野村万作・萬斎・裕基の“狂言三代”「狂言劇場」開幕!6月26日公演にてポストトークの開催決定

狂言劇場 初登場となる「法螺侍」「鮎」を 新配役・野村萬斎による総合演出、6月18日より上演中!舞台写真到着、野村萬斎コメントも。

▼開幕コメント 野村萬斎(総合演出・出演)
[Aプログラム]
『武悪』は劇場で上演したことで、作品のもつドラマ性がよりはっきりしたのではないでしょうか。一人一人のキ ャラクターの浮き上がり方や対峙する役者の緊張感が際立ち、よりスリリングな人間ドラマとなりました。常々ド ラマとは「生きることを考えること」だと言っていますが、今回の舞台セットを含めた演出でも、「生と死」「生の地 続きに死があること」が見えてくるのではないかと思います。

『法螺侍』は(洞田助右衛門は野村万作から野村萬斎へ、太郎冠者は野村萬斎から野村裕基へと)代替わり して、パワフルな作品へと“アップデート”しました。シェイクスピアと狂言のもつ古典的な手法はそのままでも、 劇場で演じることで現代性を獲得するという不思議さは、まさに役者によって作品がアップデートされるからだ と実感しています。新旧の時空の超え方と東西の文化の越え方を是非目撃していただきたいです。

『武悪』

『法螺侍』

[Bプログラム]
『舟渡聟』は狂言の名作ですが、舞台後方に琵琶湖の風景を出現させたことで、雄大な世界の中で頑張って 生きていく人間を描きました。この作品では最年長(野村万作・90 歳)と最年少(野村裕基・21 歳)が船頭と聟 を演じていますので、今回の「狂言三代」ならではの面白みを感じていただければと思います。

『鮎』は、劇場という現代的な空間へ移ったことで、原作の小説から感じた「都会と田舎論」を、より具体的且つ 象徴的に描くことができ、これもある種の“アップデート”ができたのではないかと思います。狂言の衣装を着て 世田谷パブリックシアターという現代の劇場に立つことで、古典と現代が地続きになっていることを自分でも感 じることができました。
コロナ禍の現在、都会はある意味抑圧された場所、抑圧されればされるほど魅力的に感じる「毒」のような場 所と捉え、非常に複雑な我々の現状を背負いながら、いま『鮎』を上演する意義を感じています。「読後感」の ようなものを感じてもらえたなら、現代劇の劇場での狂言の在り方として、一つの手ごたえになると思っていま す。

『舟渡聟』

『鮎』

[狂言劇場とは]
芸術監督・野村萬斎により、古典芸能という枠にとどまらず「“舞台芸術=パフォーミングアーツ”としての 狂言」というコンセプトに基づき、2004 年にスタートしたシリーズ『狂言劇場』。世田谷パブリックシアターの 劇場空間に特設能舞台を設置し、数々の名曲を上演するほか、舞の新作『MANSAIボレロ』を発表する など、狂言の多角的な魅力を提示してきました。劇場空間ならではの、オリジナリティあふれる舞台美術・ 新演出は毎回話題を呼んでいます。
今回は、狂言劇場には初登場となる「法螺侍」と「鮎」という2作品が、あらたな配役、あらたな演出でついに世田谷パブリックシアターに立ち上がります。
<概要>
狂言劇場 その九『武悪 』『法螺侍』 / 『舟渡聟』『鮎』
【総合演出】 野村萬斎
【出演】 野村万作 野村萬斎 野村裕基 石田幸雄 ほか
【日程】 2021年6月18日~6月27日
【会場】 世田谷パブリックシアター
【主催】 公益財団法人せたがや文化財団
【企画制作】 世田谷パブリックシアター
【後援】 世田谷区
【制作協力】万作の会 国立能楽堂
世田谷パブリックシアター公式HP:https://setagaya-pt.jp
舞台撮影:政川慎治