《トーク》s**t kingz shoji & Oguri 2019 年俳優 持田将史と小栗基裕として挑戦した舞台『My friend Jekyll(マイ フレンド ジキル)』再演!上演台本・演出 瀬戸山美咲も再び!

演劇大賞優秀作品賞を受賞し、2019年から2021年まで3年連続で読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した俊英・瀬戸山美咲。出演はs**t kingz(シットキングス)の持田将史小栗基裕。リーダーの持田将史は昨年日曜劇場『半沢直樹』に出演し、その後朝の連続テレビ小説『エール』にも出演し、活躍の場を広げつつある。小栗基裕は2020年開演予定だった『WEST SIDE STORY-season3-』のベルナルド役をオーデションで勝ち取り、俳優としての才能を開花。
初演時よりひと回りもふた回りも大きくなった2人と瀬戸山美咲の合同会見と鼎談が実現した。

まず、合同取材会が行われた。初演の手応えや初めて故の反省点などの質問が出た。
「初演はただただ緊張していた記憶しかない、稽古中からずっと緊張してました。どううまくやろうか、とか人から見られた時に『ちゃんとできているっていう風に思われないと』っていう必要のない変なプレッシャーでしたね。上手に読むことを意識しちゃっていて、(公演の)映像を見ても弱いなと。今回の公演では『この人物は今、どう考えているか』そういうことをもっと意識したい。上手にやるということを一番の目的にするのはやめようと思います」(小栗基裕)

「(2019年の公演では)声を発して表現するのが初めてでしたので、チャレンジでした。基本的なことはもちろん、いろんなものを引き出してもらったなと感じています。上手な朗読じゃなかったかもしれませんが、当時の自分にとってはこれがMAXというところまで、引っ張っていただきました…稽古中の集中力が朗読に99%持っていかれてました!ダンスより朗読にかける時間が多かったですね。映像を改めて見返してみてダンス…もっと深いアプローチができたんじゃないかと課題もありました。前回以上にダンスも、朗読もしっかり見せられるようにしたいですね」(持田将史)

「この作品は公演ごとに読み手と踊り手が交代して上演します。とくに読み手は1時間以上ひとりでセリフを喋り続けなければならなく、朗読が初めてのおふたりにとっては大きなチャレンジでした。初演時は、朗読に関しては半年前に稽古をスタートして、それぞれの声やテンポを見つけることから始めました。今回はベースもできて、おふたりも2年の間にお芝居の経験を積まれてきたので、前回よりも作品の内容に踏み込んだ稽古ができています。また、ダンスと朗読が組み合わさることの効果も前回の公演で見えてきました。それも踏まえて、今回はダンスの比重を増やしています」(瀬戸山美咲)

さらに、
「声を発すること、お芝居することに新たな発見がいっぱいありましたね。今まではs**t kingzのメンバー4人で自分たちしかいない状況でやっていました。なので、初演の時は、演出の方に委ねるのは初めての経験で、見えなかったものが見える、言ってもらったことを考えることによって新しいアプローチの仕方があることが自分なりに発見できて、いろんな見方が広がりました。瀬戸山さんに、朗読のこともですが、ダンスのことも言ってください!って意見をもらったりする中で『こういう風に見えていたんだ』と気がつかされたり。瀬戸山さんに、曖昧なところを突っ込んでいただいたお陰で、隅々まで作り込めるパワーをもらいました」(小栗基裕)

「s**t kingz4人でやっている時は一つの方向に向かってみんなで『ワーーー』って進んでいるんですよ。それが、ある意味、1対1という立場で作品を作っていると、一つのところに向かってはいますが、今まで以上にお互いの弱いところを見せ合っている気がします。稽古をしていても、『果たしてこれで正しいのか?ここはどうしよう?』と相談していますが、それが新鮮で楽しい。一緒に13年踊ってきたけど、2人でのお芝居はチャレンジ。不安を抱えているから、改めてコミュニケーションをしている事が、すごくいいなと思っています」(持田将史)

