『舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 向かい風 100%』夢がある、ギャグがある、悪ふざけがある、なんでもある!

初演時、「本当に舞台化できるのか?!」と言われた作品、回を重ねるごとにパワーアップ!そして今回は遂に完全オリジナルストーリーとなる。

出だしは・・・・・・・え???主人公が・・・・・・「夢野カケラの墓」って???え?ヒロイン、墓石蹴ってる??それから時間は遡る。夢野カケラが高校に入学したところから始まる。「目立つと目、つけられるぞ」と忠告されたにもかかわらず、な夢野カケラ。場面は変わってTVのニュース。生中継でTVでよく見る謝罪会見。スタジオにはニュースキャスターと人気漫画家。そして別のシーン・・・・・なぜかUFOが!

夢野カケラと受手マモルと三上ドブ子は「甲子園を!」と誓い合う・そして新学期にありがちの部活勧誘シーン、幽霊部とか、シュールな部活ばかり・・・・・・大丈夫なのか?先ほどのUFOから宇宙人が!そんな矢先、夢野カケラは人気漫画家から「君には才能がある!」と言われ、すっかりその気になり、「漫画甲子園に行く!」と宣言、びっくりする受手マモル。それから夢野カケラはその『夢』を追い求め始めるのだった。

この夢野カケラの『夢』を実現するための物語に、宇宙人ネタ、それから複数のネタが交錯する。シュールな展開で、ストーリーだけを追っても単純に楽しい。意外なところで意外な人物が結びつき、もう『なんでもあり』な状況で全てのエピソードが少しずつ集結していく。ストーリーとは無関係の小ネタも多く、いちいち可笑しいし、脇の登場人物たちも癖がありすぎな見た目強烈な人々、次から次へとマシンガンのごとく、様々なネタが繰り出される。小ネタの中には「ある、ある」なもの、例えば、メモ紙をポケットに入れたまま洗濯して、その紙がギューと丸まって『ゴミ化』したものを出して「読めないけど、ここに書いてある」と渡したり、あるいは背中に氷を入れたり、そういった誰もが経験したことのある『悪ふざけ』的なギャグや行動が随所に!それが『痒いところに手が届く』くらいに散りばめられているので、ここはお笑いポイント。

 

俳優陣は全力で笑いを取りにいくが、これが潔い演技でかえって清々しいくらい。夢野カケラ演じる谷佳樹は、「ツキステ。」や「信長の野望」など、いわゆる『イケメン枠』な役を演じているのだが、ここでは、振り切った演技でとにかく大熱演!皆、全力で「ギャグマンガ日和」の世界を体現する。パンツだけ、ふんどしだけ、という衣装(?)もあり、一丸となって観客に『笑いの攻撃』をしかける。しかし、そんな笑いとおふざけの中に、ちょっとほろりとする瞬間もあり、ラストの展開はちょっと胸が熱くなる。笑いながら、10代の頃の 何事にも一生懸命で時には空回りしたこともふと思い出させてくれる。ただただ、可笑しいだけじゃない「ギャグマンガ日和」、上演時間は約2時間10分程度の1幕物、スピーディなジェットコースター的な展開、しっかり笑って観たい作品だ。

ゲネプロの前に囲み会見とフォトセッションがあった。登壇したのは、谷佳樹、上田悠介、多田愛佳、磯貝龍虎、寺山武志、宮下雄也、脚本・演出のなるせゆうせい。

寺山武志は「なるせさんの演出ってすごいなと。台本のト書きのどこにも書いていない、最後のところにスペシャルな演出があります」といい、「そこをお客さんがどう楽しんでくれるか、とっても楽しみ。なるせさんと増田先生の掛け算を楽しんでください」と語る。
磯貝龍虎は「原作が大好き」とコメントし「今回のはなるせさんの人生を掛け合わせた・・・・」といったとたんにそばで本人がちょっとウケる(笑)。さらに「『ギャグマンガ』なのに笑えない?んじゃないかと(笑)。違う面白さっていうのを見つけてください」となかなかに意味深な発言。この作品ではベテランの宮下雄也は「今回も結構、感動します。いわゆる2.5次元ですが、2.8次元ぐらいの!役者の人間力!この役者とキャラクターががっちり合わさったという・・・・・面白いし、違和感なく・・・・・スッと涙が(笑)」と語ったが、この涙は???劇場で!そして「熱い青春がテーマ、真面目にふざけているのがテーマです」と胸を張る。上田悠介は「最後にスーッと涙が・・・・・その中にも何かきらりと光る何かを見つけて欲しいです」とコメント。ヒロインを演じる多田愛佳は「初めて参加します。普通のヒロインがやらないことをしています。大笑いして帰っていたただければ!」と挨拶。その姿は・・・・・・『!!!!』。谷佳樹は「僕は初参加ですが、二回目の公演を観て『なんて舞台だ!』という印象で最初は怯えていました。『この人たちとやらせていただくんだ』ってビクビクしてました。稽古に参加してみてみなさん、すごいパワフルで!すごい作品です!この作品は『笑い』ですが、繊細な部分が多い。僕たち役者の熱量で印象が変わる。泣かせるより笑わせるのは難しいですね。『明日も頑張ろう!』って笑顔で帰っていただけるように!」と抱負を語った。最後になるせゆうせいは「今回は青春です・・・・僕の青春が詰まった(笑)・・・・・・・役者の気分次第で違うので、みなさん、おおいにテンション上げていただいて!」と締めて、それからフォトセッション、和やかで明るいムードで会見は終了した。

なお、ニコ生配信も決定。日程は9月9日(日)の17時公演。
ニコ生だけの独占配信となっており、自宅でも「ギャグマンガ日和」の世界観を楽しめる!
ニコニコ生放送プレミアム会員に入会すると、通常視聴チケット料金より450円お得に視聴。

<あらすじ>

「高校に入ったら一緒に甲子園を目指そうぜ!」と誓う黄金のバッテリーがいた。
主人公 夢野カケラはピッチャー志望の野球少年。夢は怪物と呼ばれるピッチャーになること。 そしてキャッチャー志望の受手マモルの夢は、キャッチャーミットを買う事だった。 その二人を温かく応援するヒロイン、三上ドブ子。 だが、彼らを待ち受けていたのは野球部だけではなかった! おばけ屋敷部!ツタンカーメン部!砂部!半開き部!黒登山部!の迫りくる怒涛の勧誘! そして結果的に、夢野カケラが目指したのは、やっぱり漫画家になる事だった・・・。

【公演概要】

タイトル:『舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 向かい風 100%』
原作 : 「増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和」増田こうすけ(集英社「ジャンプ SQ.」連載中)
脚本・演出 : なるせゆうせい
出演者 : 谷佳樹、上田悠介、多田愛佳/磯貝龍虎、寺山武志、堀越せな(W キャスト)、天音みほ(W キャスト)、服部ひろとし、小野由香、市川刺身(そいつどいつ)、南米仁、あまりかなり、鈴木そぼく/宮下雄也
日程 : 2018年9月5日(水)~9月9日(日)全9公演
劇場 : 渋谷 伝承ホール
料金 : 桟敷席 8,800 円(税込)※非売品グッズ付 / 一般席
公式 HP : http://butai-gagmanga.com/
公式 Twitter : @butai_gagmanga
企画製作 : 株式会社アルテメイト
制作 : 株式会社オフィスインベーダー
主催 : 「舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 向かい風 100%」製作委員会
©増田こうすけ/集英社 ©「舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 向かい風100%」製作委員会

文:Hiromi Koh