劇団四季のミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』が開幕した。ライブ配信も決まり、1月22日、千秋楽となる23日、「劇団四季ライブチャンネル」「U-NEXT」「Rakuten TV」にて。
ゲネプロ終了後に会見が行われた。台本・作詞を務めた長田育恵と演出の小山ゆうな、劇団四季代表取締役社長の吉田智誉樹が登壇した。。
長田育恵は、「すごく共感させることができる作品、ささやかなところに普遍性があります。等身大の人の感情を描きます。今の時代にフィットするミュージカルです。大きな作品ではありませんが、曲もたくさんあります」と作品の概略を。小山ゆうなは「ダングをパペットにしようという劇団四季さんのアイディアが素晴らしい。長田さんもおっしゃったようにささやかな日常、しかも長田さんの詩的な演劇言語、美しい日本語、言葉を大切にしている。全体のバランスもいい、またお客様が作品を豊かに育ててくださる、作品が進化しています」と言い、さらに「ゲネプロでは初演時のメンバーですが、ロングランすると、どうしても飽きてくることがありますが、そうではなく、どんどん深まっていく、ご本人たちの努力ですね」と語る。
これを受けて吉田智誉樹は「感謝、特にこのお二人には感謝しかない」と最大級の謝辞を述べた。長田さんとの出会いは2016年に遡るそうで鶴屋南北賞のパーティー会場で、のこと。小山ゆうなについては吉田智誉樹が世田谷パブリックシアターでの公演『チック』を観て「小山さんしかいない」と思ったそう。また、小山ゆうなは「古典をやることが多いのですが、作家がいなくって(笑)、長田さんとはコミュニケーションがとりやすかったですね。世代も近いので、コロナで会えなかったので、LINEで話をしました」と現代の”ある、ある”。さらに「初演の時には気がつかなかったのですが、言葉のチョイス、言葉のセンスが!」と絶賛。長田育恵は「劇作を専門にしているので、ゆうなさんは俳優自身が持っているものを等身大に引き出している、俳優陣がチェンジしたら変える、俳優の信じられる部分を見つけていく、アンサンブルに至るまで”生きて”いる、生き様を見せてくれる演出家さん」とコメント。
また劇団四季の魅力についての質問が出た。長田育恵は「劇団四季は憧れで、もう遠すぎて(笑)、それが仕事で関われるなんて!一人一人が素晴らしい、舞台を創るために日々、努力している、”努力の天才”の方々、キャストさん、スタッフさん、もう隅々まで!!職種の違いを超えた”劇団力”!!」といい小山ゆうなも「日本では珍しく作品ありき。みんなが”アンサンブル”、清らかでみんなで努力する、みんなで作品に向かう、すごいな!と」といい、吉田智誉樹が恐縮しながら「ありがとうございます」と再び謝辞を。
再び作品についての話題、小山ゆうなは「すべての言葉がキラキラ、すべての言葉が簡単には書かれていない、地に足がついた幸せ、痛み。その時々で受け止め方が変わるので自由にキャッチして欲しいです」と語る。長田育恵も「タングは難しいです。最初は何もないブラックボックス。最後に家族の一員となることを選ぶ」とコメント。タングは、最初は無垢でいわば”白紙”のような存在であったのが、人の痛みや悩み、苦しみ、幸せを”学んで”いく。そしてベンたちと共にそこに存在することを選んでいる。吉田智誉樹は「『南十字星』以来の一般ミュージカルです。18年の初旬に着手して…難産で愛おしい子になりました(笑)」と語った。
また原作の舞台化をする場合の難しさを聞かれて長田育恵は「原作の舞台化は(自分自身は)多くって、そのまま取り入れても生きないので、大胆に書き直すくらいです。今回は家庭の描写から始まります。タングとの出会い方も解きほぐして、小説の筋が舞台の筋に表に出ないように、人物主体で考え直します」そこで吉田智誉樹が「全然、違うところがあるんです!」と。
長田育恵はさらに「どこか遠くの世界の話ではなく、知っている世界に。筋と描写を印象付けるようにします」とコメント。
実は舞台だけのオリジナルなシーンもあり、それが物語やテーマを際立たせる。アンドロイドが売られていく場面は舞台だけだそう。
またパペットについては小山ゆうなは「相当、打ち合わせをしました、目の角度、まぶたの開閉、オリエさんがそこはチョイスしてくださいました。また、今日(ゲネプロ)、パペットを扱っている二人は初演からやってまして…実は自分たちは(動きが)見えないので、(ここで吉田智誉樹が「最初はジタバタしてました(笑)」)、二人は常に議論しながらやっています」とパペットの難しさを語った。ここでちょうど時間になり、写真撮影で終了。
初日は満席、スタンディング・オベーション、拍手が鳴りやまず。タングが調子に乗って拍手に合わせて踊り、それをベンがたしなめる一幕もあり、大いに盛り上がった。
<公演レポ記事>
<ミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』 公演概要>
◇公演日程:2021年12月3日開幕 ~ 2022年1月23日
◇会場:自由劇場
※その後、京都劇場にて2月23日より開幕4月16日まで公演の後、5月14日より全国公演。
◇予約方法: インターネット SHIKI ON-LINE TICKET http://489444.com
(24時間受付。ただし、発売初日は午前10時より)他
◇問合せ: 0570-008-110
公式HP:https://www.shiki.jp
撮影:阿部章仁