初々しくも真摯で華やか!『乃木坂 46 版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」』

『美少女戦士セーラームーン』は武内直子(講談社刊)の原作コミックはもとより、TV&劇場用アニメ、舞台、ゲーム、実写ドラマなど四半世紀以上も前から多角的なメディアミックス展開が図られて、今や日本国内に留まらず世界規模の人気を博して久しいものがある。

その中で国民的人気アイドルユニット「乃木坂46」による舞台『乃木坂46版ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」2019』がTOKYO DOME CITY HALLにて10月10日から14日まで公演(中国・上海美琪大戯院でも11月22日~24日に公演される)。その初回公演直前の10月10日14時よりゲネプロが行われ、多数の関係者やマスコミに混じって観覧させていただいた。

『美少女戦士セーラームーン』のミュージカル化は1993年に始まり、今では2.5次元舞台の先駆けとしても讃えられているが、この世界に乃木坂46が初めて挑戦したのは2018年。2チーム編成で主要キャストのセーラー戦士5人に乃木坂46から選抜された面々がそれぞれ扮し、従来のものとは一味違う華やかで愛らしくも真摯な取り組みがアイドル・ファンからも舞台ファンからも高く評価された。

今回の再演にあたってはセーラー戦士のキャストを一新し、1チーム編成で前年度と異なるみずみずしい輝きを放っている。演出は前年の公演に引き続き、ウォーリー木下が担当。ストーリー展開としては、原作コミックおよびTVアニメの第1部『ダーク・キングダム編』を基に2部構成で繰り広げられていく。

中学2年生の少女・月野うさぎ(久保史緒里)がふしぎな黒猫ルナと出会ったことから愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーンに変身し、やがてセーラー戦士の仲間4人を見つけ出しながら、妖魔の女王クイン・ベリル(玉置成実)率いるダーク・キングダムよりも先に“幻の銀水晶”とプリンセスを探し求めるべく奮闘する……。

原作漫画やTVアニメに慣れ親しんだ世代としては、どうしてもキャスティングに興味の目線を注いでしまうのだが、まず久保史緒里は持ち前の清楚な明るさがセーラームーンそのものの個性と見事にシンクロしていて、さらには主演という大任の重荷を真正面から受け止めつつ役に臨んでいる姿勢が、オーラとして舞台からすがすがしく発散されている。

セーラーマーキュリー=水野亜美役の向井葉月は、日頃バラエティ番組などで見ている限りの彼女がむしろ月野うさぎ的キャラであるのに対し、セーラー戦士の中で最も知的お嬢様キャラで男性ファンからの人気も高いマーキュリーを何ら違和感なく、それどころか実に愛くるしく演じているのに正直驚きを隠せず、嬉しい悲鳴を上げたくなるほどであった。

セーラーマーズ=火野レイ役の早川聖来は、原作やTVアニメ版のイメージに一番近いのではないか。そう思えるほどにレイが自然とさまになっていた(余談だが公演終了後、恐らくはリアルタイムで原作&アニメに接してきた30代ほどのマスコミ女性らが「マーズ、足が細くてかっこいいよ!」などと興奮しながら熱く語り合っていた)。

セーラージュピター=木野まこと役の伊藤純奈は、さすが乃木坂46の中でも舞台経験豊富なだけあって、実に安定した演技を披露しているが、他の子たちより背が高くて目立つこともあってか、逆にセーラー戦士全員が集うところなどではオーラを出しすぎて他の戦士たちを喰わないよう腐心しているのもキャリアの先輩としての好もしい計らいに思えた。

セーラーヴィーナス=愛野美奈子役の田村真佑は、最後に登場するセーラー戦士(実質は最初に覚醒)ということもあって、第1部での出番こそ少ない分、第2部では割かし活躍が目立つように構成されているが、もともとヴィーナスは戦士たちのリーダーとしても屹立した存在でもあるので、そうした見る側の期待にも健気に応えてくれていた。

