栗山民也と気鋭 瀬戸山美咲が強力タッグを組み、瀬戸康史、木下晴香、渡邊圭祐、近藤公園らの多彩なキャストによる現代と安保闘争の時代を舞台とする、正義と真実を問う新作が開幕!
栗山民也 演出
初日の夜に
「自分の言葉」というフレーズを、最近関わったいくつかの作 品で自分なりのテーマにしていたけれど、今日、初日を開けた この作品でも、やっぱり一人ひとりが、どう「自分の言葉」で 語り始めるのか、強く耳に刻んでいた。
1960年6月の安保闘争での国会デモによって命を失った樺 美智子の「言葉」は、2021年に瀬戸山美咲が綴る「言葉」 に受け継がれた。忘れ去られていくもの、切り捨てになってい くもののために…わたしはそのことを、演出家として大事に引 き受けたつもりだ。一人でも多くの人に、このいろいろな人の 「自分の言葉」がしっかりと繋がれていきますように。
瀬戸山美咲 作
ただ、そこに立ち、誰かに向かって言葉を発する。あるのは人 と言葉だけ。高い集中度で進む栗山さんの稽古は、無駄なこと をどんどん削ぎ落としていく時間でした。劇場に入りスタッフ ワークに支えられ、さらに研ぎ澄まされていく俳優のみなさん の芝居を目にして、畏怖の念すら抱いていました。
しかし、初日を観て心に残ったのは、人間の持つ明るさでした。 私たちの目の前の現実は困難かもしれない。でも、希望がない わけではない。そんなことを俳優さんの言葉と身体を通して客 席のみなさんと一緒に感じられたような気がします。1960 年か ら 2021 年の現在を見つめる作品です。今、みなさんと分かち合 えたらとても嬉しいです。
瀬戸康史 高木伊知哉/高木吾郎役
この作品を通して「言葉」が持つ色々な側面を知り、改めて考 えることができています。
栗山さんの発する言葉は、静かですがとても力強い。 そして、瀬戸山さんが書いた言葉は、重く心に響きます。
それから 1960 年と 2021 年、ふたつの時代を過ごして、ぶつか ることの重要性を感じています。
それで、何が生まれるのかが大切なのだと思います。 初日を無事に迎えた喜びを噛み締め、心の炎を燃やし続けます。
木下晴香 岩井梨沙/山中誠子 役
お客様のまなざしや空気から、ものすごいエネルギーがギュッ と濃縮されている戯曲だということを再認識シマした。
温かくて熱くてストイックな皆さんと過ごす稽古の日々は本当 にあっという間だったけれど、思ったよりも平常心で初日を迎 えることができたのは、とても実りある時間を過ごさせてもら っているからだと思います。
瀬戸山さんの戯曲から受け取った想いや温度、栗山さんからい ただいた宝物のような言葉たちを心に留め、言葉の力を信じ て!最後の最後まで梨沙として誠子として、とにかく目の前の 瞬間しっかり生きて言葉を発することを大切に、今を生きる 1 人の人間としてこの戯曲に向き合い深化していけたらと思いま す。
渡邊圭祐 矢船聡太/松木孝司 役
まずは無事に初日を迎えられたことに様々な方に感謝したい
です。
瀬戸山さんの戯曲に栗山さんの演出がマジックのように、舞 台に立つ我々の言葉が生きたものになっていくのを感じます。
ここから最終日まで更にその快感に浸りながらより濃いもの にしていきたいと思います。
近藤公園 岩井俊介/羽村修治 役
この一ヶ月間の稽古を通して僕たちは、瀬戸山さんの戯曲の中 にある様々なかたちの対話に耳をすまし、登場人物の胸の内に ある声にならない声を想像し、栗山さんから投げ掛けられる言 葉によって言葉と格闘し、時に戯れながら、一つの演劇を創作 してきました。
この不安定な時代に、この作品をお客様に届けられること、本 当に感謝しています。
言葉は、ちゃんと相手に届きさえすれば、げんこつにも薬にも、 一本のマッチの火にもなる。そんな『言葉の力』の可能性を、 改めて、一緒に考え、体感出来たならと願っています。
概要
『彼女を笑う人がいても』
作 瀬戸山美咲
演出 栗山民也
出演 瀬戸康史 木下晴香 渡邊圭祐 近藤公園
阿岐之将一 魏涼子/吉見一豊 大鷹明良
美術 松井るみ 照明 服部基 音響 井上正弘 映像 上田大樹 衣裳 前田文子 ヘアメイク 鎌田直樹 音楽 国広和毅 演出助手 須藤黄英 舞台監督 加藤高 松嵜耕治
日程会場 2021年12月4日(土)~12月18日(土) 世田谷パブリックシアター
ツアー公演
12 月 22 日(水) 福岡市民会館・大ホール
12 月 25 日(土)・26 日(日) 刈谷市総合文化センター 大ホール
12 月 29 日(水)・30 日(木) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
世田谷パブリックシアター WEB https://setagaya-pt.jp/