関⻄ジャニーズJr.今江大地,河下楽出演 舞台『ラン・フォー・ユア・ワイフ(Run for your Wife)』開幕!

上質な翻訳劇を日本に紹介することを目的に2018年から1年に1本のペースで作品を発表しているユニット「SHY BOYプロデュース 」、2018年『キャッシュ・オン・デリバリー』、2019年『ザ・フォーリナー』に続き、2021年4月、レイ・クーニー(注)による人気作 『ラン・フォー・ユア・ワイフ』を上演する。重婚生活を送るタクシードライバーが事件に巻き込まれ、ピンチに陥り、苦し紛れにウソにウソを重ね大騒動となってしまう爆笑コメディ、日本でも多数上演されてきた傑作。
警察関係のお二人が前座を務めるが、ここで物語の時代背景などを説明するので早めに席についておきたい。
舞台セットは中央からシメントリーにメアリー(新垣里沙)の家、バーバラ(緒月遠麻)の家、となっている。中央にソファ、どちらにも電話がある。二人の女性が登場、似た動作、二人同時に「普通の人なんです」と夫のことを言う。

メアリーとバーバラ、着ているものでタイプの違う女性だということがわかる。

セリフなどで時間軸が同じことを視覚的に示し、誰もがひと目でわかる仕組み。メアリー側のドアが開き、頭を包帯でぐるぐる巻いたジョン(今江大地)が入ってくる。びっくりするメアリー、彼はタクシー運転手、トラブルに見舞われてしまい、病院で手当を受けてから帰宅。ここからジョンはとんでもない窮地に陥るが、この時点ではまさか、とんでもない泥沼にハマるとは思っていない(しかし、観客は知っている)。
ジョンは優柔不断な性格ゆえに二重結婚していた。先に結婚したのはメアリーであったが、ひょんなことで知り合ったバーバラと惹かれあい、こちらとも結婚してしまった。かなりの至近距離で2つの家庭をもち、タクシー運転手という比較的自由な立場を最大限に生かし、綿密なスケジュールを組み立てて両方の家を行ったり来たりしていた。このトラブルが起こるまでは…平和に二重婚ライフを謳歌していた、というわけだ。次第に歯車が噛み合わなくなっていく。自分で墓穴を掘ったり、つじつまが合わなくなってきたり、なんと2階に住んでいるスタンリー・ガードナー(河下楽)を無理やり巻き込む、という端から見ればかなりの身勝手。嘘に嘘を重ねて、どこでどういう話をしたかもごっちゃになりかけ寸前、しかも諦めが悪いジョンはどうにかなると信じている。キレかかりながらも協力するスタンリー、実はジョンからお金を借りている、弱みを握られている、こちらもかなりのダメっぷり。

ネクタイをビシッと締めたトラウトン警部。
ポーターハウス警部は少しラフな服装。
ボビー・フランクリン、年齢不詳、慣れなれしいが、憎めないキャラ。

警察関係の方々もやってくる。堅物で洞察力もあるトラウトン警部(清水順二)、ジョンは何かを隠していると疑う、もう一人のポーターハウス警部(我善導)はお人好し、「いい人」タイプ。そしてバーバラの家の上に住む住人、ボビー・フランクリン(ちゅうえい)、デザイナーでオネエ、強烈な存在感と個性、事あるごとに現れる。

可愛らしく家庭的なメアリー。しかし、キレたら…。
セクシーで魅力的なバーバラ、ピタッとした服がよく似合っている。
貫禄すら漂う。
家庭的、お茶を入れる、フリフリエプロンがなんとも言えずキュート。
新聞記者。おお〜撮影成功!!
着ているものが個性的…と言うより強烈。

全ての登場人物が”キャラ立ち”、そしてこの作品の重要な小道具が固定電話。携帯電話はもちろん、ない。この電話のシーンが絶妙のタイミング、主人公を窮地に陥れるもう一人の”登場人物”だ。また、瞬間的に登場して去っていく新聞記者(津山直紀)、かなり図々しい。また、スタンリーが「なりすまし」をするのだが、ここのシーンは「トリック」であり「マジック」、脚本の完璧さ、展開のスピード感、さすが世界中を笑わせてくれるレイ・クーニー。1幕は電話が大活躍し、2幕では電話の”縁”で、なんと…会ってはまずい人たちが…さあ、どうする???最後まで目が離せない。オチは…そうくるか的な展開。

キレたメアリー。
同じ警察関係だが、所属する署が違う。協力しあうどころか、ライバル心が炸裂。
一緒にいてはまずい4人が一堂に会する。

適材適所な配役、ジョンを演じる今江大地、スタンリー・ガードナー演じる河下楽といいコンビぶり。どちらもダメダメなキャラで全く成長もなければ、気付きもないが、目の前のことに必死、全力で演じることによって、このキャラ2名のダメっぷりが強調されていく。特にジョンは二重結婚、世間的にはOUTだが、憎めないキャラ、優しさと優柔不断さは紙一重、その”憎めない”感が今江大地に合っている。河下楽は典型的な巻き込まれ型、トホホな雰囲気。貞淑な妻っぽいメアリー、2幕はキレまくり(笑)、新垣里沙の振り切った演技が笑いを誘う。そしてバーバラ演じる緒月遠麻、色っぽいだけでなく、かなり強そうな奥様ぶり、腕組みした姿は堂々たる佇まい。そして警察関係のお二人、清水順二と我善導、凸凹感が舞台のアクセントに。そして初舞台と言うちゅうえいは初とは思えないくらい!コメディセンスは目を見張るものがある。そしてこちらも大きな舞台はお初、新聞記者役の津山直紀、出演時間は多分5分以内、しっかりと爪痕残して素早く立ち去る。
物語は40年前のロンドン、だが、普遍的な要素が詰まっており、きっとこの先も何度も上演されるに違いない。おバカな人々だが、皆、愛すべき人々。特に何も考えないでひたすら大笑いしたい。

