柚希礼音&愛希れいか W主演ミュージカル『マタ・ハリ』製作発表会レポ

ミュージカル『マタ・ハリ』、2025年10月~11月に東京・ 東京建物 Brillia HALL、大阪・梅田芸術劇場メインホール、 福岡・博多座の3都市で上演。
本作は 『ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』をはじめ、数々のメガ ヒットミュージカルを手掛ける作曲家フランク・ワイルドホーンにより生み出された作品。石丸さち子訳詞・翻訳・演出のもと多くの観客を魅了、連日スタンディングオベーションの熱狂に劇場が包まれた2018年初演、その歓声から3年後の21年に再演、更に時を重ねて25年、遂に待望の再々演が実現。ワイルドホーンの壮大な音楽に乗せて、登場人物それぞれの繊細な心の動きを丁寧に捉える石丸さち子の巧みな感性で描かれる世界観が、初演、再演を経て再び蘇る。

注目のキャストには、18年初演、21年再演と圧倒的な存在感とカリスマ性で観客を魅了し続ける柚希礼音が 再びマタ・ハリ役に挑む。同役のダブルキャストには、21年に新たな魅力のマタ・ハリを演じ、3拍子揃った実力と美しさで魅力を放つ愛希れいかが再び登場。そして、彼女の運命を変える2人の男性。マタ・ハリに屈折した愛情を抱き、彼女をスパイへと導くフランス諜報局のラドゥー大佐と、マタ・ハリに真っすぐな愛を示すパイロットの青年アルマン。このタイプ の異なる2つの役を、18年に回替わりで見事に演じ大喝采を浴びた加藤和樹が、待望の声に応え再び回替わりで演じる。更に、ラドゥー大佐役として加藤とのダブルキャストに人気と実力を兼ね備えた廣瀬友祐が初登場。アルマン役のダブルキャストには、今や数々の作品で主演を務める甲斐翔真が初挑戦。フランスと敵対するドイツの将校ヴォン・ビッシング役はベテラン・神尾佑。マタ・ハリが唯一心を許し、どんな時も彼女を献身的に支え続ける衣裳係アンナ役には、21年に同役を演じた春風ひとみが再登場。

都内で製作発表会が行われた。抽選で選ばれた幸運な観客も会場に。まずは歌唱披露、円形の舞台なので、どこからもよく見える。トップバッターは甲斐翔真。

披露するのは「普通の人生」、真実の愛に目覚めたアルマンがマタ・ハリへの思いを歌う楽曲。『マタ・ハリ』は初参加だが、堂々たる歌唱を披露、大きな拍手が。

その次は愛希れいか、「一生の時間」、大人の色気が漂うドレスを纏って登場。

マタ・ハリが忌まわしい過去を脱ぎ捨てて、アルマンへの愛を確信する歌。熱い思いが迸る歌。

初演から参加の加藤和樹、「戦いが終わっても」。パワフルに歌い上げる。

マタ・ハリへの愛を失い、戦争に捧げた自らの時間をラドゥーが歌う。

最後は柚希礼音、「この命の最期に」。ゴージャスなドレス姿で登場。

二重スパイの罪を着せられたマタ・ハリ、徒刑場への道をいきながら自らの最期を歌う、重厚かつドラマチックなナンバー。

歌唱が終わり、客席は興奮に包まれながら拍手。すっかり会場が熱くなったところでフォトセッションという流れ、一気に和やかな雰囲気に。登壇したのは訳詞・翻訳・演出の石丸さち子、それから柚希礼音 愛希れいか 加藤和樹 廣瀬友祐 甲斐翔真 神尾佑 春風ひとみ。それから取材会が行われた。

柚希礼音「3度目の挑戦です。大好きなマタ・ハリ役を3回もさせていただける、本当に嬉しい…人生の全てを賭けて挑みたいです」

愛希れいか「2度目の挑戦、前回はすごくいろんな意味で悔しい思いがありました…一からやり直す気持ちでやりたいと思っています。皆さんとご一緒にもう一度1からやり直す。気持ちでやりたいと思っています。皆さんおっしゃったように人生をかけて、その全てをかけて私も挑みたい、全てを賭けられるお役に出会えるのは本当に幸せだなと…その幸せをかみしめて皆様に最高の舞台をお届けしたいと思っております」

加藤和樹「初演から出演させていただいてます。アルバンをやっていただけませんか?というお話をいただいて、このタイミングでまた挑戦させていただけることを非常に嬉しく思っております、いろいろ経験を積み重ねた中でだからこそできる、懸命に生き抜いていきたいと思います」