「朗読もダンスも単体を説明しているわけではないというのが面白いと思っています。朗読にはビジュアルがないし、ダンスには言葉がない。どちらも余白があるから、想像力の余地がある。ダンスのみで表現するs**tkingzさんの舞台でも、ここはこういうことかなと考えたり、逆に何も考えずに観てみたり、いろいろな楽しみ方ができます。説明しきらない面白さがある。朗読も言葉だけで、その場にはないものをお客さんに想像してもらう。そういうことを考えながら、未知のものをつくるのはとても面白いです」(瀬戸山美咲)

この作品は役の入れ替わりがあるところが面白さのポイントでもあり、難しさでもあるが…それぞれについては、
「(持田将史について)すげーなーっていうところは、“何か降りてきた”時に、トントントンと上がっていく感じでビビッドに見えてくる瞬間が度々あるんです。『余計なことを考えないでここにいるんだな』と…それをコントロールせずに“ここにいるんだ”っていうのが面白く、それがいつ来るのかがわからない(笑)。それが人間的」(小栗基裕)

「(小栗基裕について)常に人智を超えて、朗読もダンスもそうだし…引っ張られる感覚、その力が強くなった。前回はそういうことは感じなかったけど、今回はすごく感じる。新たな力をGETしたのか(笑)、もともとダンスはうまいし、また超えていくって感覚、怖いですね〜(笑)、負けたくないなと」(持田将史)

「2人は朗読もダンスも本当にタイプが違うと思います。小栗さんはイメージしたことをしっかり整えて表現をされる印象です。今回はさらにそこにエモーショナル部分が乗ってきています。将史さんは感情の生き物(笑)。役の気持ちにぐっと入っていく。今回はおふたりのよいところを生かしながら、さらに進化した表現を見せていけるよう、演出できたらと思います」(瀬戸山美咲)

それから改めて、個別鼎談。チラシのチャッチコピーには“愛する人を愛することが悪だった時代”とある。原作は怪奇小説であるが、作品選びと台本の方向性、また持田将史と小栗基裕のお二人には原作のイメージと実際の台本について伺った。

「おふたりと朗読とダンスの作品をつくることが決まり、『ジキルとハイド』を候補に上げました。二面性をダンスと朗読で表現できると思ったからと、作品のダークな雰囲気がおふたりの普段のイメージと結びつかないのが面白いと思ったからです。ただ、あらためて原作を読んでみると、怪奇的な小説ではあるけれど、実は友情を描いた作品でもあることがわかりました。また、同性愛を描いているという説もあることを知りました。19世記後半のイギリスでは同性愛は罪であり、悪と見なされていました。しかし、それは本質的な悪ではなく、ただ社会の中でそうされていただけです。今の時代も、誰にも迷惑をかけていなくても社会からはみ出すだけで、悪と見なされてしまうことはありますよね。悪と見なされた人が行き着く先を描いたのが『ジキルとハイド』だと思います。だから「My friend Jekyll」はハイドの怖さよりも、なぜハイドが生まれてしまったのかに焦点をあてています」(瀬戸山美咲)

「実はマーベル映画がすごく好きで(笑)、『リーグ・オブ・レジェンド』っていう作品でモンスターたちがヒーローになってる。そこにジキルとハイドっていうキャラがあってそのイメージが強かったです(笑)。ちょっとダークなものが好きでテンション上がりました!怖いけど面白い、わかりやすいものを想像してました(笑)。ところが、原作と台本読んで…難しいと…あれ?どうしようと(笑)、でも、こういうところにフォーカスしているのかと思いまして、無我夢中で本番を迎えました。『ジキルとハイド』って実は世の中にいる人全員あてはまるのではないかと。この作品はその人間の本質を取り出しているだけで、誰しもが持っているものだと思います。そこに「My friend Jekyll」では、友情とか愛情をプラスして瀬戸山さんが作ってくださってます。人間そのものを描いている物語だな、人間誰しもがもがき苦しんでいるんだなと思います。」(小栗基裕)

