舞台「監獄 REQUIEM」、それぞれの信念、正義、思惑が監獄で渦を巻く、最後に見えるものは?

本作はハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズなど、人気2.5次元作品に長きにわたり出演をし、音楽では俳優の山口賢人と共にロックバンド『BUCKS』としても活動し、春にはミュージカル「GOYA-ゴヤ」(演出:鈴木裕美)“ゴドイ”役での出演も決まっている塩田康平が初の作・演出を手掛け、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズで共演をしていた坂本康太が、初の舞台プロデュースを行い制作している作品。出演は佐藤永典、磯野大、健人、佐藤友咲、辻凌志郎、兼崎健太郎、他。
音楽には演出の塩田康平自身も属する『BUCKS』が参加し、BUCKS(Kent Yamaguchi)、山口 Familiar(yuto)、山口紗貴が手掛ける全て書き下ろしの音楽にも要注目。“人は皆、何かに縋っても良いのだ”というメッセージがテーマ、今の世界の状況にも通じるものもある物語となっている。
舞台上にはほぼ何もない。暗闇、「早く逃げろ!」、銃の音、「探せーーー!!!」、近未来の日本。スラム街が増え、治安は悪い。サイレンの音、日本だけでなく、世界は混迷を極めている、という設定。看守長のオオタニ(兼崎健太郎)がつぶやく「もうじき。夜があける」と。

それからオープニング、ミロク(健人)が歌う、ROCK、ここは監獄♪と歌う。物語の主要な舞台は監獄、最初から熱くエネルギーに満ちたナンバーから始まる。”つかみはOK”といったところ。不穏な空気を孕むイントロから途中で変調し、危うさと不安を感じさせるメロディーへと変わる。そして登場人物全員の合唱、それぞれのキャラクターを体現する。それからストーリーが動き出す。アキラ(佐藤永典)が捕縛され、監獄にやってくる。彼には明快な目的があった。ニーナ(佐藤友咲)と呼ばれる囚人とここを出ること。無論、釈放を狙っているのではない。

どうやってもここから出ることは不可能に近い、そんな監獄だ。ちょっとお調子者のミロク(健人)、彼に「ニーナについて教えてくれ」というアキラ。次第に明らかになっていくそれぞれのバックボーン、思惑、苦悩と孤独。真面目を絵に描いたような看守ケイト(磯野大)、ビシッとした姿勢、命令されれば「Yes,sir!」、”sir”は男性の上官や上役に対しての敬称、ケイトの職務や組織、上役への忠誠がよくわかる言葉だ。

着ている服装でもわかるが、監獄なので囚人vs看守、皆、それぞれの正義を信じている。しかも囚人と看守、囚人は盗みを働いたり、殺人を犯した、というわかりやすい理由で捕縛されたのではない。政治、社会不安、暴動もそこかしこで起きる。そのたびごとに検挙される。翻って日本でも昔から社会情勢が不安になり、政治腐敗や経済の混乱が起きると”一揆”が勃発していた。人々は不安になる、暴動が起こる、歴史が証明している。

アキラの心には熱い思いがふつふつと起こっている。同じ囚人のミロク、ニーナ、そして看守のケイト、看守長のオオタニ、信念、正義、想い、登場人物たちの心にくすぶっていたものがやがて、マグマのように噴き出る。世界は変わるのか、彼らの顛末は?

アキラが主人公ではあるが、皆、それぞれの人生を生きる。意外な関係性、行動、ラスト近く、後半は息もつかせぬくらいの怒涛の展開とどんでん返し。合間に歌が入り、音楽劇のようでもある。この歌が多彩でコメディーコメディーぽい曲もあれば、シンプルな曲もあり、ここは聴きどころ。1幕もので上演時間は2時間弱。また、アンサンブル陣のスキルの高いアクションやダンスにも注目したい。

■あらすじ
20xx年 日本。 政権の腐敗、広がるスラム街、新たなウイルスの蔓延、世界は混沌に包まれている。 唸るサイレン、響く怒号、暗闇に座る青年アキラ。 微笑む唇、瞳の奥には確固たる意思。
アキラが捕縛され物語は動き始める。 彼の目的は1つ、それは、特殊監獄ペンタゴンに囚われた囚人ニーナとの脱獄。 しかしアキラ、ミロク、ニーナ、看守ケイト、看守長オオタニの思惑が交差。 物語は思わぬ方向へと進行する
人の死を憂い、愛に嘆き、信念に向かい突き進む。
最後に人がすがるものとは・・・。

<作品概要>
『監獄 REQUIEM』
脚本・演出・作詞:塩田康平(劇団ひまわり・BUCKS)
音楽:KENT YAMGUCHI(BUCKS)、Yuto Kosaka、山口紗貴
■上演期間:2021年2月3日(水)~7日(日)
■会場:新宿村 LIVE(〒169-0074 東京都新宿区北新宿 2-1-2 新宿村CENTRAL 地下2階)
■出演:佐藤永典、磯野大、健人、佐藤友咲、辻凌志郎/兼崎健太郎
【アンサンブル】山口将太朗、浅野郁哉、中尾雄貴、高橋愛奈、北村真一郎
※辻凌志郎の「辻」は一点しんにょうが正式表記
※高橋愛奈の「高」ははしごだかが正式表記
■上演スケジュール
2月3日(水)18:00
2月4日(木)18:00
2月5日(金)14:00/18:00
2月6日(土)14:00/18:00
2月7日(日)12:00/16:00
※緊急事態宣言発出により開演時間の見直しをし、19:00 開演の回は 18:00 開演に変更になっております。
公式Twitter:https://twitter.com/prisonrequiem
公式ホームページ:https://www.prisonrequiem.com/