劇団おぼんろ「瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった」上演中 冒険と夢と海と

劇団おぼんろ第21回本公演「瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった」が好評上演中だ。
昨年の「瓶詰めリュズタン」に新キャストを迎えてパワーアップ。講談社より書籍化!全国の書店及び、電子書籍で発売中。

拝見したのはトノキヨ役はさひがしジュンペイ、クラゲ役に橋本真一、ワカメボーイ役は高橋倫平、ラッコ役に瀬戸祐介、サンゴの姫役が二ノ宮ゆい、という布陣。
ストーリー自体は初演と変わらないが、演出面ではより立体的に。初演の時もそうだが、トノキオ以外は顔を白く塗っている。ピエロのように目の下に涙が。夏休みの宿題、忘れていた、いや忘れたい思い出が蘇ってくる。

その過程、白髪混じりのトノキヨの表情が次第に少年のようになっていく。クラゲたちは一体、何者なのか、夏休みの宿題につきものの「自由研究」、海を盗んでくる、なんだかファンタジックな響き。生きること、そして死ぬことは裏表の関係。絵本を彷彿とさせるセット、冒険につぐ冒険、泡沫の夢、だが、その夢はトノキヨにとっては単なる夢ではない。その”夏休み”があったからこそのトノキヨ。徹底したアナログ演出、ダンサーたち(捲り子)の動き、自由自在に様々なものを表現する。虚だった初老のトノキヨの人生、だが、夢のあとは何かが変わる。

起き上がったトノキヨの顔は物語の出だしの時とは明らかに違う。目の奥底が輝きだす。トノキヨは4人と出会ったことで少しだけ前を向けるようになった。瓶詰めの海はどこまでも深い。大人のための寓話、観終わったあとは、様々なことを思い出させてくれることだろう。季節は夏、心にほんのちょっとの痛みとささやかで深い温かさを感じる舞台。「いい夢だった」この一言には多くの想いが詰まっている。

<2021年公演レポ記事>

48年前の夏休みの宿題を提出?!摩訶不思議な冒険譚、劇団おぼんろ「瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった」上演中

配役
トノキヨ役:さひがしジュンペイ/わかばやしめぐみ
クラゲ役:末原拓馬/橋本真一
ワカメボーイ役:高橋倫平/日向野祥
ラッコ役:塩崎こうせい/瀬戸祐介
サンゴの姫役:大久保桜子/二ノ宮ゆい/わかばやしめぐみ(27日限定)
※役柄固定のミックスキャスト

あらすじ
トノキヨは、ヨボヨボシワクチャで老人だ。
夢も希望もないまま、何十年ものあいだ誰とも関わらず独りぼっちで生きてきた。
毎晩、次の日の朝が訪れることを心底嫌がり、朝目覚めると、早く夜が訪れ1日など終わればいいと願い続ける毎日を繰り返していた。

ある夏の夜、トノキヨのもとに、水色の少年が現れた。
少年は自らをクラゲと名乗り、小瓶を掲げて声を弾ませた。

「海を盗んできた!」

覗き込むと、小瓶の中には海が入っていた。
戸惑うトノキヨなどおかまいなしで少年が小瓶を床に叩きつけると、中からは海があふれ出し、ベッドは瞬く間に大海原に放り出されたのだった。

トノキヨは困ってしまった。
なぜならその晩トノキヨは、生きていることが嫌になって眠り薬をたらふく飲んだのだった。

海の世界で出会う、奇妙な仲間たち。
一刻も早く目覚めてまた眠り薬を飲みたいトノキヨは、そのためには遠い昔に提出し損ねた夏休みの宿題をおわらせなければならないと告げられ冒険に出る。

あなたは小学5年生の夏休み、何をしていましたか?

大人になりたかったわけではないのに、子供ではいられなくなってしまったすべてのあなたに贈る、風変わりなファンタジック冒険譚。

進もう、覚めては始まる夢の先まで。

概要
タイトル:劇団おぼんろ第21回本公演「瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった」
日程・会場: 2022年8月18日(木)~8月28日(日) Mixalive TOKYO Theater Mixa
公式サイト  https://www.obonro-web.com/ryuztan2022
おぼんろ公式Twitter:@obonro_new
公演に関する問い合わせ: おぼんろ制作部 obonro.info@gmail.com
劇場に関する問い合わせ:https://www.mixalivetokyo.com/

主催:劇団おぼんろ/株式会社講談社/株式会社ホリプロインターナショナル/株式会社ローソンエンタテインメント