花柳章太郎 追悼「十月新派特別公演」が、10月2日より新橋演舞場にて上演される。
今回は、戦前戦後に活躍した新派女形のスター、花柳章太郎追悼として、ゆかりのある名作『小梅と一重』 と『太夫さん』の二本立興行。
(※ 太夫さん読み:こったいさん。京都での呼名)
出演は、水谷八重子、波乃久里子、喜多村緑郎、河合雪之丞の劇団新派に加え、父の藤山寛美の芸名を命名が花柳章太郎というゆかりの藤山直美、35年ぶりの新派出演となる田村亮、そして大津嶺子をゲスト出演する。
130年を越える劇団新派が紡ぎだす日本のこころ、情緒、風情、そして日本語のもつ優しさ、美しさを大切にした新派の華やかな舞台が期待される。
公演に先立ち、9月9月に公演取材会が催され、水谷八重子、波乃久里子、喜多村緑郎、河合雪之丞が登壇し、1年8ヶ月ぶりの新派舞台への満を持しての気持ちが語られた。
水谷八重子
20ヶ月ぶりに、やっと舞台に戻れることができるようです。私としては、こんんなに嬉しいことはありません。ほんの瞬間、コロナを忘れて、、、そんな舞台できたら思っています。花柳先生に「いい子だね」と言っていただける、そんな舞台にしたいと思います。ただ、無事に舞台を勤められればと思うのです。新橋演舞場の舞台から想像がつかないくらい離れてしまって、、、
花柳先生は、最後の舞台をよく覚えている。衣装も何もかも観てくれました。そして、女の襟足ってこんなに色気があるもんかなと、花柳先生の襟足が思い出されます。
波乃久里子
客席の皆さんは、命がけで来ていただけると思うのです。私たちも命がけで公演します。
「太夫さん」のおゆうの役は、花柳先生より私は多くやっているんですが、回数でないということが、この写真を見るだけでわかります。花柳先生の深さ、お芝居はすごい方だった。今回、おゆうの役は、役作りというよりも、新派を愛していただいてくている直美さんと作っていきたいと思っています。直美さんと会うにつけ、しょっちゅう「太夫さん」をやりましょうとお話してました。
ご覧になったは御村はありません。新橋演舞場にぜひ、いらしてください。
喜多村緑郎
久しぶりに新橋演舞場に帰ってくることができ、天国の花柳先生に本当に深く感謝する次第です。私が出演します「小梅と一重」は歌舞伎の様式美と新派のリアルな演技が重なってお洒落な作品となっています。新派、レパートリーが多い、演劇の宝庫だなと思います。座員の方、演出の方の持っている力は全て一級品だと思っています。どうか、たくさんのお客様に観ていただきたいと思っております。
河合雪之丞
花柳先生を映像からででも、素晴らしさが伝わってくる素晴らしい女形さんと大尊敬しております。追悼公演で、新橋演舞場の舞台に出させていただく、大変ありがたいことで身の引きしまる思いでおります。
また、新たに舞台に立てる喜び、それがコロナを吹き飛ばしてくれる、私も
命がけで一所懸命に舞台を努めたいと思っております。
なお、本日の会見に出席されなかった藤山直美、田村亮両氏よりコメントも披露された。
<演目紹介>
『小梅と一重』
大正8年に河合武雄と初代喜多村緑郎で初演され、花柳章太郎も昭和28年に小梅を演じた真山青果脚色『假名屋小梅』の中の一幕。
近年では二代目水谷八重子と波乃久里子の上演でお馴染みて、昭和51年の初代水谷八重子、十七世中村勘三郎の顔合わせに倣い、今回は一重に二代目水谷八重子、小梅に河合雪之丞の女優と女方の競演に、銀之助に喜多村緑郎という配役です。
『太夫さん』
昭和30年に花柳章太郎主演で初演されて以来、上演され続けてきた北條秀司の代表作。平成9年から波乃久里子のおえいと藤山直美のきみ子という配役で5回上演、今回は善助に田村亮を迎える。身売りの娘 きみ子と、きみ子を立派な太夫に育てるために奮闘するおえいとのユーモラスな交流を描く名品。
<概要>
日程・会場:2021年10月2日~25日 新橋演舞場
「小梅と一重」原作:伊原青々園 脚色:真山青果 演出:成瀬芳一
「太夫さん」 作:北條秀司 演出:大場正昭
出演:水谷八重子、波乃久里子、喜多村緑郎、河合雪之丞、藤山直美、田村亮、大津嶺子
松竹HP:https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/2110_enbujyo/