劇団鹿殺し 3年ぶりの完全新作!『傷だらけのカバディ』カバディ、カバディ、カバディ!

劇団鹿殺しの『傷だらけのカバディ』、3年ぶりの新作。また、客演として小澤亮太、ダンスカンパニー「梅棒」主宰の伊藤今人が参加。
物語の舞台は、2030年のある田舎町。インドの国技「カバディ」がオリンピックの正式種目になったその世界で、人生の主人公になって生きようとするヒーローたち、その道から外れた傷付いた人々・・・。そんな人々の熱さをエンターテインメント性たっぷりに描く。
幕開き、登場人物たちが一人、また一人出てくる。まだ馴染みが薄いが、オリンピックの正式種目となった技「カバディ」、この競技にかけた人々の群像物語。時は2030年、田舎・鹿神村。10年ぶりに再会したのは男子・カバディ日本代表チーム「鹿神SEVEN」の面々。11年前の夏にどう見ても冴えない彼らが一念発起して日本代表になり、話題をさらったが、残念な結果に終わった。そんな彼らが10年ぶりに集まることになった。それはキャプテンからの1通のメールからだった・・・・・・。

カバディはインドの国技、ところどころに歌やダンスをはさみ込むのだが、このはさみ方が、いわゆるポリウッド映画のごとく、派手な挿入の仕方、これがかなりエンタメ性が高く、賑やかに!
そしてオリンピックの試合シーンは、かなりの迫力。対戦相手は強豪中の強豪、インド。一つ一つの場面を丁寧に描いているのだが、そこにドラマが凝縮されており、単なる試合シーンではなく、インドチームに向かっていく彼ら、そこに”この瞬間に生きる”ということが現れており、印象深い。最初は全く歯が立たなかったが、反撃に出る。そして最後の最後で力尽きた。ここは見所。
カバディを通じて、彼らの内面も変わり、そして絆も生まれる。競技後の人生、生き様。破天荒で、はみだした彼ら、どこか愛おしく、そして観終わったあとは元気も出る。

それにしてもこのカバディ、源流はマハーバーラタに遡るといわれ、古代に起源するとも言われている。最も大きな特徴として、競技中に、攻撃者は「カバディ、カバディ、カバディ……」と発声し続けなければならない。「傷だらけのカバディ」というナンバーもあり、歌詞も心に残る。振付も親しみやすく、楽しい。しかも観ているうちにこのスポーツのルールがよくわかる!笑って笑ってあっという間、上演時間は約2時間10分強。

【公演概要】
日程・会場:
<東京公演>
11月21日(木)~12月1日(日) あうるすぽっと
<大阪公演>
12月5日(木)~12月8日(日) ABCホール
作:丸尾丸一郎
演出:菜月チョビ
公式HP:http://shika564.com/wordpress/
撮影:和田咲子
文:Hiromi Koh