坂本龍一 最後のシアターピース「TIME」開幕

坂本龍一が生涯最後に手掛けたシアターピース「TIME」音楽・インスタレーション・パフォーマンス・ヴィジュアルデザインが融合する唯一無二の鑑賞体験が遂に日本初!開幕!LIFE 日本武道館、大阪城ホールソールドアウトに続く、坂本X高谷、最新にして最後のシアターピース。

「TIME」は2021年、坂本龍一がアソシエイト・アーティストを務めた世界最大級の舞台芸術の祭典「ホランド・フェスティバル」(オランダ・アムステルダム)で世界初演。劇場空間で、音楽、インスタレーション、パフォーマンス、ヴィジュアルデザインが融合する唯一無二の鑑賞体験は、高い評価を獲得し、今回遂に日本で初めての上演を迎える。
「TIME」は、坂本龍一が本作のために全曲を書き下ろし、コンセプトを考案、生前最後に手掛けたシアターピース。
ヴィジュアルデザイン、コンセプトを、1999年上演の「LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999」をはじめ、坂本と数多くのプロジェクトで創作を共にした高谷史郎(ダムタイプ)が手掛ける。
出演は、ダンサー、そして俳優としても国際的に活躍する田中泯。伝統楽器「笙」を国際的に広めた第一人者で、ジョン・ケージ、武満徹など、世界的アーティストの新作初演も手掛けた宮田まゆみ。そして今回の日本初公演では、新たに、国内外で多彩な活動を続けるダンサー石原琳を迎える。オランダでの世界初演から、更なる進化を遂げたパフォーマンスとなる。

舞台上は中央にスクリーン、本水。宮田まゆみが笙を演奏しながらゆっくりと登場。そして田中泯。語りは田中泯、スクリーンに映し出されているのは英語、ある意味、ボーダレス。水の揺らめき、音楽、さまざまな音が重なり合い、世界を創造する。映像の変化、抽象的だったかと思うと木々だったり街の雑踏だったりビル群だったり、自在に変化、映像と演者が一体化し、独特の空気感を醸し出す。

「TIME」はさまざまな意味を内包する言葉、時間、時、時刻etc. 夏目漱石の「夢十夜(第一夜)」(※1)、能「邯鄲」(※2)、夢の中、幻想的であり、哲学的。音楽がその”世界”を包み込む。

水は生命の根源であり、人間の身体組成にしても6〜7割が水。命、そして自然、泡沫、儚さ、観客は様々な想いを抱くはず。没入感もあり、観終わった後は不思議な余韻に浸れる。希少価値の高い舞台、公演初日の28日は奇しくも坂本龍一がこの世を去ってちょうど1年の節目の日。4月14日まで新国立劇場にて公演、その後は京都にて4月27日から。

コメント
高谷史郎(ヴィジュアルデザイン+コンセプト)
1年前に坂本龍一さんの訃報を知らされたとき、衝撃を受けその現実が受け入れられませんでした。 そ して亡くなった日が奇しくも 『TIME』東京公演の初日である3月28日だということに言葉を失いました。
パルコさんから『TIME』を東京で上演したい、というオファーをいただいたとき、坂本さんも僕もとても嬉しかったし、とても楽しみにしていました。
人生も舞台も一期一会です。 坂本龍一さんが遺してくださった素晴らしい音楽、哲学、この素晴らしい 舞台に、多くの方が会いにきてくださいますように。

田中泯(ダンサー)
本公演が坂本龍一さんの命日と重なる奇遇、ご縁に身が引き締まる思いでおります。坂本さん高谷史郎さんとで練り上げられたこの舞台作品に登場する 「人間」として私が選ばれたことは、この上ない喜びと思い、迷わず参加を引き受けたものでした。
坂本さんより「初めて水を見る人類の一人を演じ作品の内にい続けて欲しい」 と言われました。
人間の諸元の姿、想い、営み、人類のたどってきた長くて短い歴史の明暗、その上で世界の現在。政治・経済に振り回される世界の現在。人間らしさや本当の人間を求めることはただのロマン 夢想なのでしょうか。 本物を愛し欲求していた坂本さんの考える「水の循環」で成立する私たち自然人間の営みと地球ならではの「時の機微」TIME。
こんな作品の内に漂い佇む人でいることは、私にとってはオドリそのものだと思えたのでした。
オランダ、台湾、と2つの国でも公演を経て、舞台は変化し続けている、と思います。日本の観客の眼 前に、劇場の空間に身を晒し、坂本さんの魂に触れる夢中のひとときです。
ご来場の皆様には、是非是非、心も身体も開いて、『TIME』をお楽しみ頂きたい、と願っております。

