《インタビュー》『舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 向かい風 100%』 脚本・演出 なるせゆうせい

初演時、「これが舞台になるのか?」「大丈夫なのか?」と話題騒然だった「ギャグマンガ日和」の舞台化であったが、“デラックス風味”と謳った再演、それから松尾芭蕉と河合曾良のコンビが登場する“奥の細道〜地獄のランウェイ編〜”、気がつけば4回目『舞台  増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 向かい風 100%』の上演も決定。完全シリーズ化した本作、全ての始まりはなるせゆうせいさん、作品との出会いから、過去公演のこと、キャラクターのこと、新作等について語ってもらった。

 

前回公演より

「ジャンプ」は常に見ちゃいますよ(笑)。「ギャグマンガ日和」ってタイトルからして気になった。

ーー作品との出会いは?

なるせ:出会い・・・・・・そんなに大したことはないんですが、もう、「ジャンプ」世代だから、「ジャンプ」は常に見ちゃいますよ(笑)。「ギャグマンガ日和」ってタイトルからして気になった。

ーータイトル、「これはなんだろう」って思いますね。

なるせ:自然な流れで、気になって読んで・・・・・・「ジャンプ」世代からしたらね。その中で気になるコンテンツ・・・・・・舞台化をする、しないは置いといてね。ホント、流れですね。

ーー「ジャンプ」読んでいて、タイトルそのものがキャッチーだったっていうか、気になるタイトルだったってことと「なんだろう」と思って読んでみたら、ツボだった。

なるせ:そうですね。「ジャンプ」のコメディーは常に見ている、「ハイスクール!奇面組」もそうですが、僕らの頃は「ついでにとんちんかん」とか「ジャングルの王者ターちゃん♡」とかそのあとに臼田京介の「セクシーコマンドー外伝すごいよ!!マサルさん」とか、あって、その次の流れだと思うんですよ。「ギャグマンガ日和」ってストーリーがないから難しい、普通は続かない。でも、これだけ長く続いているっていうところがすごい、天才!ギャグ漫画って(普通)続けられないじゃないですか、ストーリーないから。

ーーアニメ見て色々調べて、ショートショートでも、相当なショートショート、これを延々(笑)。同じシュチュエーションでギャグを短い時間でパッパッパと出していく、しかもギャグ数が多い!

なるせ:引き出しがすごいんですよ。すごく、僕の中の感覚に合うんですよ、通じるものがある。

ーーそこらへんのところが、ツボっていうんでしょうか。あと、出てくる人たちが相当なステレオタイプですよね。

なるせ:そうですね!だから舞台に向いているんですよね。相性がすごくいい。

前回公演より
前回公演より

基本は2人のペア、ボケとツッコミですけど、合っているし、会話も成り立っていて、すごく面白い、そこらへんが舞台との相性がいいんですね。

ーーステレオタイプのキャラクターで、しかも相当な破壊度ですよね。

なるせ:うん。イキきっちゃっている人がね。基本は2人のペア、ボケとツッコミですけど、合っているし、会話も成り立っていて、すごく面白い、そこらへんが舞台との相性がいいんですね。

ーーペア、例えば、前回は松尾芭蕉と河合曾良、その前は聖徳太子と小野妹子、うさみとクマ吉。

なるせ:会話の量、台詞量が多い。この作品って舞台と同じように会話で見せているからね。

――漫才でもドついたり叩いたりじゃなくって、ひたすら「ああ言えばこう言う、こう言えばああいう」みたいな。

なるせ:文字数にしたらすごく多いんですよね。

――ちなみにこの「ギャグマンガ日和」の原作の中で一番好きなペアって?

なるせ:好きなペア・・・・・・うさみちゃんとクマ吉くんですね〜私は(笑)。ボケにボケてるじゃないですか。さらにボケるから(笑)、永遠ループなんですよ(笑)。

――確かに(笑)

なるせ:面白いっすよ(笑)。

前回公演より

ポーズも何にもないのに、出てきただけで「きゃー」(笑)

――舞台は過去、3回やりましたね。

なるせ:今度が4回目。

――うち、2つがいわゆる初演と再演。3回目は全然違う作品。お客さんの反応とか手応えとかは?

