劇団鹿殺し ザ・ショルダーパッズ 「銀河鉄道の夜」「少年探偵団」自由に、真面目にしっかりと演劇をやる、ということ。

8月に劇団再起動宣言をおこない、クラウドファンディングを実施した劇団鹿殺し。厳しい状況下、どのように公演を行うべきかを考え、新たな作品形態=ザ・ショルダーパッズにたどり着いた。 ザ・ショルダーパッズでは、男性の衣装は2枚の肩パットのみ。 シンプルな肉体と、想像力の翼のみを武器に、演者と観客、双方の世界を無限に解放することに挑戦していく。
上演作品は名作文学2本同時上演!「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治 原作)、「少年探偵団」(江戸川乱歩 原作)、名作文学を丸尾丸一郎が戯曲化し、菜月チョビ演出による「ザ・ショルダーパッズ」ならでは!

出演者が登場する、この時点では皆、服を着ているが、瞬時にショルダーパッドに!

とにかく、このショルダーパッドだけ、という衣装(これを衣装と呼ぶのか議論の余地もあるが)、ポスターやチラシで見ていても、実際に目の当たりにするとかなりインパクトが大きい!それも大人数である。一瞬、「!」という感じになるが、見慣れてくると次第にナチュラルに見えてくるのは不思議。拝見したのは「銀河鉄道の夜」。学校の風景、ふざけあったりしている。主な登場人物は原作と同じ。少年ジョバンニは学校でいじめられていた孤独な少年だ。そこでカムパネルラと銀河鉄道に乗って銀河めぐりの旅をする、というのが大体の流れ。菜月チョビが少年ジョバンニを演じ、親友のカムパネルラが丸尾丸一郎、菜月チョビは少年らしい衣装を着用してるが、丸尾丸一郎の方はショルダーパッドだけ。ビジュアル的には普通ではないが、見慣れてくると、『これもあり』と思えてくる。そしていつの間にか、作品世界に入っていける。それ以外の学校のいじめっ子などはショルダーパッドのみの面々が演じるのだが、見た目がシンプルなだけに、作品もシンプルに思えてくる。この2人、当然別れの時がくる…。

見た目がほぼ全裸なので、ポスターやチラシだけで判断すると「?」が頭に浮かぶかもしれないが、しっかりとした骨太の演劇。ダンスやフォーメーションもバッチリ決まって気持ち良い。オープニングの群舞もかっこいいし、「ショルダーパッズのテーマ」の歌もイケてる。そして本当に”肉体を通して伝える”をものすごくわかりやすく提示。「銀河鉄道の夜」という作品も改めて認識できる。独特の透明感も感じることができる舞台。劇団鹿殺し、夏に再起動宣言を行い、クラウドファウンデングを行ったが、その1発目の作品、ショルダーパッドだけ、といういでたち、この劇団らしい自由さも感じられる作品であった。

<劇団鹿殺し ザ・ショルダーパッズ 「銀河鉄道の夜」「少年探偵団」 概要>
■日程 2020年11月7日(土)〜15日(日)
■公演会場 あうるすぽっと
■上演作品
「銀河鉄道の夜」 原作 宮沢賢治
 脚本 丸尾丸一郎 演出 菜月チョビ 音楽 タテタカコ
「少年探偵団」 原作 江戸川乱歩
 脚本 丸尾丸一郎 演出 菜月チョビ 音楽 タテタカコ
■出演
丸尾丸一郎 菜月チョビ
鷺沼恵美子 有田あん メガマスミ 長瀬絹也 内藤ぶり 藤綾近 前川ゆう 君沢ユウキ 伊藤今人(梅棒/ゲキバカ) 松浦司 伊藤教人 五十嵐結也 勝又啓太
※メガマスミは「少年探偵団」に、伊藤今人は「銀河鉄道の夜」に出演します。 ※他キャストは両作品に出演します。

特設サイト:http://shika564.com/sp

撮影:和田咲子
文:高 浩美