新国立劇場 吉田都舞踊芸術監督 就任第1作目!『白鳥の湖』制作発表会レポ 「ようやく上演にこぎつけた」

ドラマティックな展開で魅せる、古典の最高傑作『白鳥の湖』、サー・ピーター・ライトによるプロダクション、英国らしい演劇的要素がふんだんに盛り込まれた重厚な作品。コロナ禍で1年延期になったが、ようやく満を持して!吉田都舞踊芸術監督はじめ、主要キャラクターを演じるダンサーが公演できる喜びを語った。

2021/2022 シーズンのオープニングは、古典バレエの名作中の名作『白鳥の湖』。本作品は吉田都舞踊芸術監督の就任第1 作目として2020年10月の上演予定だったが、新型コロナウイルス感染症の諸影響により延期に。10月、ようやく上演、その制作発表会が行われた。
登壇したのは吉田都舞踊芸術監督、『白鳥の湖』主演ダンサー、小野絢子、米沢 唯、木村優里、柴山紗帆、井澤 駿、奥村康祐、福岡雄大、渡邊峻郁、速水渉悟。MCは石山智恵キャスター。
吉田都就任第1作目の新作、ということで吉田都から挨拶。
「就任にていろんなことがあり、ようやく上演にこぎつけた」と語る。
このピーター・ライト版の『白鳥の湖』については「(選んだ理由は)古典に帰る…(ピーター・ライト版は)ロジカルで分かりやすい。何をすればいいのか細かく決められている。この作品はダンサーなら一度は!王様の葬儀から始まります。なぜっていうところから進んで、なぜ、こうするのか…ピーターは全員の役を細かく…そこがピーターらしい」とコメント。

このピーター版は40年前(1981年11月)に初演、当時から人気作だったそう。衣装についてはコロナ直前の2020年2月にイギリスで打ち合わせしたそう。すべて新調し、コロナ禍ということで一人一人に衣装1着ずつ。「生地も装飾も軽量化してくださった」とコメント。踊りやすい衣装、ダンサーにとってはありがたいこと。

それからダンサーの方々が。まずはオデット・オディール役を演じる4名、米沢 唯、小野絢子、柴山紗帆、木村優里。
米沢 唯
「『白鳥の湖』は修行のようで難解で挑戦してきました。とても素晴らしい、素敵な作品です。良い舞台に」

小野絢子
「1年前はかなわなかった公演、延期されましたが、自分が役に決まってとても嬉しい。ダンサーにとって舞台がすべて。一人一人の心に深く残るように。目標にしていた作品です」

柴山紗帆
「待ちに待った公演、とても楽しみです。(役について、作品について)深く色々考えていけたら。お客様にとって良い時間になれば」

木村優里
「わくわくしています。幸せを感じています。『白鳥の湖』は古典の代表作。一人で二つの役を演じる、心と体に何が湧き上がるのか楽しみ」

王子・ジークフリート役の福岡雄大、奥村康祐、井澤 駿、渡邊峻郁、速水渉悟。
福岡雄大
「この劇場でできることに感謝したい。楽しみです。皆様に『白鳥の湖』をお届けできるように」

奥村康祐
「細かく繊細、難しい役ですが、やりがいがあります。楽しんで頑張ります」

井澤 駿
「僕にとって王子役は難しいキャラクターですが…楽しみです」

渡邊峻郁
「素晴らしいアドバイスを生かして、(それを)舞台で出せたら」

速水渉悟
「初めての王子役です。素敵な作品、今、創っている段階ですが、楽しみです」

ダンサーたちを前にして吉田都は「それぞれの個性があるので楽しみです。また(ピーター・ライト版が残っていることについて)40年残っているのは理由がある…美しさを残しつつ、ドラマを伝えらたら」とコメント。