なるせ:そうですね、上演するにあたって、一番最初はメジャーどころ、「ギャグマンガ日和」の、聖徳太子と小野妹子、うさみちゃんやクマ吉くんとかを出して・・・・・・原作そのものは短編ですよね。これをつなぎ合わせた時に、一つのストーリーにした時に、お客さんってどういう風な反応するのか、嫌がるのかどうなのかな、と思いつつ、初演のカーテンコールを見てて「受け入れてくれたんだな」と。そういう感覚がすごくあった。想像よりも意外と受け入れられたんだなと。最初は、本当にわかんなかった。その次は芭蕉たちの話にしたのですが、終わって、2人がランウェイに立ってカーテンコールやった時に、客席が「きゃー」とか言うんです(笑)。

――(笑)

なるせ:松尾芭蕉役の阿部丈二さんが「きゃー」って言われたから、何か出ているんちゃうか?って思ったそうで(笑)、何か見えちゃいけないものが見えて「きゃー」って言われたんじゃないかって思ったって言ってました(笑)。ラフォーレ原宿でやったんですが、元々、ランは使いたいなっていうところがあったんです。登場人物たちが出てくると客席から結構、「きゃーきゃー」いってたんで、だから不思議な感じ。「『ギャグマンガ日和』できゃーきゃー言うんや」みたいな、ちょっと変な感じですが、作品が受け入れられているからこその感じですね。でも「きゃー」が出るとは思いませんでした(笑)。

――確かに言われた方は、びっくりですよね(笑)。

なるせ:そう、そう(笑)ポーズも何にもないのに、出てきただけで「きゃー」(笑)、なんや、不思議な感じでした(笑)。

前回公演より

ギリギリなところのメンバー、マニアックな感じで「ここを出してきたか!」っていう感じのキャラを出そうと。

――原作もアニメもショートショートで、でも舞台版、今までの3作、ストーリーありましたね。

なるせ:そうですね。

――そこのところ、原作と舞台化の違いっていうか、結局、最初はお客さん、大丈夫かな?と思いきや意外と大丈夫だった。

なるせ:そうですね。やってくうちにこの受け入れられたところに、さらに膨らんでいったのかな?と。という感じはしますね。このシリーズはチャレンジな感じでいきます。4作目はさらにマニアックな人物がいっぱい出てきます。一回目二回目とかはある程度良く知られているキャラクター、聖徳太子とか出しましたが、今作はさらにマニアックな、マニアックな!受け入れられたから出しても大丈夫かな?と(笑)。もうちょっととんがった感じで勝負したらどうなるかな?と。

――今までのシリーズ作品、例えば、松尾芭蕉とか聖徳太子ってみんなが普通に知っているキャラクターっていうか、実際の歴史のキャラクターとは全然違いますが、ある程度は知っているキャラクターであり、そして4作目が、結局、こう言ったメジャーなキャラクターを基本、出さない?

なるせ:そうですね、結構、あえて、ギャグマンガを知っている人は好きで、知っているんですが、マニアックなギリギリなところのメンバー、マニアックな「ここを出してきたか!」っていう感じのキャラを出そうと。

――「ギャグマンガ日和」のコアなファンには結構はまるネタが・・・・・・。

なるせ:そうですね。さらなるコアな部分、そこに刺さるといいかなっていう感じ。コアな、マニアックな、ピンポイントな部分は結構散りばめているので、原作を知っている人はすごく刺さるし、そうでもない人でも楽しめますが、さらに観やすいようにします。

――ちなみに1〜3作目までに出てきたキャラは誰も出てこない?

なるせ:誰も出ないんじゃないかな?うん、誰も出ない。フルチェンジ、モデルチェンジでいきます。

――本当にマニアックな世界ですね。

なるせ:うん。主役は夢野カケラなんだけど、受手マモルって言うのがいて、ベースは「タッチ」っていうか、まず2人の青年がいて、そこに女の子がいて三角関係、甘酸っぱい青春。そこは基本ベースとしてあるんです。この夢野カケラっていうのは、最終的には漫画の甲子園を目指していた、で漫画の世界に飛び込んでいくっていうか、原作の中でも漫画に関する作品ってすごくあるんですね。夢野カケラが連載している、その編集者とのボケとツッコミ、やりとり、後、持ち込み君って言うのがいて、持ち込みに行って、ダメだしされるっていう、なんか漫画に関するエピソードがすごくいっぱいあって、それを結構、一つのストーリーにまとめ上げたのがベースになっている。その間によくわかんないキャラクターが出てきますが。