また特筆すべきは前年度から引き続きタキシード仮面を演じる石井美絵子で(そう、乃木坂46版はキャストは全員女性で、いわば宝塚的雰囲気を醸し出しながら異彩を放っている)、彼女のさりげなくも巧みなリードによって、乃木坂46の面々が大いに牽引され、ひいてはそれぞれの魅力を引き立てることに多大な貢献を果たしている。

何よりもそのシンプル・イズ・ベスト的なカッコよさたるや!(私は男なので、これまで漫画やアニメでタキシード仮面を見ていても特に感慨など抱いたことなどなかったのだがこの石井タキシード仮面さまにはキュン死しそうになった!?)

総じて前回から引き続いてのキャストやスタッフが、今回新たに抜擢された乃木坂46の面々を巧みに支え、その意気に応えて彼女らも緊張をみずみずしい存在感に替え、ひいては舞台狭しと発散させ得ているのが、この乃木坂46版ミュージカルの美徳といっても過言ではないだろう。

実はゲネプロ直前に行われた記者会見も覗かせてもらったのだが、そのとき「みんな、TVで見るよりも小さくて細いなあ」などと正直びっくりしてしまったものの、いざ舞台に立つとそれぞれが大きく映えながらオーラを発散させていたのに感心するとともに、セーラー戦士同様、彼女たちもやはり「選ばれた存在」なのだなと、改めて感服してしまった。

美術や照明、映像効果(白石麻衣が映像で登場するや、一気に場の空気が「美」に包まれていく貫禄よ!)などゴージャス極まる作りの一方、黒猫ルナを人形劇団ひとみ座所属の松本美里が自ら動かしながら声を担うといったアナログ的な技法とのギャップも実に楽しく、豪華絢爛ながらも初々しい躍動感を損ねることのないリズミカルな展開に、およそ3時間(途中休憩15分ほどあり)の上演時間は瞬く間に過ぎていく。

 

とどめはカーテンコールの後のスペシャルライヴショーで、これはもうとにもかくにも圧巻! キャスト全員が歌う《ムーンライト伝説》は鳥肌ものの感動であった。

上演が終わり会場の外に出ると、そのチケット売り場に初回当日券を求める老若男女の列が出来ていた。思わず「少しでも多くの人がこの楽しくも真摯な舞台を見られますように!」と願わずにはいられなかった次第である。

なお、乃木坂46版ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」2019 の東京公演千秋楽を収録した Blu-ray&DVD の発売が決定。
発売日は2020年4月11日(土)予定。

<”回替わりお楽しみ企画”実施!>
☆みんなで記念撮影会
終演後、客席をバックにご来場の皆さまとの記念撮影を行います。 写真は後日セーラームーン 25th 公式 Twitter に掲載予定です。
☆サイン入りグッズ抽選会
ご来場の皆さまを対象に、キャストがサインを入れたグッズのプレゼント抽選を 行います。休憩中ロビーにて当選者の座席番号を発表いたします。
☆全員プレゼント:セーラー5 戦士ビジュアルランダムポストカード
終演後、セーラー5 戦士のビジュアルポストカードをランダムでご来場の皆さまに プレゼントいたします。
☆全員プレゼント:原画イラストポストカード
終演後(上海公演では入場時)、武内直子先生の原画イラストを使用したポストカード をご来場の皆さまにプレゼントいたします。
☆地球国キャストによるお見送り
終演後、タキシード仮面と四天王がご来場の皆さまをお見送りいたします。

<出演者・演出家コメント>
◆セーラームーン/月野うさぎ:久保史緒里(乃木坂 46) この日を迎えるためにみんなでお稽古をしてきましたが、いい意味で「初日って来るのかな?」って思う日々 が続いたというか、もっともっと追求したいという気持ちが日に日に増していました。一番に“楽しみ”だな と思える初日は初めてなので、大好きなキャストのみなさんと楽しく、そして素敵な時間を過ごせたらいいな と思います。

