勅使川原三郎 新作公演「ランボー詩集 ー地獄の季節からイリュミナシオンへー」上演

ダンスで新たな可能性を提示し続ける勅使川原三郎が、天才詩人アルチュール・ランボーの反逆と理性に迫る!
昨年、ヴェネツィア・ビエンナーレダンツァにて日本人として初めて金獅子功労賞を受賞、 国内では現代舞踊分野で初となる文化功労者に選出された勅使川原の最新作が、 東京芸術劇場の芸劇danceに登場! 有り余る才能に恵まれながら、20歳で詩を捨て放浪の旅に身を投じた フランスの天才詩人アルチュール・ランボーの詩集をテーマに、 ダンスでのみ表現し得る新たな世界を展開。

文学作品に向き合う、勅使川原の新たな創作
ダンサー、振付家、演出家として多彩な作品を発表し続けている 勅使川原三郎。その創作におけるインスピレーションの源は実に多彩で、とくに文学、映画、絵画、また、それらの作品を世に送り出 してきた偉大なアーティストたちをテーマとした創作では、そのた びに、芸術家の魂と対峙するかのような、深い考察に基づいたダン スを展開。たとえば文学に想を得た作品では、2017 年8月初演した萩原朔太郎の詩集をテーマとした『月に吠える』、ま た2021年7月初演の『羅生門』で芥川龍之介の小説の世界を独自 の視点でダンス作品に編み上げるなど、多くの人々に感動をもたらしてきたが、なかでも詩と自身の創作について、勅使川原は「詩 の精神的な、生き生きした力が、私を動かす、それが私にとって はダンス作品に変容するのです」と語る。そんな勅使川原が今回取り上げるのは、彼が長年温めてきたテーマであるアル チュール・ランボーの詩。ランボーが詩と文学への訣別として放 った詩の言霊に、勅使川原が全身全霊をかけて迫る。

ランボーの詩集と響き合う、勅使川原のダンス
十代後半でランボーの詩に出会ったという勅使川原が、いま、なぜランボーの詩をテーマにダンス を創作するのか──。勅使川原は、「どんな人間も生きる限り内側も外側も変化しつづけます。(中略) 自分が勝手に変わる、どうしたって変わる、動きつづけ止まれない。そういう時、しっかり止まっ ている個体を確認しようとする。この場合、詩ですが、このどうしようもなく動かない物を動かそ うとするのが、私にとってダンス作品なのです。自分の都合ではない対象物への尊重を基礎としま す」と語るとともに、「私の詩に対する共感などたわいもないことで、自分の都合とは別の次元に作 品を作る力があると考えます」と、自らの創作について明かしている。さまざまな芸術に親しみ、 向き合い、表現を続けてきた彼が、ランボーとの衝撃的な出会いから長い時を経たいま、それをダン ス作品としてどのように立ち上がらせるのか──。

勅使川原の芸術を体現する、才能あふれるダンサーたちが集結
出演は勅使川原自身と、彼のアーティスティック・コラボレーターとして活躍する佐東利穂子に加え、 2021 年の『羅生門』以来、勅使川原とのコラボレーシ ョンを重ね評価を得ているアレクサンドル・リアブコ (ハンブルク・バレエ団)と、昨年のヴェネツィア・ビ エンナーレで開催された若手育成プロジェクトで勅使 川原と出会い、その後も勅使川原作品に取り組んでいる 逸材、ハビエル・アラ・サウコ。5 月末、4 人はイタリ ア・フェニーチェ歌劇場で勅使川原が振付・演出を手が けたオラトリオ『時と悟りの勝利』(ヘンデル作曲)でも共演を果たしました。ダンサーたちについて「稽古とは、全てにおいて探ること。出演者が決まっていても、常 に新たな出会いとしての稽古でなければなりません」と語る勅使川原。才能あふれるこの4人のダン
サーでなければ表現し得ない特別なダンスが、幕を開けます。

反逆と理性を生きる「ランボー詩集」へ
勅使川原三郎
ランボーの詩集に私が初めて触れたのは十代の後半だった。 暗い叙情や奇怪な夜の詩が好みの私は、詩集「地獄の季節」に突 き当たり、顔面に1キロワットの照明を押しつられた気がした。 熱い眩しさで真っ黒に焦げた私の目は当然のように寒々しい映画 館の闇と光の交錯に身を沈めた。ある映画でランボーの詩の有名 な一節が水平線に浮かんだ。闇に沈んでいた私はバレエの稽古場 に向かった。現実と夢想の日々を彷徨しはじめた。ダンスの創作 を目指して独自の技術開発に費やす十年の間に、興奮や反逆 (地獄の季節)から理性(イリュミナシオン)に移り、その時、 眼前に新たな地平が広がっていた。言葉からイメージや音楽へ、 そして動きへ詩的旋回をした私は、ダンスの創作を本格的に始め た。詩は生と死の戯れ、あるいはその逆説。創作は正逆一体の詩 性を基礎とした。ランボーは言った「私は他者である」と。 「ランボー詩集─地獄の季節からイリュミナシオンへ─」 は、 反逆と理性を生きるダンス作品。困難が生きる地平で、興味は常 に不可能性に向く。ランボーが詩を書くことが正義なら書くのを 止めたのも正義だろう。詩が詩人を人間するのではないか。ダン スがダンサーを人間にすると思いたい。過去と明日が一体の今を 真剣に生きる喜び。昨日の困難を今日に喜んで受け入れる決意。 勇気と喜びのために。それが死を恐れぬ正義だろう。

概要
芸劇 dance 勅使川原三郎 新作ダンス公演
ランボー詩集 ―「地獄の季節」から「イリュミナシオン」へー
振付/演出/美術・照明・衣装デザイン/音楽構成:勅使川原三郎
アーティスティック・コラボレーター:佐東利穂子
出演:勅使川原三郎、佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ団)、ハビエル・アラ・サウコ
公演日時:2023 年 8 月 11 日(金)19:30、8 月 12 日(土)18:00、8 月 13 日(日)16:00
*開演 1 時間前にロビー・受付開始、30 分前に客席開場 *未就学児はご入場いただけません
劇場:東京芸術劇場 プレイハウス
Web:https://www.geigeki.jp/
問合せ KARAS(カラス) 03-6276-9136
*チケットに関する問合せは東京芸術劇場ボックスオフィス
電話0570-010-296(休館日を除く10時-19時) https://www.geigeki.jp/
主催 有限会社カラス
企画制作 KARAS
共催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場
助成 文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(創造団体支援))|独立行政法人日本芸術文化振興会
*公演内容には変更が生じる場合がございますので、予めご了承ください。
KARAS Web サイト https://www.st-karas.com
「ランボー詩集」KARAS WEB サイト https://www.st-karas.com/rimbaud2023/
東京芸術劇場「ランボー詩集」公演情報サイト https://www.geigeki.jp/performance/theater339/