――漫画家で、こういう編集者とやりとりして、あれやこれやと・・・・・・。

なるせ:そそそ。

――っていうパターンなんだなと。

なるせ:あれよりももっと前からの話からのスタートにして、持ち込み君とか、他のエピソードを色々入れて、一つの流れにしました。

――4作目もストーリー性があるんですね。

なるせ:そう。より青春モノという風に今回は、より甘酸っぱい、よりマニアックな作品になっていますね。

――いわゆるよくある舞台の青春モノって大体はキャラクターが成長するとかですが、これは基本的に「ギャグマンガ日和」なので、成長はしないですよね(笑)。

なるせ:しません!するかなと思ったらしない!

――そこはツボですね。シリーズは全て成長しないし、学ばないんですよね。

なるせ:そうです、学ばないです!学ばない人たち。

――そこらへんが「ギャグマンガ日和」(笑)。

なるせ:実際の編集者も出てきます。増田こうすけ先生の編集をやっていらっしゃる方がモデルになっていまして、マンガにも出てきますが、その部下もそのまま出そうかと思っています。マンガ家たちも結構出てきます。

――壊れぶりが。

なるせ:壊れます。最終的には混沌としたものがどんどん結びついていく。カオスだったものが、なんかリンクしていく、感じが、これは2度見ても3度見ても、楽しめるように作っています。

――この舞台のチケットを買おうと悩んでいる人、どうしようかなと思っている人に、向けて。

なるせ:怖いもの見たさに買ってください(笑)お化け屋敷に行く感覚で見てもらったらいいんじゃないんでしょうか。エンタメなんでね、キラキラしているものじゃなくって、こういうものに特化しているってものもあんまりないんで、怖いもの見たさで!

――っていうかキラキラしようがない(笑)。

なるせ:うん!笑って楽しめる、ディズニーランドを超えたい!

――それはすごいですね(笑)。超える、しかもキラキラしないんですね。

なるせ:そう(笑)夢はないです(笑)。ははは。キャラは30〜40人ぐらい出てきます。誰をどう配置していくか、ですね。常連のメンバーは何をしでかすかわからない(笑)。そんな役者がいっぱいいます!

――常連の方々が入ればね。作品は良くご存知だから。

なるせ:そそそ。あとはずっと観て頂いた方も「あ、このメンバーが出ているんだ」ってね。

――怖いもの見たさでディズニー超えて、キラキラしないっていうことで。でも買ってくださいっていうことで(笑)。ありがとうございました!

 

前回公演より

<あらすじ>
「高校に入ったら一緒に甲子園を目指そうぜ!」と誓う黄金のバッテリーがいた。
主人公 夢野カケラはピッチャー志望の野球少年。夢は怪物と呼ばれるピッチャーになること。 そしてキャッチャー志望の受手マモルの夢は、キャッチャーミットを買う事だった。 その二人を温かく応援するヒロイン、三上ドブ子。 だが、彼らを待ち受けていたのは野球部だけではなかった! おばけ屋敷部!ツタンカーメン部!砂部!半開き部!黒登山部!の迫りくる怒涛の勧誘! そして結果的に、夢野カケラが目指したのは、やっぱり漫画家になる事だった・・

 

【公演概要】

『舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 向かい風 100%』
原作 : 「増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和」増田こうすけ(集英社「ジャンプ SQ.」連載中)

脚本・演出 : なるせゆうせい
出演者 : 谷佳樹、上田悠介、多田愛佳、宮下雄也、磯貝龍虎、寺山武志 ほか
日程 : 2018年9月5日(水)~9月9日(日)全9公演
劇場 : 渋谷 伝承ホール
料金 : 桟敷席 8,800 円(税込)
※非売品グッズ付 / 一般席 7,500 円(税込)
<一般発売日>2018 年 6 月 16 日(土)
公式 HP : http://butai-gagmanga.com/</strong

公式 Twitter : @butai_gagmanga
企画製作 : 株式会社アルテメイト
制作 : 株式会社オフィスインベーダー
主催 : 「舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 向かい風 100%」製作委員会
©増田こうすけ/集英社
©「舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 向かい風100%」製作委員会

文:Hiromi Koh