演劇ユニット【CEDAR】と【深作組】が共同で、ドイツの現代作家ギュンター・グラスの「ブリキの太鼓」を上演する。
ノーベル賞作家であるギュンター・グラスのこの作品は、第二次世界大戦後のドイツ文学におけるもっとも重要な作品のひとつに数えられており、1959年に発表した処女作であり長篇小説。1979年には、フォルカー・シュレンドルフにより映画化。1979年度カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞、アカデミー外国語映画賞を受賞している。
今回はドイツで最も権威のある劇団「ベルリナー・アンサンブル」にて上演された脚本を元に、ドイツ翻訳の新進気鋭大川珠季氏による新訳にて上演する。
体は幼児で、精神年齢は大人の主人公オスカルが冷めた視点で世界を見つめ、その悪魔的所業で、自分を愛してくれている周囲の人間を次々としに追いやる良心を持たない人間であった。オスカルは声帯から発する超音波でガラスを破壊する能力を身に着け、さまざまな問題を起こしていく。最終的には自分を保護してくれる人間がいなくなったことに気づき愕然とすることになる。
コロナ禍で揺れるこの現代。不条理なウイルスの蔓延により世界は極限まで傷ついたが、ナチ党政権前後の自由都市ダンツィヒを舞台に、少年の悲鳴と共に、傷つくこと・傷つけられることを通して人間の深淵に極限まで迫る。
日本での上演はこの度初めてとなり、日本初演の演目。そして、今回は≪演劇 ver.≫と≪朗読劇 ver.≫という2種類の上演形式によって、一人芝居で上演するという画期的な試みとなっている。
<演出家より>
こんなにもドイツ演劇に魅かれるのは何故だろう?
ベルリンへ出かける度、僕はいつも考えてしまいます。
ドイツと日本は、かつて同じ戦争を共に闘い、
共に厳しい〈敗戦〉を味わいながら、
戦後はまったく違った歴史を歩んで来ました。
オリンピックがすべてをうやむやにしてしまう
今だからこそ、演劇を通じ、
僕たちは自分自身の〈罪〉と向き合い、
自分自身の〈ルーツ〉に立ち向かいたいと思います。
たった一人の俳優が、70 分で駆け抜ける 120 年間。
この作品は、すべてのオトナ達への挑戦状なのです。
創立以来、共に歩んで来た CEDAR の皆さんと、
大好きな四人の役者さんとのコラボレーション。
まだまだ困難な状況は続きますが、
どうか皆様、ぜひ劇場へお出かけくださいませ。
演出 深作健太
<あらすじ>
自由都市ダンツィヒ(現在のポーランド・グダニスク)に生まれた、主人公オスカル。3才で成長するのをやめた彼は、精神年齢は大人でも、身体は子供のままである。1899年、祖母が妊娠した日から、ナチスドイツの侵攻を経て、戦争が終結する1945年まで、激動の45年間を、冷めた眼差しで見つめ続けるオスカル。精神年齢は成人で、身体は幼児のまま。声帯から発する超音波で、周囲のガラスを割る特殊能力がある。〈分断〉と〈差別〉の波は、大切な人々を奪いながら、やがて彼自身にも迫っていた…。
<ギュンター・グラス(1927年〜2015年)>
ドイツの小説家、劇作家、版画家、彫刻家。代表作に『ブリキの太鼓』など。1999年にノーベル文学賞受賞。2006年に自伝的作品『玉ねぎの皮をむきながら』において、ナチス武装親衛隊にいた過去を告白、全世界に衝撃を呼んだ。
<公演概要>
日程・会場:2021年8月25日~29日 サンモールスタジオ
8月25日(水)19:00 ≪演劇ver.≫桧山征翔
※アフタートーク有 三津谷亮(俳優)×桧山征翔(俳優)
8月26日(木)16:00 ≪朗読劇ver.≫津田美波 19:00 ≪演劇ver.≫大浦千佳
※アフタートーク有 酒寄進一(和光大学教授・ドイツ文学翻訳家)×深作健太(演出家)
8月27日(金)16:00 ≪演劇ver.≫大浦千佳 19:00 ≪演劇ver.≫桧山征翔
※アフタートーク有 谷川道子(東京外国語大学名誉教授・ドイツ文学翻訳家)×深作健太(演出家)
8月28日(土)13:00 ≪朗読劇ver.≫津田美波 16:00 ≪演劇ver.≫桧山征翔 19:00 ≪演劇ver.≫大浦千佳
※アフタートーク有 マライ・メントライン(翻訳・通訳・エッセイスト)×深作健太(演出家)
8月29日(日)13:00 ≪朗読劇ver.≫河西健吾 16:00 ≪朗読劇ver.≫河西健吾
■クリエイティブスタッフ
原作:ギュンター・グラス
脚色:オリヴァー・レーゼ 翻訳:大川珠季 演出:深作健太 音楽:西川裕一
美術:平山正太郎(センターラインアソシエイツ) 照明:南香織(LICHT-ER) 音響:石神保 衣裳:藤崎コウイチ 映像編集:佐野公子 演出助手:石川大輔 舞台監督:丸山直己 制作:菅沼太郎 プロデュース:松森望宏 主催:CEDAR×深作組
宣伝美術:古谷哲史 宣伝写真:阿部章仁 宣伝ヘアメイク:ナリタミサト
問い合わせ
公演事務局
【MAIL】cedar.buriki2021@gmail.com
【Twitter】cedar_engeki