「最初は、ジキルとハイドの二面性、狂気性をダンスで表現するのは面白そうだなと思いました。人間の弱さや本質を描いていて、人間は支え合ったり、また本当は共有できるはず悩みを一人で抱えて苦しんでいるものだなって。その人間の苦しみを本にしてくださったので、最初は、ジキルとハイドの二面性、狂気性をダンスで表現するのは面白そうだなと思いました。今まではこの作品の猟奇性ばかり見てましたが、大事なテーマを瀬戸山さんが切り出してくれました。実は普遍的なテーマを持っているので、今回はそこを深めていこうと思います。」(持田将史)

最後にPR。
「前回ご覧になった方には、さらに深まった朗読とダンスを楽しんでいただけると思います。また、前回は読み手と踊り手が完全に分かれていましたが、今回はふたりで一緒に踊るところを増やしました。初めてご覧になる方にとっては、朗読とダンスの組み合わせはどんなものなのか想像もつかないかもしれません。だから、騙されたと思ってご覧いただけたら嬉しいです(笑)。ほかでは観られないものをお見せします!」(瀬戸山美咲)

「前回ご覧になった方は、今回めちゃくちゃパワーアップしています!前回は観る側もやる側も緊張していたと思うのですが、今回はよりいろんな発見をして頂いきたいです!ミュージシャンの方も素敵で!演奏している様を観ていても楽しめます。いろんな楽しみ方ができます。初めての方は、空気感や熱さを!すごいものを観ているという感覚になるので、この衝撃を受け止めるためにストレッチして良い睡眠をして(笑)、万全の体調でお越しください!」(小栗基裕)

「前回ご覧頂いた方は、ストーリーを知っている分、前回以上に細かい発見を楽しんでもらいつつ、空気の揺れや距離感など、その場でしか感じられない「生きている感覚」を楽しんでもらえたら嬉しいです。その時にしか感じられないものを!また、細かいところまで気付けていただけると思います。初めての方はいつくかの楽しみ方があると思います。先に原作を読んでも、また会場で販売している台本入りパンフに上演台本が載っているので!読んで全体の流れを見てからでもよし、またまっさらで観るのもよし、自由に楽しんでください!」(持田将史)
挑戦的な作品、「My friend Jekyll」、公演はもうすぐ!

<初演記事>
https://theatertainment.jp/japanese-play/31434/
【STORY】
19 世紀末、ロンドン。弁護士のアタスンは、医学博士で法学博士のヘンリー・ジキルと出会う。誰もが羨む経歴を持ちながら人格者でもあるジキルに、アタスンは憧れと尊敬の念を抱いていた。やがて、ふたりは日曜日 になると公園を散歩しながらさまざまな話をするようになる。しかし、ある日、ジキルが公園に現れなかった。 ちょうど、同じ頃、ロンドンの街に奇妙な男の噂が広がる。彼の名前はエドワード・ハイド。通りすがりの幼い少女を踏みつけるような暴力的な男だ。ハイドの名を聞いたアタスンは、ジキルから預かっていた遺言書のそのメンバーである存在を思い出す。そこにはジキルの遺産の相続者としてハイドの名前が書かれていた。アタスンはジキルにハイドとの関係を尋ねるが、ジキルは何も語ろうとはしなかった。そうしているうちに、地元の名士の男性が道で撲殺されるという事件が起きる。犯人はあのハイドだった−−−−。
読み手はアタスン目線の物語を朗読、
踊り手はジキルとハイドをダンスで表現。
両者が絡み合うパフォーマンスをお届けします。

<概要>
公演名:「My friend Jekyll」(マイ フレンド ジキル)
上演台本・演出:瀬戸山美咲
主演:持田将史(s**t kingz)/小栗基裕(s**t kingz)
日程・会場
東京公演 2021年4月21日〜4月25日 シアタートラム
大阪公演 2021年5月22日〜5月23日 ABCホール
金額:全席指定\8000(税込)
主催企画:アミューズ/S KAKERU

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取材:高 浩美