演出:本広克行、鈴木拡樹、和田琢磨らが縦横無尽に!「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」、人として生きる、人間の尊厳とは?

本作は、アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズ の脚本家・深見真 が舞台用に書き下ろした完全オリジナルのスピンオフ・ストーリー、公安局刑事課三係を舞台に、オリジナルキャラクターたちによるストレートプレイ作品。
舞台セット自体は無機質な印象。開演前から舞台上で映像。幕が開く前から作品世界を盛り上げようという趣向だ。そして始まる。ナレーション、描かれている世界の説明、人間のあらゆる心理状態や性格傾向の計測を可能とし、それを数値化する機能を持つ「シビュラシステム」(以下シビュラ)が導入された西暦2112年の日本。人々はこの値を通称「PSYCHO-PASS(サイコパス)」と呼び、それを指標に生きている。そして犯罪に関する数値があり、たとえ犯罪を犯していなくても潜在犯として裁かれていた。この部分を俳優たちの演技と映像でスピーディにわかりやすく説明する。まさに監視社会、犯罪を抑制するために「公安局」があり、ここの刑事は、シビュラシステムと有機的に接続されている特殊拳銃「ドミネーター」を用いて、治安維持活動を行っているのであった。
連続殺人事件が発生する。遺体は細かく切断されている。この手口の犯行が頻繁に発生する。なんの目的で?なぜ、そのような犯罪を起こしているのか、この謎に公安局刑事課三係に所属する監視官の九泉晴人(鈴木拡樹)らが挑んでいく。
オープニグは映像とロック調の楽曲でテンポよく見せる。それから彼らの日常が描かれる。何事もなければ、平和な雰囲気で同じ職場の同僚として談笑したり。しかし、事件が発生すればとんでいく。そして不穏な動き、「この社会にはたくさんの問題がある」とつぶやく男、彼は何者なのか。


次々と明らかになっていく秘密、謎。サイコハザードが発生する。「ヒューマニスト」と名乗る武力闘争組織がテロの犯行声明を上げるが、彼らなりの論理と正義がそこにある。この監視社会は果たしてここにいる人々にとってどうなのか、それを覆そうとする勢力があるのは至極当然のこと。それは歴史が証明している、幕末しかり、フランス革命しかり、体制の転覆を試みる集団が時として『正義』と言われることはよくあることだ。人間の尊厳のためなら何をやってもいいのか?それとも社会の転覆を試みる人々は裁かれなければならないのだろうか?多分、永久に結論のでない話、命題。そして様々な秘密、隠されていたこと、それらが徐々に明らかになるにつれて、疑心暗鬼にかられたり、あるいは悲劇が起こる。生真面目に職務に忠実な九泉晴人、いかにも切れ者な風情の嘉納火炉(和田琢磨)、気のいい仲間たち、力を合わせて事件に体当たりしようとするが、そこには大いなる謎と知らなかった事実と、そしてどんでん返しと裏切り者と・・・・・。片時も目が話せない展開、スリルとサスペンス、そしてバトルシーンもふんだんに。事件そのものの真相も明らかになるが、そして・・・・・ラストは思いがけない!ことが!


メインキャラクター演じる鈴木拡樹、和田琢磨、そして公安局の面々、個性的で、その生き様は胸が熱くなる。上司を演じる山崎銀之丞の存在感、全体を引き締める。激しいアクション、ここはかなり大変だったのではないかと思われるくらいな迫力。映像演出もわかりやすく、過剰になりすぎずに作品世界を彩り、構築する。ラストバトルシーンでは楽曲がシンフォニック、美しいメロディーが臨場感を増幅する。

昨今はAIも登場、近未来は果たして幸せで便利な社会がやってくるのか、あるいはここに描かれているような世界がやってくるのかはわからない。タイトルになっている「Virtue」は「美徳」とか「善行」という意味があり、「Vice」は「悪」「非行」「堕落行為」という意味がある。いうなれば「善」と「悪」、ここで描かれている社会は果たして「Virtue」なのか「Vice」なのか、この社会を転覆させようとしている集団は「Virtue」なのか「Vice」なのか、それは紙一重。キリキリとしたラストが待っている!