廣瀬友祐「初参加です。個人的には演出の石丸さんとはこれまでそんなに遠くはない距離感でお仕事をさせていただいてたのになかなかご縁がなくて…今回初めてご一緒できるのでとても嬉しく光栄に思っております。初演、再演、再再演ということで、この作品がどれだけ愛されているのかをすごく感じます。リスペクトを持って精進していきたいと思います」

甲斐翔真「初演からずっと拝見してまして、大好きな作品、待望の出演!わくわくしております。アルマン、先ほど『普通の人生』を歌わせていただきましたが、いろんなものが絡んできて、普通の人生に憧れるという…今、当たり前のことがどんどん当たり前じゃなくなっていっている時代、すごく重なるなと思っておりまして。この2025年にアルマンを演じる意味を僕の中で舞台上で見つけられたら、と思いながら本番を迎えたいと思います」

神尾佑「先ほど皆さんの素晴らしい歌唱を聴かせていただき、いよいよ始まるんだな、という気がしています。僕はミュージカル界では若輩者ですので(加藤和樹の方を向いて)先輩方の胸を借りるつもりで(隣で加藤和樹が笑う)…石丸さんと一緒にやらせていただきたいと思っていました、楽しみしかありません、人生賭けてやらせていただきます」

春風ひとみ「この作品が大好きで、この音はしびれるなと思いながら聴いておりました。私も一応、元宝塚でございまして。長くやっているといろんな後輩と出会います。再演の時、柚希さんと愛希さんの佇まいに感動して、もう一度やるならもう一度2人を精いっぱい支えたいと思いました。宝塚の上級生下級生という関係もフルに丸出しでやりたいなと…(2人の)パワーをずっと受けられるように、大きく受け止めたいと思います」

ちなみに春風ひとみは宝塚65期生、柚希礼音は85期生、愛希れいかは95期生。

石丸さち子「歌唱披露の4曲を聞きながら『始まるんだな』と。再再演までたどり着けたのは、本当に観客の皆様、私達だけじゃなくて観客の皆様がこの作品を愛してくださった賜物です。同じ形の韓国の初演版をベースに上演いたします。皆さんが愛してくださったものはきっちりそのまま、そしてまた新たな魅力を取り入れながら…あれから時間が経ってますし、みんな成長してます。過酷な戦火の中を生き抜いた登場人物たち、非常に本当に悲惨な過酷な運命をしょっています。俳優が命を懸けて演じますって言うぐらいにじゃないと立ち向かえない実在の人物の物語です。韓国版はフィクションとノンフィクションが半分半分ぐらいになってますが、柚希礼音の『マタ・ハリ』、そして愛希れいかの『マタ・ハリ』、違う『マタ・ハリ』をお届けすることになると思います。ラドゥーとアルマンを演じる加藤和樹さん、ラドゥーの廣瀬友祐さん、楽しみです。2回目になる風ひとみさん、そして神尾佑さんにはまた新たなドイツ将校演じていただき、新しい『マタ・ハリ』楽しみにお待ちいただけたらと思います。今回の公演で新曲が追加されます。新曲”From way up there”は、韓国で上演された『マタ・ハリ』”初演版”の再演で追加になった楽曲、すごい素敵なナンバーです。これがどんなシーンでどんなふうに歌われるか、ぜひ期待を」

それから質疑応答、コロナ禍での再演については、柚希礼音は「最後の3公演がなくなったんですよね…。千秋楽まで楽しみにしていたんですけれども、そこでいきなりもうおしまいになってしまったのが、もうとても悔しかったのと、自分自身にとってもうまく声がうまくコントロールできなかったりして、なかなか苦戦したこともありましたので、新しく今の自分自身全てをかけてお芝居も歌も踊りも全部、今の自分をしっかりと込めて新しい『マタ・ハリ』を作るつもりで挑みたいと思っております」と決意を新たに。愛希れいかも「柚希さんがおっしゃったように、その公演を楽しみにされてた方の思いを考えるとやっぱり自分たちもそうですけれども、悔しかったですね。4年ぶりなのでどれぐらい自分自身が引き出しが増えているかどうかわからないんですけれども、とにかくぶつかっていきたいなって思ってます」と意気込みを。加藤和樹は「廣瀬くんと刺激し合いながら、僕もまた新たに気持ちで役作りをしていきたいなと思います」とコメント。春風ひとみは「見えない部分バックボーンを今回しっかり理解し直したいなと思います」と語る。初参加の面々、廣瀬友祐は「切磋琢磨して頑張りたいなと…作品に対して、役に対してはまだまだ勉強不足で、語れませんが、歪んだ世界、時代の中で歪んでいないものが何なのかを役を通して見つけていけたらなと」と語り、甲斐翔真は「アルマンは、旅行に行く人ではない、戦争中の、美しいものを見に行くために飛行機に乗ってるわけではないのに、そこに美しさを見出せる人っていう意味、そこを追求できたらなと思ってます」と語った。神尾佑は「僕も勉強不足ですが、演劇やお芝居をやってきて、稽古の間や本番、どんどんどんどんいろんな発見があったりして、いろんなわかってくることがあったりして、それは最初にわからなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、それでもわかったつもりでまだまだわかんないことがあったりして…それを繰り返していくのが、演劇の舞台の醍醐味だったりとか、面白さだったり。この作品は実在する人物を描いてるのがベース、生きることの真実、人生の何かみたいなことがきっと根っこにはあると思っていまして。そういうものを自分なりに探し出せればいいかなとは思っております」
最後に『マタ・ハリ』の役の魅力についての質問が出た。

