クオリティ高し!ミュージカル「メリー・ポピンズ」稽古快調!

 肌寒い2月某日、都内の稽古場で今年一番の話題作ミュージカル「メリー・ポピンズ」の稽古がマスコミ陣に公開された。

 皆、念入りにストレッチ、振りの確認、発声練習等、パフォーマンスに備えてしっかりと!稽古着なので皆、ラフな感じだが、中には作品のTシャツやフード付きトレーナー着用のキャストさんも。これがなかなか可愛い!

 時間になり、演出補のジャン・ピエール・ヴァンダースペイ氏から挨拶があった。まず日本語で「おはようございます!」と第一声、ここで場が一気になごんだ。こういったサービス精神は流石!それからは通訳付きで本日の稽古の場面の解説。稽古の進捗状況については「徐々に作品がまとまりつつある」とし、「スケジュール通りに進んでいます」とアピール。披露する場面は1幕で歌われる「鳥に餌を(Feed The Birds)」、メリーが子供達を父親が働いている銀行に連れていき、「お金の価値は“いくら”という金額の大小ではなく、お金をどう使うかによって決まる」ということを教え、その帰り道、セント・ポール大聖堂の前を通りかかり、鳥の餌を売る女性に遭遇するところ。身なりがボロボロな女性を見て気味悪がる子供達に「見た目の奥を見ることが大事だ」と諭すナンバーである。原語では「Feed the birds,tuppence a bag……」と歌う。映画では子供達を寝かしつける場面で歌われる。この歌がなんとも慈愛と哀愁に満ちたナンバーで、美しく、特にメリーとバードウーマンの二重唱のところは聴きどころ。稽古ではメリー:平原綾香とバードウーマン:島田歌穂、メリー:濱田めぐみとバードウーマン:鈴木ほのか、2回行ったが、どちらもクオリティ高く、よいシーンに仕上がりつつある予感。

 ちなみにこの楽曲はウォルト・ディズニーが最も愛した楽曲で「ブラームスの子守歌よりずっと良い」と言ったそう。

 

 

 

 それから、次は全く趣きが変わる場面、第1幕中盤のビッグナンバー「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス (Supercalifragilisticexpialidocious)」、34文字もあり、英語の長大語のひとつとしても知られている。まず、ちゃんと言えるかのか?!というくらいの長い単語、稽古場にもそのスペルが張り出されているくらい!メリーが子供達に「何を言うかじゃなく、どう言うかが大切」ということを教えるナンバー。公園の中のミセス・コリーの“おしゃべりの店”で、1オンスの会話(15文字のアルファベット)を買って、メリーとジェーンとマイケルは、この34文字の世にも不思議な言葉を生み出す、といった大事なシーンだ。まずはメリー:平原綾香とバート:柿澤勇人、始める前にキャスト陣、ちょっと談笑して“ウォーミングアップ”、それから始めたが、アップテンポなナンバーなので、ジェットコースターのような、スピード感と楽しくウキウキするような空気感、振りも細かくしかも、この34文字を早口で歌う、稽古の成果はバッチリ。決まった瞬間は拍手!それからメリー:濱田めぐみとバート:大貫勇輔、こちらもちょっとおしゃべりして軽く空気を温めてからのスタート、こちらも息のあった動きと歌、長い単語もなんのその!こちらもバッチリ!決まった!

 

 

 

 それから簡単な囲み会見が行われた。メリー役の濱田めぐみと平原綾香、バート役の大貫勇輔と柿澤勇人。濱田めぐみは「信頼が築けている」とコメントし、大貫勇輔は「慣れがすごく大事。振りが多くってとにかく今はやっとお芝居している感じ」と気を引き締める。また柿澤勇人は「相当ハードですが、これくらいやらないと」と大変な様子。また平原綾香は「魔法を使う役なので、結構覚えることが~」と語る。またバートの一番のハイライトシーンの“壁をTAPで……”のシーンに関しては大貫は「今、少しずつ慣れてきました」と言い柿澤は「難しいですね~壁をつたって天井に……宙ぶらりんになってTAP踏むんですよ」とかなりの難易度のシーン、だいたい15分ぐらいあるそう。だだ大貫によると「魔法の鎧」を着てるそうで、ここは要注目。

 また平原は「キャラクターが濃くって!」と語るが、脇役が濃いのが、この作品の良さでもある。大貫は「4歳から観れますので、いろんな人達に!」と語り、大貫は柿澤に「親父さんは?」と問いかけ、柿澤は「俺の親父?泣くね!」と返したが、なかなかの息のあった掛け合いで笑わせてくれた。

 

 実は、この2018年はなんと「メリー・ポピンズ」の続編映画もあるという。「メリー・ポピンズ・リターンズ(原題)」、公開は12月、主演はエミリー・ブラント、監督はボブ・マーシャル。また、バート役を演じたディック・ヴァン・ダイク(90歳超!)も出演するとのことだ。

【公演データ】

ミュージカル『メリー・ポピンズ』
<東京公演>
プレビュー公演:2018年3月18日~3月24日
会場:シアターオーブ
2018年3月25日~5月7日シアターオーブ
<大阪公演>
2018年5月19日~6月5日
会場:梅田芸術劇場

<出演>
濱田めぐみ、 平原綾香/大貫勇輔、 柿澤勇人/駒田一、 山路和弘/木村花代、 三森千愛/島田歌穂、 鈴木ほのか/コング桑田、 パパイヤ鈴木/浦嶋りんこ、 久保田磨希/小野田龍之介、 もう中学生 他

公式サイト:http://hpot.jp/stage/marypoppins

文:Hiromi Koh