ゲネプロ前に会見が行われた。登壇したのは演出:本広克行、九泉晴人役:鈴木拡樹、嘉納火炉役:和田琢磨。
鈴木拡樹は「稽古場から早く舞台に上がりたいと思っていました」とコメント。というのは映像演出を多用しているので「想像する場面が多かった」ということだそう。さらに「テーマパークにいるような世界にいる感覚、『サイコパス』の世界を360度体験、一緒に体感しましょう」とコメント。通路を使う演出もあり、臨場感は半端ない。和田琢磨は「パワーとエネルギーを持った作品、一人一人の魂をつぎ込んでキャラクターを作り上げました」と語る。一人一人の生き様やバックボーンもそれとなく語られ、群像劇的な要素も。「原作の力を借りながら新しい『サイコパス』を!本番、ワクワクしています」と嬉しそうにコメント。本広克行は「全く新しいものを作ろうと、無理難題やって、アクションも!スタッフはかなりテンション、上がっています!」と自信をのぞかせる。和田琢磨は「本広克行のお力を借りて役作りをしました。みんなで一つのチームを作り上げた感じが強いです「アニメでも見たことのないようなシーン」も・・・・ここは楽しみ。
本広克行は「人気俳優さんなのに真っ白でいてくれて」と語り、鈴木拡樹は「本広さんに興味は持っていたので真っ白な気持ちで」といい、本広克行も「キャンパスに絵を描いているよう」とコメント。和田琢磨は気合い入りすぎの失敗談を披露。なんと稽古日を間違えたエピソードを披露、行ったら・・・・1日早く勘違いし、稽古場に行ったところ、そこで演出家と初顔合わせ。そして「挑戦する環境を与えてくれる、かつ自分の世界を持っていて!」とコメント。1日早く稽古場入りしたことに関して「気合い入れてきたんですよ!」といいそれに対して本広克行は「あ、こういうキャラなんだ」とコメントし、それに対して和田琢磨は「集中しすぎて(笑)」と語った。
最後に鈴木拡樹は「ファンの多い作品、新しい展開として舞台化、舞台版のキャラクターはどこにも出ていない、まっさらな状態で見ていただければ」と語り、和田琢磨は「(千秋楽の)ライブビューイングもあります。たくさんの原作ファンに届けられる、新しい『サイコパス』を届けられたら」といい、本広克行は「ライブビューイングではアップで観られます」とコメント、劇場で観劇して映画館でも観るとまた違った景色が!そして本広克行は最後の最後に『補足説明』、「もともと、舞台版もやりたいと思ってて、でも失敗したら・・・・・(笑)、絶対に面白いものにしようと!」と舞台版はもうやりたくてやりたくて仕方がなかった企画であることをコメント。およそ2時間、ノンストップ、劇場にリアルな「サイコパス」の世界が繰り広げられる!その顛末は劇場で!ライブビューイングで!目撃しよう!

<あらすじ>
公安局刑事課三係に所属する監視官の九泉晴人(くせんはると)は、公安局局長からの命で 連続殺人事件を捜査することになる。遺体は18ものパーツに細かく切断、その一つ一つにナンバリングがされていた。そして、繁華街の路地裏、四箇所に派手に飾り付けるという、いずれも同じ手口で犯行が繰り返されて いた。「どうしてバラバラにしたのか、どうして四箇所に死体をばらまいたのか、ナンバーをつけた理由は何か。 」九泉は同じ三係に所属する監視官・嘉納火炉(かのうひろ)や執行官たちと、捜査を進める。被害者の身元を 調べていくうち、「中国語の部屋」と名付けられた、とある装置が事件に関わりがあることに辿り着く。その矢先 、街中にバラバラ死体がばら撒かれるという、市民の色相悪化を狙ったサイコハザードが発生。「ヒューマニスト」と名乗る武力闘争組織がテロの犯行声明を上げ、シビュラシステムには重大な欠陥があると批判、さらに大きな事件を予告、不穏な空気と混乱。そして、捜査を進める中、公安局内部に裏切り者の存在が浮かび上がる。事件の鍵を握る「中国語の部屋」とは、ヒューマニストの狙いとは、そして、“裏切り者”は誰なのか―――

【公演概要】
公演日:<東京>2019年4月18日(木)~4月30日(火)
<大阪>5月4日(土)~5月6日(月・祝)
千秋楽、ライブビューイング決定!
演出:本広克行(映画「踊る大捜査線」シリーズ、「幕が上がる」ほか)
脚本:深見真(アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズ、「バイオハザード:ヴェンデッタ」ほか)
ストーリー監修:Production I.G
音楽:菅野祐悟
キャスト:鈴木拡樹 ・ 和田琢磨 中村靖日 多和田任益 小澤雄太 町井祥真 ・ 池田純矢 高橋光臣 山崎銀之丞
制作:ソニー・ミュージックエンタテインメント、ポリゴンマジック
主催:舞台「サイコパス」製作委員会
公式HP:https://psycho-pass-stage.com/
公式ツイッター:@PSYCHOPASSstage
コピーライト表記: (C)サイコパス製作委員会(C)舞台「サイコパス」製作委員会
取材・文:Hiromi Koh