柚希礼音「本当にあのような形で生き抜く女性、初演のときから本当の意味で理解するのがなかなか難しい…実在の人物を演じるというのが、私はすごく好きですが、実在の人物の場合、やっぱりいろいろ本とかで残っている資料は周りの人がその人のことを書いていることなので、本当はどうだったのかをすごく想像するんですけど…。本当はどうなのかを追い求めて自分なりの解釈にはなってしまうところがあると思うんですけど、もう世界中で『マタ・ハリ』の一番の味方みたいになる、そしてもうそれがもう自分自身になっていけるように、さらに今回深めていきたいと思っております。女スパイとかそういう部分だけを切り取られることがきっと多いと思いますが、本当に一生懸命生きた女性だと思うので、そこを精一杯演じたいと思っております」

愛希れいか「彼女は生きることをやめない、私もすごく勇気をもらいますし、すごく尊敬しています。すごく人間らしい、人間味があってある本当に少女のようにピュアな心がすごくありますね」

演出する上で大切にしようと思うこと、どういう稽古場にしたいか等について。

石丸さち子「戦争の犠牲者であると思うんですね。ものすごくつらい過去を抱えています。それを乗り越えるために1人で強く生きていこうとする。アルバンはマタ・ハリの生きる力に魅了されて、自分は戦争責任このどんどんどんどん失われていく命が全てお前のせいだと言われているかのようなポジションにいる…戦争の重圧の中にいながら、1人の女性を深く深く愛してしまう、人間模様がもう絡み合うんですけれども、どんな世界であれ、どんな時代であれ、こんなにもう人間は美しいんだということを私は一番描こうと思っています。アメリカからの報道を見てましても、世界が混迷をきたしています。その混迷の中にいる私達が、第一次世界大戦というものをしっかりまたイチから振り返りながら、私達は何かを学んできたはずなのに…心して私達は作品を扱いながら、演出していきたいと思います」

ここで時間となり、取材会は終了した。

<初演レポ記事>

ミュージカル「マタ・ハリ」

物語
1917年、第一次世界大戦下のパリ。
ドイツ軍の侵攻が迫る中でも、マタ・ハリのダンスはパリ市民の心を捉えて離さない。ヨーロッパ中の皇族や政府高官、軍人たちを魅了した彼女は、戦時下のヨーロッパを自由に往来して公演を行っていた。
そこに目をつけたフランス諜報局のラドゥー大佐は、断れば人生の秘密を暴くとほのめかし、マタ・ハリにフランスのスパイとして働くよう要求する。
ラドゥーの要求に怯え、悩むマタだったが、戦闘機パイロットのアルマンと恋に落ち、自分の人生を生きるため、一度だけフランスのスパイを務めることを決心する。
だが、マタの想像を超えた国家同士の謀略は、愛を知った彼女の命運を変えていくのだった。

概要
脚本:アイヴァン・メンチェル
作曲:フランク・ワイルドホーン
歌詞:ジャック・マーフィー
オリジナル編曲・オーケストレーション:ジェイソン・ホーランド
訳詞・翻訳・演出:石丸さち子
出演
マタ・ハリ:柚希礼音 愛希れいか(Wキャスト)
ラドゥー/アルマン:加藤和樹(回替わり・Wキャスト)
ラドゥー:廣瀬友祐 (Wキャスト)
アルマン:甲斐翔真 (Wキャスト)
ヴォン・ビッシング:神尾佑
アンナ:春風ひとみ

※公演ごとの出演者は公式サイトでご確認を。
日程・会場
東京:2025年10月1日〜14日  東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
大阪:2025年10月20日〜26日  梅田芸術劇場メインホール
福岡:2025年11月1日〜3日  博多座
企画・制作:梅田芸術劇場
問合:梅田芸術劇場(10時~18時) 東京0570-077-039/大阪06-6377-3800/博多座(10時~17時)092-263-5555

公式web:https://www.umegei.com/matahari2025/