新国立劇場オペラ 2024/2025シーズン ラインアップ発表会レポ

新国立劇場2024/2025シーズンラインアップオペラの発表会が行われた。登壇したのは大野和士芸術監督。

まず、最初にイギリスの音楽雑誌「Opera」誌の表紙を掲げた。『シモン・ボッカネグラ』の名シーンが。

<開幕記事>

新国立劇場『シモン・ボッカネグラ』開幕

世界のオペラ界の注目を集めた『シモン・ボッカネグラ』近年はヨーロッパでも日本のオペラが評判になっている。

2024/2025シーズン、新制作は3本。

2024年10月上演のベッリーニー作曲の可憐なオペラ『夢遊病の女』、次作の『ノルマ』とは対照的な性格を持つが、ともにベッリーニの代表作であり、カターニアにあるベッリーニの墓にはアミーナのアリア「Ah, non credea mirarti」の楽譜が刻まれている。ベッリーニーのベルカント・オペラの代表的作品。新国立劇場初上演となる。このプロダクションはテアトロ・レアル、バルセロナ・リセウ大劇場、パテルモ・マッシオ劇場との共同制作、2022年にマドリードで初演。指揮はイタリア・オペラの巨匠で、この作品の初演を指揮したベニーニ。演出はバルバラ・リュック、演劇一家に生まれ、俳優としていくつかの作品に出演後、2005年からオペラ演出家および演出助手として活動している。新国立劇場はお初。
村の娘・アミーナは裕福な村の若者・エルヴィーノと恋仲、超絶技巧の二重唱で結婚の歓びを歌う(Prendi, l’anel ti dono )。そこへロドルフォ伯爵が現れてエルヴィーノはアミーナを取られたと誤解する。
ロドルフォ伯爵は日本が誇るスター・妻屋秀和。アミーナにはMETなどで活躍のローザ・フェオーラ、新国立劇場初登場、エルヴィーノはミラノ・スカラ座など主要劇場で活躍するアントーニオ・シラグーサ、新国立劇場は13年の『愛の妙薬』以来。

2024年11月はロッシーニの『ウィリアム・テル』。ジョアキーノ・ロッシーニ作曲による4幕構成のグラントペラ。フリードリヒ・フォン・シラーによる戯曲『ヴィルヘルム・テル(英語版)』を原作とする。ロマン主義的なグランド・オペラの扉を開いた画期的な作品としても知られている。
ロッシーニは速筆として知られているが、この作品は半年近くの時間を費やした。このオペラを作曲したのを最後にロッシーニは30年以上にわたる引退生活に入る。美食家としても知られ、引退してからは料理の創作に情熱を注いだ(トリュフとフォアグラを使った様々な料理を考案)。
初演は1829年、その前年にベートーヴェン死去。今回の上演は原語、日本初となる。テル役にはゲジム・ミシュケタ、”ウィリアム・テル”歌手として活躍。アルノール役に新国立劇場公演21年『チェネントラ』のドン・ラミーロ役で好評だったルネ・バルバラ、マティルドには17年『ルチア』で新国立劇場初デビューを飾ったオルガ・ペレチャッコ。指揮は大野和士自らが担い演出は21年の『夜泣きうぐいす/イオランタ』に続いてヤニス・コッコス。

3本目は日本人作曲家シリーズの第三弾、細川俊夫の新作オペラ、ドイツ在住で世界的な評価も高い多和田葉子の台本とのコラボレーションとなる。
タイトルは『ナターシャ』。ナターシャ(ソプラノ。イルゼ・エーレンス)はウクライナ人で、日本人のアラト(メゾソプラノ。山下裕賀)という若者と出会い、第3の謎めいた”メフィストの孫”(バリトン。クリスティアン・ミードル)によって現代の地獄に誘われる。
そこで彼らの眼前に現れるのは、私たちの時代の数多くの身の毛もよだつ現象。しかし、二人はそれらを経験するごとに、お互いになかなか通じない言語を通して意思疎通していたのが、やがて不思議なことに言葉の共有が図られるようになっていくのだが、彼らにはどんな未来が現れるのか、が大体の流れとなる。この新しい世界を演出するのは、クリスティアン・レート。演出家であると同時に装置デザイナーでもある才人。

レパートリー作品群も充実。
モーツァルト『魔笛』、指揮はトマーシュ・ネトピル、コンサートとオペラの双方で国際的に活躍し、充実した音楽づくりで注目を浴びるチェコの俊英。ヤナーチェク、マルティヌーなどのチェコの作品を得意とするほか、モーツァルト、ワーグナー、R.シュトラウス作品などでも高い評価を得ており、録音も多数。タミーノは若い頃からモーツァルトのオペラで席巻しているスロヴァキア出身のテナー、パヴォル・ブレスリック、夜の女王には名コロラトゥーラ、国内オペラ界の第一線で活躍中のソプラノ歌手・安井陽子。

ワーグナーの『さまよえるオランダ人』には、『ボリス・ゴドゥノフ』の際来日できなかった、ロシアの巨人エフゲニー・ニキティンに再びタイトルロールを。何回もお声をかけていた日本人名バス歌手の松位浩氏の招聘が叶いました。指揮者には私自身も個人的によく存じ上げており、洗練されたワーグナーを操るマルク・アルブレヒトが新国立劇場初登場。

ツェムリンスキーとプッチーニのダブルビル『フィレンツェの悲劇/ジャンニ・スキッキ』の指揮には、初演でこのプロダクションを指揮を担った沼尻竜典再び登場。優れた歌唱力に加え、圧倒的な存在感のトーマス・ヨハネス・マイヤー、イタリアの実力派バリトン、ピエトロ・スパニョーリという独、伊の大歌手たちとの共演。

ビゼーの『カルメン』はガエタノ・デスピノーサの指揮。カルメンは、若手で急速にスター街道を歩み始めたサマンサ・ハンキー、『ばらの騎士』のオクタヴィアンなどでも大変な評判の彼女が、カルメンをどのように演じるか期待。対するドン・ホセ役は21世紀のスターと言われているアタラ・アヤン。彼のMETデビューでは「彼はまさに、今発見された」と評された逸材。

プッチーニ『蝶々夫人』は、我らが小林厚子のタイトルロール。日本人離れした、真のバタフライの声を持つ彼女が、音楽一家に生まれ育ったエンリケ・マッツォーラの指揮で、どのように震える感情を伝えてくれるか、楽しみ。

ロッシーニ『セビリアの理髪師』の指揮者コッラード・ロヴァーリスは23年2月に『ファルスタッフ』を指揮したばかり。今では幅広いレパートリーを誇る彼ですが、バロック音楽にも精通しており、それが彼の音楽作りに深く反映しています。その彼と、イタリア音楽の真髄をここまで深めている脇園彩との共演に期待。

新国立劇場公式サイト:https://www.nntt.jac.go.jp