『バレエ・アム・ライン』初来日公演「白鳥の湖」マーティン・シュレップァー芸術監督 会見

バレエ界注目のカンパニーである『バレエ・アム・ライン』の初来日公演「白鳥の湖」がいよいよ20日に初日を迎える。このカンパニーの芸術監督であるマーティン・シュレップァーの会見が会場となるオーチャードホールで執り行われた。
「総勢42名、日本からのダンサーもいます、加藤優子さんで48歳です。ジークフリートは若い王子が大人になる話、心の葛藤を表します。彼の葛藤の相手は母親で、韓国出身のダンサーが演じています」とコメント。このカンパニーは様々な国籍のダンサーが集まっており、実に多彩。また、いわゆるダンサーに『階級』がないのもこのカンパニーの特徴、よって”トップスター”とか”脇役”専門のダンサーはいない。つまり『フラット』なカンパニー、よって『いつも主役』というダンサーはいないことになる、全てのダンサーがトップクラスの水準である、ということの裏返しとも受け取れる。

この作品の特徴はよく知られている1895年にプティパとイワーノフによって成功を収めたものではなく、初演台本に基づいているところにある。「ストーリーだけでなく、音楽も」とコメントしたが、現在よく知られている「白鳥の湖」は、例えば黒鳥の音楽をチャイコフスキーは元々1幕で書いていたものを3幕で使ったりして変えている。「オリジナルで表現したかった」と語るが、これはある意味、本当のチャイコフスキーの「白鳥の湖」かもしれない。

また小澤征爾のボストン交響楽団の演奏(録音)にインスピレーションを感じたということであるが、「ドラマチックで途切れない」とのことであるが、テンポがスピーディであるということ。現代においてのステージパフォーマンスの傾向はスピード感とテンポ感が重視される傾向にある。また「現代人の視点にアピールできるものを」とコメントしたが、いわゆる『原作に忠実』な部分と今の時代に寄り添ったもの、ということでビジュアル的にも工夫が凝らされている。

日中は白鳥で夜になると女性になるという設定、この作品の演出では裸足であることで彼女たちが自然体であることと同時に魔女のもとにさらされる無防備な女性たちだということを表現。1幕と3幕での王宮のシーンではトウ シューズで踊るダンサーが登場するが、それは靴を履くということで伝統的な王宮での暮らしやルールを表現。「チュチュをきていると人間と白鳥の境目がわからない」とコメント。斬新に見えるが、実は理にかなった論理的な演出であることが想像できる。「20世紀の振り付けよりも現代の表現」と語ったが、作品は時代に合わせて変化しうるもの、そのまま上演する意味も一方であるが、時代に合わせて変化させることもまた『あり』だ。
また振り付けもキャラクターの心理的なものを表現、『心理的に共感できる』、そこに重点が置かれている。マーティン・シュレップァーは「動き一つ一つに」とコメントしたが、そこは目を凝らして見るところ。心の機微を表現する、より人間的な表現と言えるかもしれない部分、セットなどに頼らない、ダンスならではの身体表現の極み。
また「ダンサーは身体的なことはもちろん芸術家としても」とコメントしたが、単に身体能力が高いだけでは務まらない、作品やキャラクターやテーマを表現しなくてはならない。ダンスは実は演劇なのである。「また自分自身をどこまで出すか挑戦する勇気」とも語る。個性もまた大事な要素、である。
王子・ジークフリートを演じるマルコス・メンハについては「高貴な感じを持っている方で優しいダンスを踊る」と語る。日本人ダンサーの加藤優子については「素晴らしい芸術家」とコメント。オデットを演じるマルシア・ド・アマラルについては「感情表現が豊かで素晴らしい」と語る。
2020 年からはウィーン国立バレエ団芸術監督に就任するとのことだが、「予定がいろいろ入っていて」と前置きし「大きなバレエ団ですので、クラシックな形が主流になっていますが、モダンなものを入れていって、現代風なものを」と豊富を語った。

<トークショーも決定!>

東京:9/21(土)11:30公演 アフタートークあり(女優・真飛聖×マーティン・シュレップァー)
兵庫:9/28(土)15:00公演 プレトークあり(女優・真飛聖)

【公演概要】
バレエ・アム・ライン マーティン・シュレップァー演出 『白鳥の湖』

出演:バレエ・アム・ライン(ライン・ドイツ・オペラ バレエカンパニー)
演出:マーティン・シュレップァ―(バレエ・アム・ライン芸術監督/振付家)
指揮 :小林資典(ドルトムント市立オペラ 第一指揮者)
演奏:シアターオーケストラトーキョー(東京公演)/大阪交響楽団(兵庫公演)

<東京公演>
日程:
2019年9月20日(金) 18:30 開演(17:45 開場)
2019年9月21日(土) 11:30 開演(10:45 開場)
2019年9月21日(土) 18:30 開演(17:45 開場)
会場:Bunkamura オーチャードホール

<兵庫公演>
日程:2019年9月28日(土) 15:00 開演(14:15 開場)
会場:兵庫県立芸術文化センターKOBELCO 大ホール

料金:S 席 ¥20,000/A 席 ¥17,000/B 席 ¥14,000 /C 席 ¥11,000 /D 席 ¥8,000/SS 席 ¥25,000
※未就学児入場不可

主催: 関西テレビ放送、BS 日テレ、キョードーマネージメントシステムズ
協力:WOWOW
後援:在日ドイツ商工会議所、ドイツ連邦共和国大使館
招聘・企画・制作:関西テレビ放送、キョードーマネージメントシステムズ

お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)
※東京公演チケットに関するお問合せ: サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00~18:00)
公式HP:https://ballettamrhein.jp/