オンライン上映「国際ダンス映画祭 傑作選 2020」では、監督特集として、「国際ダンス映画祭2019」やNHK BSプレミアムでも上映された「グレート・ゴースト」(振付:ヨアン・ブルジョワ)の監督であり新進気鋭の映像作家、ルイーズ・ナルボニの2作品を上映することがHPで発表された(http://www.dance-media.com/videodance/best2020/)。
眼差しと空気のダンス映画。
空間を優雅に使い、その場の空気を一緒に吸っているかのようなカメラワーク、登場人物のそれぞれの個性を見つめる眼差し、現実にほんの少し交わるファンタジー・・・いつの間にかルイーズ・ナルボニの世界に引き込まれます。
—— 飯名尚人(国際ダンス映画祭 キュレーター)
「夢のあとで After a Dream」(2012)
振付:ジュリー・デプレリー
舞台はフランス・グルノーブル南部、労働者階級が多く住むヴィルヌーヴ地区。1968年の冬季オリンピック開催をきっかけに整備が一気に進み、文化による都市開発の先駆けとなった一方で、欧州内外からの移民が多く、2010年に起きた暴動と時のサルコジ大統領の演説をきっかけに犯罪の温床というレッテルを貼られることになった——そんな正負のイメージを併せ持つこの街のあちこちを、赤いワンピースを来た女性が軽やかに巡り、人と出会い、共に踊ります。
オリンピック、都市開発、移民といった社会問題を下敷きにしながら、ニュースの言葉や数字の後ろに隠れている血の通った人の姿と街の風景を、本作はフィクションでもドキュメンタリーでもないタッチで希望をもって描き出します。クロード・ルルーシュ監督のオリンピック記録映画『白い恋人たち』を思わせるラストも必見です。
「オペラを踊りましょう Let’s Dance an Opera」(2014)
劇場は不思議な夢の国——オペラ座の地下深くには湖があり、人知れず怪人が住み着いているという物語もあるとおり、劇場には人を引きつける底知れぬ魔力があります。
ジャン・ヌーヴェルがリノベーションしたリヨン・オペラ座の建物を大胆に用いて、オペラ座の団員やスタッフに加え192人のアマチュアを出演者に迎えて上演されたパフォーマンス『オペラの中のオペラ座(L’Opera nell’opera)』(2012、ジュリー・デプレリー演出)を映像ならではの演出を取り入れて再構成。舞台に出かけるワクワク感を思い出しながら、劇場の歴史や建築、それを支える職業について知ることができる、子供も大人も楽しめる作品です。
■ ルイーズ・ナルボニ|Louise Narboni
1978年、フランス生まれ。オペラやバレエを複数カメラで記録する映像を制作する。近年では、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル、ヨアン・ブルジョワ、テロ・サーリネン、エマニュエル・ガット、シャロン・エイアールらと共に仕事をしている。近作に「Ce que je m’ai souvenu / 私が覚えていること」(2017) 、「Happy We / 幸せな私達」(2016)。
<「国際ダンス映画祭 傑作選 2020」概要>
【日時】
2020年8月26日[水] 〜 9月23日[水]
・8月26日[水] 21:00〜24:00 A. 隠された物語(5作品)
・9月02日[水] 21:00〜24:00 B. 風景の中で(5作品)
・9月09日[水] 21:00〜24:00 C. ダンス映画監督特集:ルイーズ・ナルボニ(2作品)
・9月16日[水] 21:00〜24:00 D. 踊りと変身(4作品)
・9月23日[水] 21:00〜24:00 E. 映像の視点(4作品)
【閲覧方法】
上記の時間帯に、特設ウェブサイト上でご覧いただけます。視聴無料。
http://www.dance-media.com/videodance/best2020/
主催:国際ダンス映画祭、Dance and Media Japan
協力:東京造形大学 プロジェクト科目
公式HP:http://www.dance-media.com/videodance/best2020/