小池徹平×三浦春馬ら豪華メンバー続投!ブロードウェイミュージカル『キン キーブーツ』

2013 年、トニー賞で最多となる 13 部門にノミネートされ、作品賞、主演男優賞(ビリー・ポーター:ローラ 役)、オリジナル楽曲賞(シンディ・ローパー)、振付賞(ジェリー・ミッチェル)、編曲賞、音響デザイン賞の6部門 を受賞したブロードウェイミュージカル「Kinky Boots」。
本作は、経営不振に陥った老舗の靴工場の跡取り息子チャーリーがドラァグクイーンのローラに出会い、差別や偏見を 捨て、ドラァグクイーン専門のブーツ工場として再生する過程を描いた 2005 年に公開された同名イギリス映画をミ ュージカル化。シンディ・ローパーのパワフルで最高に魅力的な書き下ろしの楽曲の数々が大きな話題を集め、今も なおブロードウェイで人気を集める大ヒット作品。
日本では、2016 年に初演。音楽・演出・振付はブロードウェイ版そのまま、主演に小池徹平・三浦春馬、全日、即日完売、本作で小池徹平は、チャーリー・プライス役で第 42 回 菊田一夫演劇賞の演劇賞を受賞。 また、三浦春馬は、ドラァグクイーンのローラ役で第 24 回 読売演劇大賞の杉村春子賞を受賞。
そして 2019 年、再び小池徹平・三浦春馬の強力タッグが実現!経営不振に陥る靴工場の跡取り息子チャ ーリー役を小池徹平、ドラァグクイーンのローラ役は三浦春馬、共演に、初演に続き靴工場で 働く従業員のローレン役をソニン、チャーリーのフィアンセのニコラ役を玉置成実、靴工場の現場主任ドン役を勝 矢が、工場長ジョージ役をひのあらたと主要キャスト続投で、それぞれがパワーアップし再集結する本作。またこの度、全キャストを発表!!前回に引き続き、飯野めぐみ、白木美貴子、施鐘泰(JONTE)、エンジェルス のメンバーには穴沢裕介、森 雄基、風間由次郎、森川次朗、遠山裕介、浅川文也、佐久間雄生が揃い、他に も藤浦功一、佐々木誠、高原紳輔、中村百花、丹羽麻由美、舩山智香子、清水隆伍、加藤潤一が参加。
演出面では2016年と同様なのだが、全体としては熱気とパワーが倍増した感がある。
幕開きは靴工場の現場主任ドン(勝 矢)が登場、電話がかかってくる、そして話をしている、「これから仕事にいくんだ」と。そしていきなり!スマホを取り出し、客席バックに撮影、思わぬサプライズに観客は大喜び、ピースサインで写り込む。つかみはOK!
物語の出だしは子供のチャーリーが登場し、父親との会話を描き、また別場面では同じく幼少期のローラが登場、赤いハイヒールをはいて走り回る姿が描かれている。そしてスピーディに『大人』になり、なんとチャーリーの父親が亡くなる。工場を継ぐことになってしまったチャーリー(小池徹平)父親の意向に反してロンドンで生活する道を選んだ矢先のことであった。

そして、さらに工場が実は経営難だった!さあ、どうする?長年、働いてきた従業員をそう簡単に解雇もできない・・・・・そんな折にひょんなことで知り合ったドラァグクイーンのローラ(三浦春馬)。そこから物語が動き出す。
人と人との出会い、そして交流、時には摩擦も起きる。チャーリー、ローラ、従業員のローレン(ソニン)、工場長のジョージ(ひのあらた)、主任のドン、それぞれに考えがあり、また長年働いてきた工場にも思い入れがある。また、ロンドンで生活しようとしていたチャーリーには婚約者・ニコラ(玉置成実)がいる。どこかにありそうな話であるが、それもそのはず、もともとは実話を元にして描かれたミュージカル。登場人物たちは一生懸命にその時を生きている。また息子を想うチャーリーの父親は実は工場を売却しようとしてたことを知り、チャーリーは驚く。しかし、工場を立て直す決意をしたチャーリーは売却を拒否するのだった。

そんなこんなをミュージカルナンバーで綴る。キャッチーでノリの良い楽曲が多く、時折客席からはクラップも起こるほど。また三浦春馬演じるローラ、初演の時よりもさらに役を楽しんでいる様子。パワフルな歌唱、妖艶な姿(上腕二頭筋に注目!)、ド派手なドレスも着こなし、すっかりローラ役がはまっている。対するチャーリー役の小池徹平も生真面目だが、ちょっと不器用、工場再建に一生懸命なチャーリーを好演、歌唱にも磨きがかかって安定感抜群。

それ以外のキャストも実力派揃いで歌にダンスに!1幕終わり近くのベルトコンベアーを使ったナンバーはもう楽しすぎる!客席からはクラップ、ノリノリな場面。そしてラストのショーは圧巻!
ドラァグクイーンのローラ、とにかく見た目のインパクトは大きい、そんなローラに偏見を持つのは無理からぬことかもしれない。固定観念、男は男らしく、女は女らしく、これは国も時代も関係なくよく言われることだ。ローラは男だがスカートを履いて、ハイヒールも履く。ドンとボクシングで勝負するもローラはわざと負ける。その心意気、そして賭けの提案は「誰かをありのままに受け入れること」であった、ありのままに受け入れることは口でいうのは簡単だが、実際は難しいこと。しかし、少しでもできたのなら・・・・・。

