s**t kingz shoji & Oguri 持田将史と小栗基裕として再び挑戦!舞台『My friend Jekyll(マイ フレンド ジキル)』愛と友情と人間の尊厳の物語

2019年に上演、好評であった舞台、新しい”再”演、「My friend Jekyll」(マイ フレンド ジキル)が4月21日開幕。原作は『ジーキル博士とハイド氏』(原題:『ジキル博士とハイド氏の奇妙な事件』(The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde)、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの代表的な小説。1885年に執筆され、翌年出版。通称は「ジキルとハイド」。公開ゲネプロでは、アタスンは持田将史、ジキルは小栗基裕。

音楽、シルクハットの男が登場、ほの暗い舞台上で踊る、コートは破れている。不穏で、何かを予感させる出だし。そしてアタスンが舞台上に、テーブルの上の本を手に取り、彼のモノローグで始まる。


出会いは15年前に遡るという。ジキルとの出会いを実に楽しそうに話す。表情や声のトーンだけでアタスンがジキルに対して並々ならぬ友情と信頼を寄せていることがわかる。ジキルは誰もが羨むほどの才能の持ち主で頭もきれる。しかし、ジキルはそれを自慢するような人物ではなかった。

しかし、まもなく異変が訪れる。物語そのものはスピーディに進んでいく。そんな頃、ロンドンで奇妙な事件が起こる。幼い少女を踏みつけるという出来事が。その男の名前はエドワード・ハイド。アタスンはジキルから預かっていた遺書に彼の名前があることに疑念を抱いていた。なぜ?彼の名が。アタスンはハイドに嫉妬すら覚える。彼に全財産を渡すと書かれている遺言状。彼はハイドが何者かを知ろうとする、というのが大体の流れ。
初演を観たなら、今回の再演はだいぶ変化している。表記としては再演なのかもしれないが、再演と思って観劇すると、その固定概念は鮮やかに裏切られることだろう。ダンスシーンが増え、アタスンとジキルのつながりと心情がより鮮明に打ち出されている。アタスンはジキルの謎を突き詰めていくが、それはパンドラの箱を開けるようなもの。しかし、それでもアタスンは突き進んでいく。それはジキルへの並々ならぬ愛情からだ。それが痛いほどに伝わってくる。我々観客はジキルとハイドの関係を最初から知っているし、結末もわかっている、だからこそ、胸が痛む。また、原作は怪奇小説と位置づけられているが、ここではアタスンとジキルの心のつながりを重視、よって怪奇色は薄い。アタスンとジキルのデュエットダンスは楽しいシーンは目一杯明るく、そして不吉な予感のシーンはとことんダーク、しかし、ただ暗いだけではなく、その根底に流れるアタスンの切ない思いやジキルの内面の苦悩がそこはかとなく見えてくる。

セリフ部分は全て朗読を似合うアタスンが担う。よって声の使い分けが難しいが、ここは努力の跡が見え、ジキル役の方は声を発しないのに発しているような錯覚にとらわれる。最後のジキルのアタスンに当てた手紙、ここで全てが明らかになる構成だが、ここに至るまでの過程を目撃している観客は多分、手紙の内容は最初からおおよそ察しはつくのだが、それでも心揺さぶられる。アタスンが羨ましかったというジキル。アタスンの真っ直ぐさがジキルには眩しかった。人には光があれば影がある。それがわかっていても大切にしたい想い、心、人間の尊厳、そんなことに想いをはせる、おおよそ1時間半の舞台。手紙の最後の部分、「アタスン、ありがとう。君に会えて本当によかった」の一文は泣ける。音楽は生演奏、ギターのみ。その音色が七変化、またエレキギターを弦で弾く場面もあり、物語に奥行きを与える。生の舞台の醍醐味を存分に味あわせてくれる秀作。一度は観て欲しい。

<コメント>
持田将史

時代の変化によって、多くのエンターテイメントがデジタルでの新しい表現方法を見つけていく中で、改めて、同じ時間、同じ空間を生きる「生の舞台」の良さも浮き彫りになったような気がします。ここにしかない空間を一緒に生きる喜びを全身で体感してもらえるよう、全力でリードしていきたいと思います。一緒に楽しみましょう!

小栗基裕

2019年の初演から2年経ち、とにかく全てがパワーアップし、ている新たな「My Friend Jekyll」です!五感をフルに使って、僕たちが作り出すスリル満点な19世紀のロンドンの世界を全身で体験していただきたいと思っております。

瀬戸山美咲
ついに初日を迎えます。朗読とダンスが合わさった未知なる表現を探した2年前。三者が抱きしめあったりバトルしたりしている作品ができました。今回はさらに物語の世界に深く潜っています。進化した、新しい将史さんと小栗さんをぜひ観にいらしてください。

<インタビュー記事>
https://theatertainment.jp/japanese-play/77563/

【STORY】
19世紀末、ロンドン。弁護士のアタスンは、医学博士で法学博士のヘンリー・ジキルと出会う。誰もが羨む経歴を持ちながら人格者でもあるジキルに、アタスンは憧れと尊敬の念を抱いていた。やがて、ふたりは日曜日になると公園を散歩しながらさまざまな話をするようになる。しかし、ある日、ジキルが公園に現れなかった。 ちょうど、同じ頃、ロンドンの街に奇妙な男の噂が広がる。彼の名前はエドワード・ハイド。通りすがりの幼い少女を踏みつけるような暴力的な男だ。ハイドの名を聞いたアタスンは、ジキルから預かっていた遺言書のそのメンバーである存在を思い出す。そこにはジキルの遺産の相続者としてハイドの名前が書かれていた。アタスンはジキルにハイドとの関係を尋ねるが、ジキルは何も語ろうとはしなかった。そうしているうちに、地元の名士の男性が道で撲殺されるという事件が起きる。犯人はあのハイドだった−−−−。
読み手はアタスン目線の物語を朗読、
踊り手はジキルとハイドをダンスで表現。
<概要>
公演名:「My friend Jekyll」(マイ フレンド ジキル)
上演台本・演出:瀬戸山美咲
主演:持田将史(s**t kingz)/小栗基裕(s**t kingz)
日程・会場
東京公演 2021年4月21日〜4月25日 シアタートラム
大阪公演 2021年5月22日〜5月23日 ABCホール
金額:全席指定\8000(税込)
主催企画:アミューズ/S KAKERU

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取材:高 浩美