「演劇の街をつくった男」人間が持つエネルギー、夢を、想いを現実に。どんな時代が来ようとも、これだけはなくならない
<概要>
本多劇場グループ PRSENTS
ACALINO TOKYO 「演劇の街をつくった男」
【脚本・演出】
徳尾浩司(とくお組)
【原作】
「演劇の街」をつくった男 本多一夫と下北沢 [語り] 本多一夫 [著] 徳永京子 (ぴあ株式会社)
【出演】
石川啓介 大部恵理子 笠井里美 杉山圭一 とみやまあゆみ 中薗菜々子 野川雄大 林雄大 / 本多一夫(特別出演)
【スタッフ】
舞台監督:藤田有紀彦 / 音響:星知輝 / 照明:阿部康子 / 映像:ワタナベカズキ / プロデューサー:林雄大
【協力】
エフィラ ephyra / Gakuya / ★☆北区AKT STAGE / とくお組 / 徳永京子 / ぴあ株式会社 / 宮内宏子
【お問合せ】
EL:03-6778-8399(ACALINO TOKYO) / E-MAIL:acalinotokyo@gmail.com
公式サイト:https://acalino.jp/2020/06/06/engekinomachi/
【制作協力】
本多劇場グループ
【企画・製作】
ACALINO TOKYO / ACALINO PRODUCTOION
■劇場公演
【劇場】
下北沢 小劇場 B1 〒155-0031 東京都世田谷区北沢 2-8-18 北沢タウンホール B1
【アクセス】
電車でお越しの方 京王井の頭線 中央口改札より徒歩約8分 / 小田急線 東口改札より徒歩約8分
【公演日時】 2020年6月19日(金)14:00 / 19:00
6月20日(土)13:00 / 18:00
6月21日(日)13:00 / 18:00
※上演時間は60分以内を予定しております。
※受付開始は開演の45分前、開場は30分前となります。
※開演時間を過ぎますと、お席にご案内できない場合がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮ください。
【観劇チケット】
前売り:3,000 円(全席自由席・税込)
※当日精算のみとなります。
※当日券の発売はございません。
※チケットの発券はございません。お釣りの出ないよう、お願いいたします。
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況、及び政府・地方自治体の方針により、公演内容の変更、又は無観客でのライブ配信のみとなる可能性がございます。
【チケット購入方法】 2020年6月6日(土)10:00よりカルテット・オンラインにて発売開始 https://www.quartet-online.net/ticket/acalinotokyo ※ご予約の締切は、各回前日の24時までとなっております。
[ライブ配信]
【配信チケット】
2,000円(税込)
【チケット購入方法】
PIA LIVE STREAM にて 6月15日(月)18:00 発売開始
※ライブ配信を、スマートフォン・PCからご覧いただけます。