1981年に榊原郁恵の初代ピーターパンが新宿コマ劇場に舞い降りて以来、日本でも多くの大人と子どもに親しまれてきたミュージカル『ピーター・パン』。43年目を迎える今年は、装いが大きく変わる。
昨年の公演で惜しまれながらも卒業した吉柳咲良の後を継ぎ、11代目となるピーターパンを演じるのは、第44回ホリプロタレントスカウトキャラバン(TSC)「ミュージカル次世代スターオーディション」でグランプリを獲得した山﨑玲奈。
すでにTSC参加以前にミュージカル『アニー』で主演を務め、その才能の片鱗を見せていた。受賞後には、アジア進出で大きな話題を呼んだミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』に出演し、高い歌唱力を発揮し注目を浴びた逸材。演出・振付は長谷川 寧が手がける。
物語は変わらないのだが、舞台セットも何もかもが新しくなった43年目の『ピーター・パン』。ダーリング家、窓が丸く、印象的なデザイン。子供達が賑やかに、そして乳母犬のナナがパペットに。独特の動きに注目。ダーリング氏(小野田龍之介)が文句を言いながらネクタイを締めるシーンの表現、子供達の動きを観て欲しい。
ここは身体的な動きにこだわる演出ならでは。そしてピーター・パンの影、ダーリング夫人(須藤理彩)が引き出しに影を出してしまう時は今までの演出通りの”影”。ピーターパンが影を探しにやってきて影を見つけるが、その影が、パーフォーマーが”演じて”いる。ここは新しい演出、影とピーター・パンの動きの掛け合いが楽しく、なかなか影がくっついてこない様がちょっとユーモラスに見える。そしてネバーランドが、ここもセットも何もかもが新しく!アートな雰囲気、ロストボーイズやモリビト達の衣裳が豊かな色彩、また、タイガー・リリーの服装も今までのイメージとはガラリと変わって!
また、パイレーツ達の衣装にも注目、一人一人の衣装の細かさ、衣装といえば、今回のピーターの衣装は実に細かい。葉っぱや木の実などがいっぱい。ピーター・パンの衣装は緑色、それは”自然”を象徴、それも単なる自然ではなく、生命力に溢れた存在としてのピーター・パンとして捉えることができる。よって振り付けもパルクールを取り入れているのも納得。
パルクールは走行・跳躍・壁のぼりといったアクロバティックな動きを駆使して、身体能力をたよりに建物等の障壁を乗り越えていく運動術、躍動感に溢れ、元気いっぱい、ピーターだけでなく、ロストボーイズやモリビト達の動きも生命力に満ちた動き。
また、ネバーランドにいる動物たちのパペットの動き、作りがアート、とにかく見るところがいっぱい。元気一杯の山﨑玲奈演じるピーター・パン、すでに舞台経験豊富、安定した歌唱力、くるくると変化する表情、そして小野田龍之介演じるフック船長、悪役だが、なかなかユーモラスで憎めないキャラ、岡部麟のウェンディは可愛らしさの中に女性らしいテイストが加わってちょっと大人びた印象の役作り。
優しそうな須藤理彩のダーリング夫人、その夫であるダーリング氏を小野田龍之介が演じるのだが、1幕のネクタイを締める場面では文句言ったり駄々をこねたり、服装に関してはかなりうるさい。ダーリング氏とフック船長は同じ俳優が2役演じるのだが、この2キャラ、結構共通しているところがあり、そこは「なるほど」。そういったところはちょっと深読みすると俄然、興味深い。子供だけでなく、大人も楽しめる、考えさせられるのが、この作品の懐の深さでもある。何度観ても新たな発見が得られるミュージカル、長きに渡って愛されるのがよくわかる。
公開稽古の前に会見が行われた。登壇したのはピーター・パン役の山﨑玲奈、フック船長役の小野田龍之介、ウェンディ役の岡部麟。
山﨑玲奈は開口一番「たくさん稽古して本番を迎えられるのがうれしい」と語り、「私らしいピーター・パンが出来上がったかな」とコメント。「ピーター・パン」といえばフライングのシーンが見所となるが、「フワフワしていて難しい所はあるけど、慣れてきました」と語る。先輩の唯月ふうかからは「できるだけ楽しく」とアドバイスされたとか。また自分にとってのネバーランドは?の質問については「自由気ままにいられるところ」と回答。小野田龍之介はピーター・パンのいじめかたについて「葉っぱを一枚、一枚、とっていこうと」と笑いを誘った。岡部麟は「玲奈さんはNOを言わないところがえらい」と絶賛。また見どころを聞かれて山﨑玲奈は「みんな必死に生きている、リアル感。キャラが必死にサバイバルしてるのでハラハラすると思う」とコメント。小野田龍之介は「いろんな、体を使っての表現、人間の持つ最大限の力を表現している」と語る。また、岡部麟も「全てが生まれ変わった、パワーアップしてる、自分自身も楽しみながら」とコメント。最後に山﨑玲奈が「ガラッと変わった『ピーター・パン』、今年のピーター、観ていただけたら、いろんな楽しさ、ワクワクが詰まっています」とPR。今年で43年目、夏は『ピーター・パン』。
