青春舞台『1518!イチゴーイチハチ!』2023 開幕 恋と友情、そして学校生活

青春舞台『1518!イチゴーイチハチ!』2023 が開幕した。公演は25日まで。なお、千秋楽は配信も予定されている。

『1518!』(イチゴーイチハチ!)は、原作相田裕による日本の漫画作品。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて、2014年37・38合併号(2014年8月11日発売)から2019年15号(2019年3月11日発売)まで連載された。単行本全7巻。
丸山幸(菊池愛)のモノローグから始まる。先輩の応援のために訪れた野球場、「対戦チームの背番号15番の活躍に目を奪われた」と語る。「とてもキラキラしてた!」、その彼と高校で再会、名前は烏谷公志朗(辻本達規)肘を壊して野球ができなくなっていた。

男前な環は生徒会長。

先生に言われて生徒会を手伝いに来た、という公志朗に対して生徒会長の亘環(尾花貴絵)は勝負しようと言う。投げるのは環、打つのは公志朗。打てない、打てないどころか思いっきり空振り。そこで公志朗は思い出す、アンダースローの背番号18番を。まさしく亘環、「リベンジできて、あたしもやっと成仏できるぜ」。勝負に負けた公志朗は生徒会に入ることに。乗り気ではない公志朗、公志朗に野球がなくても楽しくやっていくものを見つけて欲しいと思う環、高校入学をきっかけに変わりたいと思い、また公志朗を笑わせたいと思う幸。そんな3人と生徒会の仲間たちの学園生活が描かれる。

幸は晃志朗を笑顔にしたいと思う。
東慧汰と三春英子
孫の幸が可愛くてしょうがない祖父。BFができた?!

高校生活の「あるある」、大きな事件も何も起こらない。私立松栢学院大付属武蔵第一高校(松武高校)は第一志望の県立高校と併願して受験されることが多く、この高校に入学してきた生徒は「第一志望に落ちたので入学しました」が多い。つまり挫折を味わった生徒たちだが、いつまでも俯いてばかりはいられない、とばかりに学校行事、部活に活発な校風、「文」「武」「楽」がモットー。そしてこの物語の中心人物である烏谷公志朗は野球の才能があり、甲子園、ゆくゆくはプロを、という夢を描いていたが、肘の故障で断念。亘環も野球が大好き、だが女子、甲子園などいけるはずもなく、体格も男子には叶わない、さらに公志朗に打たれて野球をやめてしまった。

山崎克己。皆を温かく見守っている。
ハチマキ姿の日野江碧。こちらも男前。
友達の宇賀神翔、「うかじ」と呼ばれている。
仲里なつみ、「ナカカツ」と呼ばれている。

丸山幸は何か目標があるわけでもなかったが、公志朗を笑顔にさせるという目標を持つようになった。高校時代、多感な年齢、彼らを取り巻く生徒会の面々も様々な想いを抱いている。恋愛、自分の内なる感情になかなか気づけなかったり。屈託のない会話、強がりを言ってみたり、何かに気がついたり。彼等の感情の揺れなどを細かく上げているとキリがないが、ふとしたことから、それが「恋」と気がついたり。花火大会に行く公志朗と幸。浴衣姿にちょっとドキッとしたり。微笑ましく、つい口角が緩んでしまう。野球の試合の応援シーン、カラオケで歌うシーン、舞台作品なので、動きのある場面を随所に挟み込む。彼等の何気ない会話で、観客はふと自分自身のことを振り返る。

公志朗の部屋を訪れる幸、天井の傷は公志朗が天井に向かって投げたボールの跡。

告白したものの空振りに終わったことや、部活動、文化祭などの学校行事、誰もが経験したことのある、気持ち。そんな心のひだを丁寧にすくいとった脚本、時折、幸の母と祖父が登場するが、懐かしいちゃぶ台、浴衣の着付けをする母、それを目を細めてみる祖父、愛情を感じる。

女子2人に挟まれて困惑。
上腕二頭筋、触らせて!
環の弟・亘大輔。憧れていた公志朗に会えてタブーな言葉を発したら…。
公志朗と幸の関係が気になる男子2名。
勝負!
花火大会でデート。あんず飴を買ってスマホでパチリ。

挫折から立ち上がる、再生、「REBORN」、目の前に広がる景色。その景色はほんの少しだけしか変わっていないのかもしれないが、その「ほんの少し」が大事、公志朗と幸の関係も気になるが、(青木志穏)、公志朗の友人・宇賀神翔(佐藤智広)、仲里なつみ(長月明日香)の公志朗を見る目、ここ、と言う時に現れる山崎克己(内海大輔)、環と日野江碧(山下聖良)の友情、公志朗に憧れている環の弟・亘大輔(秦健豪)、どこかにいそうなキャラクターばかり。10代、人生は始まったばかりの彼ら、ラストは清々しい余韻が残る。まだまだ舞台化されてないエピソードがあるが、そこもちょっと覗いてみたい、そんな気分にさせてくれるアナログ演出、刺さるセリフ、ノンストップ2時間。「1518」は環と公志朗の背番号、そして松武高校の総生徒数。生徒の数だけ青春がある。

<製作発表会レポ>

青春舞台「1518!イチゴーイチハチ!」2023 製作発表会レポ 「青春を思いださせてくれるような舞台をみんなで作っていきたい」(辻本達規)

<初演レポ記事>

青春舞台「1518イチゴーイチハチ!」開幕!さよなら、古い自分!

イントロダクション
私立松栢学院大付属武蔵第一高校(松武高校)に入学した丸山幸は、中学の先輩である生徒会長に誘われて生徒会に入り、そこで怪我で野球部に入るのを諦めた男子、烏谷公志郎と出会う。幸は中学時代、烏谷が「15番」の背番号を付けて投手として投げている姿に強い印象を覚えたことがあった。生徒会の活動を手伝えと言われながらも乗り気でない烏谷に、会長は野球で勝負を挑む。彼女もまた中学時代「18番」を付けてマウンドに登り、烏谷と対戦した経験があった。勝負に負けた烏谷は生徒会に入り、完全に野球を諦める。その姿を見た幸は、烏谷を笑わせてやろうという目標を持つ。

公演概要
青春舞台『1518!イチゴーイチハチ!』2023
原作:相田裕「1518! イチゴーイチハチ!」(小学館ビッグスピリッツコミックス)
脚本:相田裕
演出:佐野瑞樹
日程・会場:2023年6月21日(水)〜6月25日(日)  新宿シアターサンモール
キャスト
烏谷公志朗:辻本達規

丸山幸:菊池愛
亘環:尾花貴絵
山崎克己:内海大輔

宇賀神翔:佐藤智広
東慧汰:真田貴大
三春英子:青木志穏
仲里なつみ:長月明日香
日野江碧:山下聖良
亘大輔:秦健豪

丸山稔幸:佐野瑞樹 ほか

問合:info@1518stage.com

主催:青春舞台「1518! イチゴーイチハチ!」製作委員会2023

公式Twitter:https://twitter.com/1518stage

公式サイト:https://1518stage.com/