<サー・ピーター・ライトより>
この作品は、”欺きによって起こった悲劇の物語”です。真実が裏切りに打ち勝ち、愛が死を凌駕します。恋人たちは欺きによって引き裂かれますが、最後には永遠の愛で再び結ばれます。この物語は、悲しいハッピー・エンディングを迎えるのです。
ミヤコがこのプロダクションをシーズン開幕の演目として選んでくれたことをとても嬉しく思いますし、新国立劇場バレエ団のダンサーたちが楽しく踊ってくれることを願っています。東京に行くことは叶わないのはとても残念なのですが、彼らの踊りを過去に見ておりますので、彼らの『白鳥の湖』へ見事に命を吹き込んでくれることでしょう。

<ストーリー>
先王である父の死後、王子ジークフリードは新たな王として戴冠し、結婚することが求めら れていた。彼はそれまでの自由を失うことを恐れ、愛してもいない結婚相手を選ぶことにた めらいを感じていた。ジークフリード 21 歳の誕生日の夜、彼に弓矢のプレゼントを贈るた めに宮廷の友人たちが集った。友人でもある侍従ベンノがジークフリードの気晴らしのため に催した宴の真最中に、王妃である母が現れる。宮廷がまだ喪に服している中での大騒ぎに ショックを受けた王妃は、翌日には花嫁を選ばなくてはいけないと王子に告げ、意気消沈し た彼をその場に残して立ち去る。ベンノはジークフリードを元気づけようと、友人たちと未 来の王位継承を祝って乾杯のダンスを踊る。友人たちが帰っていった後、白鳥の一群が空を 渡っていく。ベンノはジークフリードにプレゼントの弓矢を試すよう促し、二人は白鳥たち を追っていく。
湖岸に着いたジークフリード王子は、ベンノに白鳥を探しに行かせる。一人残った王子は、 そこに魔術師ロートバルト卿の邪悪な存在を感じとる。突然一羽の白鳥が舞い降りてくる。 そして王子が驚き見つめるなか、美しい乙女に姿を変える。その若い娘こそオデット姫であ った。オデットと彼女の仲間たちはロートバルト卿によって白鳥の姿に変えられ、夜の間だ けは人間の姿に戻れるのだ。オデットにかけられた魔法は、まだ恋をしたことをない者が彼 女に永遠の愛を誓い、結婚の約束をすることで解くことができるという。ジークフリードは オデットへの永遠に続く真実の愛を誓う。姿を現したロートバルトにジークフリードが矢を 向けるが、オデットはそれを遮り、魔術師が死ぬと、魔法の呪いは永久に解けなくなると話 す。さらにオデットは、もしジークフリードが愛の誓いを破るようなことがあったら、彼女 は永遠に白鳥の姿でいなくてはならないと伝える。やがて夜明けが訪れ、オデットと仲間た ちは白鳥の姿に戻り、湖へと帰っていく。
翌日、壮麗なレセプションには、ジークフリード王子の結婚相手の候補として 3 人の王女 が招かれていた。3 人の王女たちはそれぞれジークフリードのために踊りを披露するが、彼 は心ここにあらずの様子で、花嫁を選ぶことを断ってしまう。ファンファーレが鳴り響き、 予定されていなかった客人の到来を告げる。それは使節に身を扮したロートバルトと、魔法 でオデットそっくりに姿を変えた、彼の娘オディールだった。
王子は驚くほどオデットに似たこの見知らぬ客人に心奪われ、やがてこの女性が白鳥の姫 だと信じ込んでしまう・・・。

<概要>
令和3年度(第76回)文化庁芸術祭主催公演
新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』<新制作>
Swan Lake
日程・会場:2021年10月23日〜11月3日  新国立劇場 オペラパレス
芸術監督:吉田都
振付:マリウス・プティパ/レフ・イワーノフ/ピーター・ライト
演出:ピーター・ライト
共同演出:ガリーナ・サムソワ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
美術・衣裳:フィリップ・プロウズ
照明:ピーター・タイガン
指揮:ポール・マーフィー/冨田実里
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
出演:新国立劇場バレエ団
公式HP:https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/swanlake/