<ピーター・パン役山﨑玲奈インタビュー>
概要
キャスト:
ピーター・パン:山﨑玲奈
フック船長:小野田龍之介
ウェンディ:岡部 麟(AKB48)
ダーリング夫人:須藤理彩
タイガー・リリー:江上万絢
【パイレーツ】
スミー:今村洋一、ジュークス:渡部又吁、マリンズ:天野夏実、ヌードラー:藍 実成、スターキー:伊藤 奨、チェッコ:米澤賢人
【ロストボーイズ】
ニブス:德岡 明、カーリー:小熊 綸、スライトリー:阿部美月、ラブル:梶 みなみ、トートルズ:松尾音音
【モリビト】
髙城 徹、住 玲衣奈、ASUKA、古澤美樹、西澤真耶、大津夕陽、大津朝陽、松平和希
ジョン(Wキャスト):東 未結、堀 蒼寿
マイケル(Wキャスト):畠中一花、三田一颯
<スタッフ>
原作:サー・J・M・バリによる作品を元にしたミュージカル
作詞:キャロリン・リー
作曲:モリス(ムース)・チャーラップ
翻訳・訳詞:福田響志
演出・振付:長谷川 寧
音楽監督:宮川彬良
美術:BLANk R&D
照明:斎藤茂男
音響:井上正弘
衣裳:高橋 毅
ヘアメイク:河村陽子
アクション・パルクール:HAYATE
フライング:松藤和広
歌唱指導:板垣辰治
演出助手:伴・眞里子、玉置千砂子
演出歌唱アシスタント:杉浦奎介
振付アシスタント:仙石孝太朗
稽古ピアノ:中野裕子
舞台監督:瀧原寿子
エグゼクティブ・プロデューサー:堀 威夫
<東京公演>
日程:2023年7月25日(火)~8月2日(水)
会場:東京国際フォーラム ホールC
主催・企画制作:ホリプロ
公式HP:https://horipro-stage.jp/stage/peterpan2023/
[スペシャルカーテンコール]
対象日程:
7月26日(水)16:30
7月27日(木)16:30
8月1日(火)16:30
[アフタートーク]
対象日程:
7月29日(土)16:30(登壇者:山﨑玲奈/岡部 麟)
7月30日(日)16:30(登壇者:山﨑玲奈/小野田龍之介/長谷川 寧)
[カーテンコール一部撮影OK]
東京公演にて、カーテンコールの一部をお手持ちのスマートフォン等で撮影して頂けます。
<東京公演販売情報>
【料金】
ドリームシート:おとな・こども
平日/土日共通 9,400円 ※妖精の粉付き
S席:おとな
平日8,500円/土日8,900円
S席:こども
平日5,500円/土日5,900円
A席:おとな
平日/土日共通4,800円
A席:こども
平日/土日共通3,200円
(全席指定・税込/こども 3歳~12歳)
<名古屋公演>
日程:2023年8月5日(土)~6日(日)
会場:御園座
主催:御園座/中日新聞社
お問合せ:御園座 052-222-8222(平日10:00-18:00)
<大阪公演>
日程:2023年8月12日(土)11:00/16:30
会場:梅田芸術劇場メインホール
主催:梅田芸術劇場/ABCテレビ
特別協賛:メインランドジャパン
お問合せ:梅田芸術劇場 06-6377-3800(10:00~18:00)
<埼玉公演>
日程:2023年8月16日(水)
会場:ウェスタ川越 大ホール
主催:指定管理者NeCST
お問合せ: ウェスタ川越 049-249-3777(9:00~19:00 点検日等の休館日を除く)
https://www.westa-kawagoe.jp/
<長野公演(上田)>
日程:2023年8月19日(土)・20日(日)
会場:サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)大ホール
主催:上田市(上田市交流文化芸術センター)/上田市教育委員会/NBS長野放送
お問合せ:上田市交流文化芸術センター 0268-27-2000(休館日を除く9:00~19:00)
https://www.santomyuze.com/
<新潟公演>
日程:2023年8月26日(土)・27日(日)
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
主催:公益財団法人新潟市芸術文化振興財団/UX新潟テレビ21
お問合せ:りゅーとぴあ専用ダイヤル TEL.025-224-5521
<高松公演>
期間:2023年9月2日(土)・3日(日)
会場:レクザムホール(香川県県民ホール)大ホール
主催:公益社団法人全国公立文化施設協会/香川県県民ホール指定管理者 あなぶき文化振興コンソーシアム/RSK山陽放送/四国新聞社
お問合せ:県民ホール サービスセンター 087-823-5023(10:00~18:00)
https://kenminhall.com/visitors/ticket_detail/?id=4947