宮田まゆみ (奏者)
オランダ公演、台湾公演を経て、坂本龍一さん、高谷史郎さんの世界に私自身段々深く入りこんできた ように感じます。 坂本さんの音楽の流れと高谷さんの舞台の空間、 田中さんの存在、その中に居られ ることが私にとって大きな喜びです。 日本でご覧下さる皆様とそれを分かち合えたらこの上なく幸せで
す。
初日が3月28日になることは前から決まっていたのだと思いますが、 坂本さんのご命日と重なったと知った時はほんとうに驚きました。坂本さんが見守る中、いっそう充実した舞台になるに違いありませ ん。

石原淋(ダンサー)
坂本龍一さん、 一年がたちましたね。 今日から日本で『TIME』 が上演されます。 叶うことなら観てもら いたい。いや観てくれているだろう。 きっとどこかにいるだろう。 資本主義に処理されるようなアイデ ンティティーよりも、 植物も含めたもっと他の生き物のように、互いの命の境界線を感知し共存しうる ような方に出会うことは稀だ。 語弊があるかもしれないが世界の坂本龍一では自分にとってはなく、 師 匠の田中を通して坂本さんに出会え、そして旅だたれた後の喪失感は想像以上にのしかかった。 日常 的にやりとりをすることができたことも宝物です。 『TIME』 の中で必死に存在! 頑張ります。

※1:「夢十夜(第一夜)」
『こんな夢を見た。腕組をして枕元に坐っていると、仰向に寝た女が…』
死ぬ間際の女に「百年待っていて下さい」と自分は頼まれる。女の墓の横で待ち始めた自分は、赤い日が東から昇り、西へ沈むのを何度も見る。そのうちに女に騙されたのではないかと自分は疑い始める。その自分の前に、一輪の真白な百合が伸びてくる。いつの間にか百年が過ぎていた。

※2:能「邯鄲」
自らの人生に悩む青年・盧生(シテ)は、師を求める旅の途上、邯鄲の里を訪れる。立ち寄った宿屋の女主人(アイ)から、不思議な枕を借りた彼。それは、使えばわが身の進むべき道を悟れるという枕であった。盧生は、早速これを使って眠りにつく。
暫くして、勅使と名乗る男(ワキ)に起こされた彼。彼は、帝位を譲ると告げられ、そのまま大臣たち(ワキツレ)の居並ぶ王宮に連れて行かれる。栄華の日々を過ごし、不老長寿の酒で大宴会を開くなど、歓楽の限りを尽くしていた盧生。しかしそうする内、人々の姿は消え、彼は再び眠りに落ちてゆく。彼が目を覚ますと、そこはもとの宿屋であった。実は今までの出来事は、全てはこの枕が見せた夢。そう気づいた盧生は、儚い無常の世の理を知って満足すると、故郷へ帰ってゆくのだった。

概要
RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI
TIME
日程・会場:
2024年3月28日(木)〜4月14日(日)  新国立劇場 (中劇場)
2024年4月27日(土)〜4月28日(日)  ロームシアター京都 (メインホール)
音楽 + コンセプト: 坂本龍一
ヴィジュアルデザイン + コンセプト: 高谷史郎
出演
田中 泯  ダンサー
宮田まゆみ  笙奏者
石原 淋  ダンサー
〈スタッフ〉
照明デザイン : 吉本有輝子
メディア・オーサリング/プログラミング : 古舘 健、濱 哲史、白木 良
衣裳デザイン :ソニア・パーク
衣装制作:ARTS&SCIENCE
プロダクション・マネージャー : サイモン・マッコール
舞台監督: 大鹿展明
FOHエンジニア : ZAK
プロデューサー : リシャール・キャステリ、空 里香、高谷桜子
共同製作 : ホランド・フェスティバル(アムステルダム)、デ・シンゲル(アントワープ)、マンチェスター・インターナショナル・フェスティバル(マンチェスター)
制作: ダムタイプオフィス、KABアメリカ、エピデミック
プロダクション&ツアーマネジメント : リシャール・キャステリ、フローランス・ベルト―(エピデミック)

WEBサイト https://stage.parco.jp/program/time