このミュージカルは本当に笑って笑って、ノリの良さを楽しみ、ちょっとほろっときたりして、そして実に様々なことを問いかけてくれる。人と人との出会い、偏見もなしに相手をそのまま受け止めること、逆境をチャンスに変える、何かを成し遂げるには一人の力ではなく、協力しあってこそ実現するのだということ。ローラがもし、チャーリーと出会わなかったら・・・・・・このキンキブーツはできなかったであろうし、工場も人々も変わることはなかったであろう。いつの時代もどこの国でも、何かを変えるのは『マンパワー』。この舞台も大勢の俳優が出演し、多数のスタッフが関わっている。だからこそ!もう直ぐ新しい年号に切り替わるが、新しい時代も変わらないのは『マンパワー』。

 

公開ゲネプロの前に囲み会見があった。登壇したのは主要キャスト、三浦春馬、小池徹平、ソニン、玉置成実、ひのあらた、勝矢、そして演出・振付のジェリー・ミッチェル。3年ぶりの舞台についてジェリー・ミッチェルは「3年前に家族を作りました、そして3年後にまた家族全員が戻ってきました」とカンパニーを家族にたとえた。「作品を愛していたこと、このミュージカルが愛と信頼関係として『そのまま受け入れる』というのがテーマになっていて・・・・この信頼関係があってこその再演と思っています」と語る。そして「作品に対する愛」について力説。BWのオリジナルメンバーはもちろん、日本のカンパニーもそして観客も作品を愛している、ということ。つまり『愛』が国も立場も超えている、それは作品のテーマにも連なっている。
三浦春馬は「一度やってるので・・・・・それぞれがこの3年間、成長しているので」といい「みんなでシェアしながら練習できたかな?」と自信をのぞかせる。チームワークもよく、ゲネプロとは思えないほどの完成度も高く、拍手が要所要所で起こった。小池徹平は「3年たったんだなと。安心感のあるカンパニー、『キンキブーツ』が動き出すのを心待ちにしていました。すごくまとまっていて、いよいよみなさんに見ていただけるので楽しみです」とコメント。またこのインパクトのある衣装に関して三浦春馬は「この扮装ができる喜びがありますし、誇りにも思います」と語り、半年間、本格的にトレーニングを積んだそう。演出家からは「エクセレント!」と最大級の賛辞。さらに「洗練された体を見せたかった」と三浦春馬。食事制限にトレーニング、かなりストイックに追い込んだ様子。小池徹平は「この稽古で4キロ減った」とコメントし、「減らないように努力しています、トライアスロンやってるような」とコメント。また年号が変わることに関して「このタイミングで舞台に立てるなんて!」と小池徹平。「いい影響を与えられるように」とソニン、またひのあらたは「ハッピーになれるミュージカル、素晴らしい舞台です」とコメント。玉置成実は「私はみんなと違うシーンが多いのですが客観的に観られて・・・・・・すごいパワー」と語る。演出家は「自分が変われば世界が変わる、この作品の素晴らしいところは『自分が変われば世界が変わるというメッセージ』、やはり、このメッセージは世界どこにいっても通じるもの。それを届け続けていきたい」と語る。出会いを通じてチャーリーもローラも、その他の登場人物たちも意識や気持ちが変わっていく、そして運命の扉を開けることができる、物語の舞台はイギリスであるが、どこで上演しても伝わる熱いメッセージだ。そして2人について演出家はまず「アンビリーバブル!」と最大級の賛辞。「素晴らしい人たち、素晴らしい俳優たち、素晴らしい歌い手であり、素晴らしいダンサー、何よりも人として素晴らしい」とコメント。それを聞いて2人はちょっと照れ気味。最後に「Thank you!ありがとうございます(ここ、日本語)!」、さらに「お客さんがいなければ成り立ちません。家族の物語をシェアする、世界中にこの作品のファミリーがいます!」と演出家、「本当にハッピーな作品!ぜひ、楽しんでいただけるステージに!頑張ります!」と小池徹平。三浦春馬は「僕たちも心待ちにしてました。『ありのままを受け入れる』大切なテーマ、ふんだんに込められた作品になっています!是非是非!」と締めて会見は終了した。

<ストーリー>
イギリスの田舎町ノーサンプトンの老舗の靴工場「プライス&サン」の4代目として産まれたチャーリー・プライス (小池徹平)。彼は父親の意向に反してフィアンセのニコラ(玉置成実)とともにロンドンで生活する道を選ぶが、その矢先に父親が急死、工場を継ぐことになってしまう。 工場を継いだチャーリーは、実は経営難に陥って倒産寸前であることを知り、幼い頃から知っている従業員たちを解 雇しなければならず、途方に暮れる。従業員のひとり、ローレン(ソニン)に倒産を待つだけでなく、新しい市場を 開発するべきだとハッパをかけられたチャーリーは、ロンドンで出会ったドラァグクイーンのローラ(三浦春馬)に ヒントを得て、危険でセクシーなドラァグクイーンのためのブーツ“キンキーブーツ”をつくる決意をする。チャーリ ーはローラを靴工場の専属デザイナーに迎え、ふたりは試作を重ねる。 型破りなローラと保守的な田舎の靴工場の従業員たちとの軋轢の中、チャーリーはミラノの見本市にキンキーブーツ を出して工場の命運を賭けることを決意するが…

【公演概要】
ブロードウェイミュージカル 「キンキーブーツ」
脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン
音楽・作詞:シンディ・ローパー

演出・振付:ジェリー・ミッチェル
日本版演出協力/上演台本:岸谷五朗
訳詞:森 雪之丞
オフィシャルサイト:http://www.kinkyboots.jp/
オフィシャルツイッター:@kinkybootsjp
オフィシャルインスタグラム:@kinkybootsjp
公演に関するお問い合わせ:アミューズチアリングハウス 03-5457-3476(平日 15:00~18:30)

取材・文:Hiromi Koh