「トリコロール」三部作、『ふたりのベロニカ』で知られる、ポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキが発表した 『デカローグ』。旧約聖書の十戒をモチーフに 1980 年代のポーランド、ワルシャワのとある団地に住む人々を描いた十篇の連作集です。人間を不完全な存在として認め、その迷いや弱さを含めて向き合うことが描かれたこの作品は、人への根源的な肯定と愛の眼差しで溢れています。
この十篇の物語を4カ月にわたり舞台化するという、この一大プロジェクト。4月からスタートしたこの長い旅路の最後を飾る『デカローグ 7~10』が現在新国立劇場小劇場にて上演中。
小川絵梨子コメント
デカローグシリーズをご覧下さいまして大変にありがとうございます。今回の7、8、9、10 を持ちまして、つい
に「デカローグ」が完成いたします。10篇から成る本作ですが、オムニバス作品であり、それぞれが一話完結の物語ともなっております。エピソード1~6を観てくださった皆さまに重ねて深く御礼申し上げますと共に、最後の四つの物語を楽しんで頂けたらと願っております。また今回が初めての方にも、是非デカローグの世界を観て頂くことができましたら幸いに思います。よろしくお願い申し上げます。
上村聡史コメント
4 月から始まったデカローグも遂に完結を迎えます。準備や、約 4 か月間のリハーサルを含め、いち創り手として、“何にとっての、誰にとっての、十戒=デカローグ”なのか“、という忘却不可能な命題と正対し、今のこの時代に向けて、物語を創ってきました。演出者ながら、その問いに答えることができた仕上がりかと思います。是非、劇場という真実に陶酔できる空間で、ご堪能いただけたら何よりです。
亀田佳明コメント
デカローグ全編を通して私は”見ている”行為が主になっています。 稽古期間を含めた約 5 ヶ月、およそ 50 人近い俳優との出会いと創作、それぞれの役への向かい方、稽古場から舞台へ、そして本番を重ね変化していく演技を間近に体感していけたことは貴重な時間でした。 現在プログラム DE の中日頃、こちらの俳優陣も最終プログラムのストーリーを魅力的に紡いでいます。 是非その姿をご覧いただきたいと願っております。
亀田佳明インタビュー記事
作品について
「トリコロール」三部作、『ふたりのベロニカ』で知られる、ポーランドの名匠 クシシュトフ・キェシロフスキが発表した 『デカローグ』。旧約聖書の十戒をモチーフに 1980年代のポーランド、ワルシャワのとある団地に住む人々を描いた十篇の連作集。
十篇の物語は、オムニバス形式のそれぞれが独立した1時間前後の作品で、別々の作品でありながら、緩やかにリンクし、実はひそかなつながりを持っているという隠された楽しみも見つけることができる。
もともとテレビ放映用ミニ・シリーズとして1987-1988年にかけて撮影され、その質の高さが評判を呼び、その後世界で劇場公開。スタンリー・キューブリック、エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェンなど世界の映画作家が賞賛の声を贈った。
モーセの十戒(正教会・聖公会・プロテスタント(ルーテル教会を除く)の場合)
わたしのほかに神があってはならない。
あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。
あなたの父母を敬え。
殺してはならない。
姦淫してはならない。
盗んではならない。
隣人に関して偽証してはならない。
隣人の妻を欲してはならない。
隣人の財産を欲してはならない。
概要
『デカローグ 1~10』
日程:
2024年4月13日(土)~7月15日(月・祝)
デカローグ1~4(プログラム A&B 交互上演):2024年4月13日(土)~5月6日(月・休) ※終了
デカローグ5~6(プログラム C):2024年5月18日(土)~6月2日(日) ※終了
デカローグ7~10(プログラムD&E 交互上演):2024年6月22日(土)~7月15日(月・祝)
会場:新国立劇場 小劇場
原作:クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピェシェヴィチ
翻訳:久山宏一
上演台本:須貝 英
演出:小川絵梨子/上村聡史
公演詳細
https://theatertainment.jp/translated-drama/122610/
舞台写真提供:新国立劇場(撮影:宮川舞子)