なお、公開稽古の後に会見が行われた。挨拶から。
「とても不安で緊張していましたが、楽しかったです。頑張ります」(今江大地)
「とにかく心から楽しみました」(河下楽)
「精一杯、笑いをお届けして!」(新垣里沙)
「本番ではもう少し落ち着いて」(緒月遠麻)
「目一杯、頭いっぱい一つも覚えていません(笑)」(ちゅうえい)
「間違えることなく噛むことなく、終えました。不安もありますが…」(我善導)
「観ていただいて嬉しいです。反応が…感動でいっぱいです」(津山直紀)
「ようやくここまできたなと。全員が一つになって!笑いが大事な舞台です。」(清水順二)

また家庭を二つ持っている役については「ありえへんなー。いいやつですが、情けないですね。でも今はジョン・スミスは好きです」と今江大地。また妻役の2人から見た今江大地は「真面目で懸命に稽古に挑んでいるので刺激を受けています」と新垣里沙。「可愛らしさを出してくれて」と言うのは緒月遠麻。また、主演ということを聞いた時の感想について今江大地は「信じられなくって何度も聞きました。絶対にヘマはしてはいけないなと」とコメント。膨大なセリフに出る、ハケる、をきちんとやらなければならない、段取りのオンパレード。
さらに今江大地と河下楽は「もともと帰り道が一緒」だそうで(パンフにも記載)、息のあったコンビぶり。初舞台のちゅうえいは「楽しいですねー。稽古中はずっとマスクで、フルの顔が新鮮。稽古中は今江さんは目と鼻柱しか見えてなかった…」とコメント。そのちゅうえいについて清水順二は「自分で『アドリブ厳禁』って自分で台本に書いてて。丁寧に作ってきたなと」と絶賛。そしてメインの二人に関しては「今江くんと河下くん、これからどれだけ上がっていくかな…」と親心的発言。さらに「この作品でステップアップして欲しい」と語り、大きく頷く2人。
最後に今江大地が「みなさんに笑ってもらえるように精一杯、頑張ります!」と締めて会見は終了した。

<演出:野坂実インタビュー記事>
https://theatertainment.jp/translated-drama/77073/

(注)レイ・クーニー(Ray Cooney):1932年まれ、英国出身。劇作家、演出家、プロデューサー兼俳優。46年に子役でデビューし、56年ブライアン・リックスの劇団に参加。82年にはシアター・オヴ・コメディー・カンパニーを主宰し、92年、ジェフリー・アーチャーからロンドンのプレイハウス劇場を買い取る。自作自演の作品に『ラン・フォー・ユア・ワイフ』(Run for your Wife)、『鬼さん、こちら』( Chase Me Comrade)、『情事だ、ジョージ、非常時だ』(Two into One)、『大混乱』( Out of Order)、『パパ・アイ・ラヴ・ユー』(It Runs in the Family)がある。そのほかの作品としては『Funny Money』などがある。

<物語>
ジョンは、ごくごく平凡で優柔不断なタクシードライバー…と見せかけて、実はとんでもない秘密を隠し持っていた。
緻密なスケジュールをコントロールして、二人の女性との二つの家庭のあいだをタクシーで行き来する「重婚ライフ」を満喫していたのだ。ところがある日、その完璧な二重生活に狂いが生じる。
嘘を隠すために嘘を重ね、その嘘を守るためにまたもや嘘。やがてその嘘は二人の妻・メアリーとバーバラや、それぞれのご近所さん・スタンリーとボビー、ついには警察までも巻き込んでの大騒動に発展する。
はたしてジョンは、幸せな生活を守り抜けるのか?

<概要>
[タイトル]
SHY BOYプロデュース『ラン・フォー・ユア・ワイフ』
[出演] ジョン・スミス役:今江大地(関⻄ジャニーズJr.)
スタンリー・ガードナー役:河下 楽(関⻄ジャニーズJr.) ボビー・フランクリン役:ちゅうえい(流れ星☆) メアリー・スミス役:新垣里沙 バーバラ・スミス役:緒月遠麻 ポーターハウス警部役:我善導(WAHAHA本舗) 新聞記者役:津山直紀
トラウトン警部役:清水順二(30-DELUX)
[日程・会場]
東京公演: 2021年4月7日(水)〜14日(水) /オルタナティブシアター
名古屋公演:2021年4月23日(金)〜25日(日)/ウインクあいち
大阪公演:2021年4月27日(火)〜28日(水)/サンケイホールブリーゼ
[スタッフ]
脚本:レイ・クーニー
翻訳:小田島雄志・小田島恒志
演出:野坂 実
プロデューサー:山田とゐち(LIVEDOG)
主催(名古屋公演):中京テレビ放送
主催・企画・製作:SHY BOYプロデュース
公式ホームページ
https://shyboy.jp/runfor/