◆セーラーマーキュリー/水野亜美:向井葉月(乃木坂 46)
稽古期間は、他の4戦士やキャストさんに迷惑をかけながらも一緒にがんばってこられたので、みんなで作り上げてきたものを精一杯出せるように、見てくださる方に夢を届けられるように、一生懸命がんばりたいと思 います。

◆セーラーマーズ/火野レイ:早川聖来(乃木坂 46) 不安もいっぱいある中で、たくさんのスタッフさんやキャストさんに「一緒にがんばろうね」と励まされて、 初日を迎えられたことをすごく嬉しく思っています。緊張とか不安もありますが、来てくださったお客様に楽しんでいただけるように、精一杯がんばりたいと思います。

◆セーラージュピター/木野まこと:伊藤純奈(乃木坂 46) 今回は私がいままで出演した舞台の中でも一番と言っていいほど、キャスト同士で話し合いをしながら作り上 げてきました。5 戦士や、他のキャストのみなさまと稽古が終わった後もかなり話し込んでつくりあげてきた ので、緊張はしていますが、みんながいるから心強いなという気持ちで、安心して今日を迎えることができま した。がんばります!

◆セーラーヴィーナス/愛野美奈子:田村真佑(乃木坂 46) 本当に毎日わからないことだらけで、不安はたくさんありましたが、それを他のキャストのみなさんに支えて いただきながら、初日を迎えることができました。今もすごく緊張してますが、怪我無く、楽しく舞台を作っ ていけたらいいなと思っています。

◆タキシード仮面/地場 衛:石井美絵子
今回の新たなセーラー5 戦士は、本当に個性豊かなみんながそろって、楽しくお稽古させてもらいました。こんなに初日を迎えるのが楽しみな舞台は初めてです。 今日起きてから「ちょっとどうしたんだろう自分?」って思うくらい、みんなのことが本当に愛しくて、本番の姿がすごく楽しみです。

◆演出:ウォーリー木下 演技、歌、ダンスとか色々あるんですけど、そういう全部の“表現”が色々詰まっている作品なので、総合芸術 としてのミュージカルを楽しんでいただきたいと思います。 また原作のキラキラした世界観というか、世界中の女の子が憧れるキャラクターを乃木坂 46 のメンバーがやるってこともすごく意味深いなと思っています。あとはやっぱり変身シーンが見どころですので、ぜひそこも 楽しみにしていただけたらなと。

【公演概要】
[東京公演]
2019年10月10日(木)~10月14日(月・祝) TOKYODOMECITYHALL
[上海公演]
2019年11月22日(金)~11月24日(日) 上海美琪大戯院(MAJESTICTHEATRE)
原作:武内直子(講談社刊)
演出:ウォーリー木下
出演:
セーラームーン/月野うさぎ 久保史緒里(乃木坂46)
セーラーマーキュリー/水野亜美 向井葉月(乃木坂46)
セーラーマーズ/火野レイ 早川聖来(乃木坂46)
セーラージュピター/木野まこと 伊藤純奈(乃木坂46)
セーラーヴィーナス/愛野美奈子 田村真佑(乃木坂46)
大阪なる 山内優花
海野ぐりお 田上真里奈
ルナ(操演) 松本美里
クンツァイト 安藤千尋
ゾイサイト 小嶋紗里
ネフライト Shin
ジェダイト 武田莉奈
アンサンブル
鏑木真由 佐久間夕貴 肥田野好美 大橋美優 小泉もえこ 山下綾佳
クイン・ベリル 玉置成実
タキシード仮面/地場衛 石井美絵子
<映像出演>
クイーン・セレニティ 白石麻衣(乃木坂46)
主催:
<東京公演>乃木坂 46 版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会 2019
<上海公演>ネルケチャイナ/春秋永楽演芸投資(北京)有限公司/ 上海香蕉計劃娯楽文化有限公司(Shanghai Project Banana Co.,Ltd.)
公式HP:http://sailormoon-official.com/stage/nogizaka19/
©武内直子・PNP/乃木坂 46 版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会 2019
取材・文:増當竜也