新国立劇場 演劇研修所 第15期生修了公演オスカー・ワイルドの『理想の夫』 宮田慶子 演出により上演

『理想の夫』は、オスカー・ワイルドの全4幕の戯曲。『ウィンダミア卿夫人の扇』『とるに足らない女』『真面目が肝心』とともにワイルドの4大喜劇のひとつだ。
19世紀末のロンドン社交界の裏で繰り広げられる紳士、淑女の人間ドラマを描き、理想の結婚とは、理想の夫とは、ひとりの人間を愛するとは、を問う傑作喜劇。
初演は、1895年1月3日、ロンドンのヘイマーケット座で上演、以後、現在まで、欧米ではたびたび上演される人気演目、日本では、これまで上演歴はなかった作品。欧米では、ドイツ、アメリカ、イギリスなどでたびたび映画化。最近では、1999年に、ケイト・ブランシェットやルパート・エヴェレットなどの出演で映画化され、日本では『理想の結婚』の題名で2000年に公開。
これを機に本作品の厨川圭子による翻訳本が2022年1月、22年ぶりに角川文庫より復刊される。
この傑作戯曲に、2019年入所の第15期生が、朗読劇「少年口伝隊一九四五」、試演会『七本の色鉛筆』を経て、修了公演として挑戦する。
演出は、ワイルド作品初となる宮田慶子演劇研修所長。

宮田慶子演劇研修所長(演出)から第15期生への言葉
今回、演劇研修所としても初めて、オスカー・ワイルドに取り組むことになりました。
100年以上前にこれほどトリッキーに、緻密に組まれた台本が書かれていたのか、そしてこんなにもエンタテインメント性に富んでいる作品が上演されていたのかということに、皆さんもびっくりしたことと思います。その後、世界大戦が2度あり、芸術文化も何度も足踏みせざるをえなかった時期を乗り越えながら、今また、コロナの影響で厳しい状況となっています。
それでも、先人たちがここまで積み上げたものを我々はどうように受け継いで、引き継いでいくのか、というところに自覚を持って演じてほしいです。130年ほど前に負けないように。
すごく面白い、そしてなおかつこの膨大な台詞量の戯曲に敢えて挑戦してほしいです。明晰な日本語を話すことは、この演劇研修所の一番の目標です。もちろん、演劇は多種多様なものがあり、言葉に頼らない、いろいろな表現もあります。でも、「俳優です」と言えるためには、きちんと台詞をしゃべれる俳優であってほしいと思います。
是非とも皆さん、夢を抱いて、そして、食らいついてきてください。頑張って走り切りましょう。

ものがたり
19世紀末期、ロンドンの社交界。
外務次官ロバート・チルターン准男爵は、ウィーン社交界の花形・チェヴリー夫人から、過去の過ちを種に、不正に加担するよう迫られる。妻のチルターン卿夫人は、彼を清廉潔白な理想の夫と信じ、崇拝していた。
彼女に打ち明けることができず、苦悩するロバートは、親友のゴーリング子爵に相談するが……。

登場人物・キャスティング
キャヴァシャム伯爵 (ガーター勲爵士) 福士永大
ゴーリング子爵 (キャヴァシャム伯爵の息子) 神野幹暁
ロバート・チルターン準男爵 (外務次官) 須藤瑞己
ド・ナンジャック子爵 (駐ロンドン仏国大使館員) 小比類巻諒介
モント・フォード氏 髙倉直人
メイスン (チルターン卿の執事) 椎名一浩
フィプス (ゴーリング卿の召使) 髙倉直人
ハロルド (従僕) 小比類巻諒介
チルターン卿夫人 (チルターン卿の妻) 笹野美由紀
マークビー卿夫人 (チェヴリー夫人の友人) 日沼りゆ
バズルドン卿夫人 若林古都美
マーチモント夫人 土平和加子
メイベル・チルターン嬢 (チルターン卿の妹) 安藤百合
チェヴリー夫人 末永佳央理

概要
日程・会場:2022年2月1日〜6日  新国立劇場 小劇場
作:オスカー・ワイルド
翻訳:厨川圭子
演出:宮田慶子
出演:
新国立劇場演劇研修所第15期生
新国立劇場演劇研修所修了生
髙倉直人 (10期修了)、小比類巻諒介 (11期修了)、椎名一浩 (11期修了)
新国立劇場公式HP:https://www.nntt.jac.go.jp/